迷子の心 | 雑文 |
わたしはいま、仕事の都合で
障害者施設に出入りしています。
人生ではじめてといっていいだろう。
この環境は、
わたしにとって
驚きと感心に満ちています。
障害者の方と直接、触れ合う機会は、
少ないけれど、たまに話しかけられる事も
あって、結構、戸惑う質問をされる事もあります。
その中でも、
Aくんは、特にわたしに話しかけてくれます。
年齢は、きっと10代後半くらい。
大きな瞳の少年の雰囲気を残した方。
その問いかけは、いつも
「入江さん?元気?」
そうくるりとした大きな瞳で
まっすぐに話しかけられるのです。
はじめは何も考えずに
「ええ。まあまあです…」
なんて、ごく自然に答えていました。
そんな
「元気ですか?」という問いかけを、
会う度にされるといつもAくんに叱られて
「元気?って言われたら、
元気!って大きな声で答えなきゃ」と
言われるのです。
そんなやりとりを続けるうちに、
帰り道、ふと考えるようになりました。
わたしはいつから、
「元気?」と言われて
「元気!」と無邪気に
答えられなくなったんだろう。
そんな想いを巡らせるようになりました。
「元気?」「元気!」
そんなシンプルですこやかな会話が
わたしにとっては遠い過去にあって、
これから先、再び、無邪気に元気!と
答えられるようになるのかなぁ。
そう想うとなんだか
迷子になった時の心細さを
思い出しました。
障害っていうけれど、
もしかしたらわたしの方が、
余程、障害を抱えてるのかなぁ。
軽率な言葉かもしれませんが、
そんな想いを感じています。
今日は雨。
桜の見頃が終わっていきます。
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