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【翻訳】ジェイムズ・ジョイス『アラビー』(『ダブリン市民』第3話)【AIアシスタント】

『ダブリン市民』


ジェイムズ・ジョイス 著


第3話 - アラビー


ノース・リッチモンド通りは袋小路で、普段は静かだった。ただし、カトリック系男子校のクリスチャン・ブラザーズ・スクールが放課後に生徒を解放する時間だけは別だ。通りの突き当たりには2階建ての空き家が、隣家から少し離れて広場のような空間にぽつんと建っていた。通りの他の家々は、そこに住む人々の静かな暮らしを映し出すかのように、無表情な茶色の顔で向かい合っていた。

我が家の前の住人は神父で、奥の応接間で亡くなった。長年閉め切られていたせいで、家中にカビ臭い空気が漂い、台所の裏手にある使われていない部屋には古い無用な書類が散乱していた。その中から、僕は紙表紙の本を何冊か見つけた。ページは湿気で丸まっていたが、ウォルター・スコットの『アボット』や『信心深い人のための聖体拝領手引き』、『ヴィドック回想録』といった本があった。特に『ヴィドック回想録』が気に入ったのは、ページが黄ばんでいたからだ。

家の裏には荒れた庭があり、中央にリンゴの木、その周りに雑草の生えた低木が点在していた。そのうちの一つの茂みの下で、前の住人が使っていたらしい錆びた自転車の空気入れを見つけた。彼はとても慈悲深い神父だったそうで、遺言で全財産を慈善団体に寄付し、家具は妹に譲ったのだという。

冬の短い日が来ると、夕食も終わらないうちに日が暮れた。通りに出ると、家々は憂鬱な様相を呈していた。頭上の空は刻々と色を変える紫色で、そこに向かって街灯が力なく光を投げかけていた。冷たい空気が肌を刺し、体が温まるまで僕たちは遊び続けた。静まり返った通りに、僕たちの声が響き渡った。

僕たちは家々の裏手にある暗くぬかるんだ路地を駆け抜け、長屋に住む荒くれ者たちとすれ違いながら進んだ。湿った庭の裏口では、ゴミ捨て場の臭いが漂っていた。薄暗く臭気のする厩舎では、御者が馬の手入れをしたり、馬具を揺らして音を立てていたりした。通りに戻ると、キッチンの窓から漏れる光が辺りを照らしていた。

おじさんが角を曲がって帰ってくるのを見かけると、僕たちは影に隠れ、彼が無事に家に入るのを確認してから出ていった。マンガンの妹が玄関に出てきて兄をお茶に呼ぶときも、僕たちは影から彼女が通りを見渡すのをじっと見守った。彼女がその場に留まるか家に戻るかを待ち、留まっていれば、しぶしぶマンガン家の階段まで歩いていった。

彼女は僕たちを待っていて、半開きのドアから漏れる光に照らされていた。兄はいつも彼女をからかってから言うことを聞いた。僕は柵に寄りかかり、彼女を見つめていた。彼女が動くたびにドレスが揺れ、柔らかな髪が左右にふわりと動いた。

毎朝、僕はリビングの床に寝そべり、彼女の家のドアを見つめていた。ブラインドを窓の下まで降ろし、外から僕の姿が見えないようにしていた。彼女が玄関に出てくると、僕の心は躍った。廊下に飛び出して本を掴み、彼女の後を追った。茶色い彼女の姿を目で追いかけ、道が分かれる地点に近づくと、急いで彼女を追い越した。これは毎朝のように繰り返された。彼女とはほんの二言三言、言葉を交わしただけだったが、それでも彼女の名前は、僕の愚かな血を沸き立たせる呼び声のように感じられた。

彼女の姿は、恋愛とは無縁の場所でさえ、僕の頭から離れなかった。土曜の夜、叔母が買い物に出かける時、僕は荷物持ち役として付き添わされた。僕たちは、酔っぱらいの男たちや値切り上手な女たちにもまれながら、明るく賑やかな通りを歩いた。労働者たちの荒々しい声、豚のほほ肉が入った樽のそばで見張る店員たちの甲高い声、鼻にかかった調子で歌うストリートシンガーの歌声が入り混じっていた。その歌は、アイルランドの愛国者オドノバン・ロッサについてのバラードか、祖国の苦難を歌ったものだった。

これらの喧噪は、僕の中でひとつの生きた感覚となって溶け合っていった。まるで敵の群れの中を聖杯を守りながら進んでいるかのような気分だった。彼女の名前が、僕の口をついて出てきた。自分でも理解できない奇妙な祈りや賛美の言葉となって。理由もわからず、目に涙が溢れることがあった。時には、胸が張り裂けそうな感情に襲われた。未来のことはほとんど考えなかった。彼女と話す機会があるのかどうか、たとえあったとして、この混乱した思いをどう伝えればいいのか、まるで見当もつかなかった。それでも、僕の体は一台のハープのようで、彼女の言葉や仕草は、その弦を奏でる指のように感じられた。

ある雨の降る夜、僕は神父が息を引き取った裏の応接間に入った。家の中は静まり返っていた。割れた窓ガラス越しに、細く途切れることのない雨粒が地面に突き刺さる音が聞こえた。水浸しの庭に降り注ぐ雨は、まるで無数の針が刺さるかのような音を立てていた。遠くに、ランプか灯りのついた窓がぼんやりと光っているのが見えた。周りが暗くて何も見えないことに、僕はむしろ安堵した。僕の感覚のすべてが、何かに覆い隠されることを求めているようだった。まるで自分から離れていくような感覚の中で、震える手を合わせ、「ああ、愛よ! ああ、愛よ!」と何度も呟いた。

ついに彼女が僕に話しかけてきた。最初に声をかけられた時、僕はあまりの動揺に何と答えたらいいのか分からなかった。彼女は僕に「アラビー」に行くのかと尋ねた。僕が「行く」と答えたのか「行かない」と答えたのか、今でも覚えていない。彼女は、きっと素敵なバザールになるはずだと言い、自分も行きたかったと話した。

「どうして行けないの?」と僕は尋ねた。

彼女は話しながら、銀のブレスレットを手首の周りでくるくると回していた。その週に修道院でリトリート(宗教的な修養会)があるから行けないのだと言った。彼女の兄と他の二人の少年が帽子の取り合いをしている間、僕は一人で柵に寄りかかっていた。彼女は柵の一本を握り、僕の方に顔を少し傾けた。向かいの家のランプの光が彼女の白く美しい首筋を照らし、髪を輝かせていた。その光は彼女のドレスの裾をなぞり、ペチコートの白い縁をかすかに照らし出していた。

「あなたはいいわね」と彼女は言った。

「僕が行ったら、何か買ってきてあげるよ」と僕は言った。

その夜以来、目覚めている時も眠っている時も、無数のくだらない考えが僕の頭の中を駆け巡った。退屈で仕方のない日々を一気に消し去りたかった。学校の勉強も苦痛でしかなかった。夜は寝室で、昼間は教室でさえ、彼女の姿が目の前に浮かび、読みかけの本のページの間に立ちはだかった。「アラビー」という言葉の響きが、静かな心の中で鳴り響き、まるで東洋の魔法をかけられたかのようだった。

土曜の夜にバザールへ行く許可を求めると、叔母は驚いた様子で、それがフリーメイソンの集まりのようなものではないかと心配した。授業中、僕はほとんど質問に答えられなかった。先生の表情が、優しさから厳しさへと変わっていくのが分かった。怠け始めたのではないかと心配されているようだった。散らばった考えをまとめることができず、欲望と現実の間に立ちはだかる真面目な日常が、子どもじみた醜く単調な遊びのように思えた。

土曜の朝、おじさんに夜のバザール行きを告げると、玄関のハットスタンドで帽子のブラシを探しながら、「分かった」と素っ気なく返事をした。

おじさんが玄関にいたので、居間の窓辺に横たわることもできず、機嫌が悪くなった。ゆっくりと学校へ向かって歩き出す。冷たい空気が肌を刺すようで、早くも心に不安が広がり始めていた。

昼食で家に戻っても、おじさんはまだ帰っていなかった。時間はまだ早かったが、しばらく時計を見つめていると、そのカチカチという音にイライラし始め、部屋を出た。階段を上り、家の上階にある冷たく広い部屋へ向かう。その空虚な空間にどこか開放感を覚え、歌いながら部屋から部屋へと歩いた。前の窓からは、友達が通りで遊んでいるのが見えた。彼らの叫び声が、弱々しくぼんやりと聞こえてくる。冷たい窓ガラスに額を押し当て、彼女の住む暗い家をじっと見つめた。そこに1時間ほど立っていただろうか。目に浮かぶのは、想像の中の彼女の姿だけだった。茶色の服を着た彼女が、ランプの光にそっと照らされ、首を傾げ、柵に手を置き、ドレスの裾がかすかに光る姿。

階下に降りると、マーサー夫人が暖炉の前に座っていた。おしゃべり好きの年配の女性で、質屋の未亡人だった。彼女は何か信心深い目的のために、使用済みの切手を集めていた。彼女とのお茶を交えた雑談に付き合わされた。食事は1時間以上続いたが、おじさんは帰ってこなかった。マーサー夫人は立ち上がり、帰ると言った。これ以上待てないのが残念だと言いながら、8時を過ぎており、夜の冷気が体に良くないからと帰っていった。

彼女が去った後、僕は拳を握りしめ、部屋の中を行ったり来たりした。すると叔母が言った。
「バザールは、今夜は諦めた方がいいかもしれないわね」

9時に、おじさんが玄関のドアに鍵を差し込む音がした。独り言を言い、ハットスタンドが彼のコートの重みで揺れる音も聞こえた。これらの音が何を意味しているのか分かっていた。夕食の途中で、バザールに行くお金をくれるよう頼んだ。おじさんはすっかり忘れていたのだ。

「もうみんな寝て、最初の眠りについている時間だよ」と彼は言った。

僕は笑えなかった。叔母が力強く言った。
「早くお金をあげて行かせてあげなさいよ。もう遅すぎるんだから」

おじさんは、忘れていて本当に申し訳なかったと言い、昔からのことわざを信じていると話し出した。「働いてばかりでは、ジャックはつまらない子になる」というやつだ。僕にどこに行くのかと尋ね、再び説明すると、「アラブ人の馬との別れ」という詩を知っているかと聞いてきた。台所を出ると、おじさんは叔母に向かってその詩の冒頭を朗読しようとしていた。

フローリン銀貨を握りしめ、僕はバッキンガム・ストリートを駅へと向かった。買い物客で賑わうガス灯の煌々とした通りの光景に、旅の目的を思い出す。乗客もまばらな三等車両に座り込んだ。耐え難い遅延の末、列車はようやく動き出した。崩れかけた家々や、きらめく川の上を進んでいく。

ウェストランド・ロー駅では、人々が車両に押し寄せたが、駅員に押し戻された。これはバザール行きの特別列車だと説明されていた。薄暗い車内に一人取り残される。数分後、列車は急造の木製プラットフォームに停まった。外に出ると、時計の文字盤が10時10分前を指していた。目の前には、魔法のような名前を掲げた大きな建物がそびえ立っていた。

六ペンスの入場口が見つからず、バザールが閉まってしまうのではと焦った僕は、回転式ゲートを急いで通り抜け、疲れた表情の男性にシリングを渡した。大きなホールの中に入ると、半分の高さにギャラリーが巡らされていた。ほとんどの露店は閉まっており、ホールの大部分は暗闇に包まれていた。教会で礼拝が終わった後のような静寂が漂っていた。おずおずとバザールの中央へ歩み寄る。まだ開いている露店には、わずかな人だかりができていた。

「カフェ・シャンタン」の文字がカラフルなランプで照らされたカーテンの前で、二人の男性が銀のトレイの上で金を数えていた。硬貨の落ちる音に耳を傾ける。

ここに来た理由を思い出し、ある露店に近寄り、陶器の花瓶や花柄のティーセットを眺めた。露店の入り口では、若い女性が二人の若い紳士と笑いながら話していた。彼らのイギリス訛りに気づき、何となくその会話に聞き耳を立てた。

「そんなこと、言ってないわ!」
「いや、言っただろう!」
「いや、言ってないわ!」
「彼女、言わなかった?」
「言ったよ。俺、聞いたもん」
「あら、それは嘘よ!」

そのとき、若い女性が僕に気づき、近寄ってきて、何か買うつもりかと尋ねた。彼女の声には熱意がなく、義務的に話しかけてきたように感じられた。暗い露店の入り口に鎮座する巨大な壺を、まるで東洋の守護者のように眺めながら、小さな声で「いえ、結構です」と呟いた。

若い女性は花瓶の位置を変えると、再び二人の男性のもとへ戻っていった。彼らはまた同じ話題を繰り返し始めた。時折、彼女は肩越しに僕をちらりと見た。

その露店の前に長居していたが、そこにいても無意味だと分かっていた。商品に興味があるふりをして、わざとそうしているだけだった。やがてゆっくりと身を翻し、バザールの中央を歩いていった。ポケットの中で二ペンス硬貨を六ペンス硬貨にぶつけながら。ギャラリーの端から「明かりが消えた」という声が聞こえてきた。ホールの上部はすでに闇に包まれていた。

暗闇を見上げながら、僕は自分が虚栄心に駆られた愚か者だと感じた。そして、僕の目は苦しみと怒りで熱く燃えた。

(終わり)



『ダブリン市民』

目次

  1. 姉妹 (The Sisters): https://note.com/sorenama/n/nbd5eaf26557b

  2. 出会い (An Encounter): https://note.com/sorenama/n/nb5c00d143945

  3. アラビー (Araby): https://note.com/sorenama/n/n25fdac53bb65

  4. イーヴリン (Eveline)

  5. レースのあとで (After the Race)

  6. 二人の伊達男 (Two Gallants)

  7. 下宿屋 (The Boarding House)

  8. 小さな雲 (A Little Cloud)

  9. 対応 (Counterparts)

  10. 土くれ (Clay)

  11. 痛ましい事故 (A Painful Case)

  12. 委員会室の蔦の日 (Ivy Day in the Committee Room)

  13. 母親 (A Mother)

  14. 恩寵 (Grace)

  15. 死者たち (The Dead)


翻訳に関するお知らせ:
本作品は、『ダブリン市民』を、私がAIアシスタントのサポートを受けながら翻訳したものです。そのため、原作の文芸的なニュアンスや表現が一部正確に反映されていない可能性がありますが、作品の概要を理解するための参考としてお役に立てれば幸いです。

なお、この翻訳の著作権および翻訳権は私に帰属します。無断での転載や二次利用はご遠慮ください。

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