彼女は浮遊霊│1│ 詩小説
⚪⚪⚪
お客様から問い合わせ。
電話に出てから一時間。
私の耳は赤くなり、
彼の声が胸に痛い。
いつのまにか…
メモ帳に、
大きな円をぐるぐる描く。
⚪⚫⚪
きっと、これはクレーム電話?
電話に出てから、はや二時間。
私の心は遠ざかり、
彼の声がノイズに変わる。
いつのまにか…
大きな円の左上、
ぐるぐる小さな円を描く。
⚫⚫⚪
コイツ!悪質クレーマー!
電話に出てから、もう三時間。
もはや、私は浮遊霊、
じっと受話器を見つめてる。
いつのまにか…
大きな円の右上にも
ぐるぐる小さな円を描く。
⚫⚫⚫
大きな円と二つの円。
あれっ!?コレはアレ!
世界のスター。可愛いネズミ。
あらっ?! そう!そう!
夢の国も権利に厳しい。
ミッキーもどきの円三つ。
零れた涙でそっと消す。
⚪⚪⚪
あ。
忘れてた。
私は愛を信じてて、
私は昨日、死んだんだ。
・・・・・
「小口さーん」
え!わたし?
今、呼ばれたの?
彼は誰?
あっ。三木くん?
見えてるんだ。
わたしのこと…
│つづく│
・・・・・
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