現代語で楽しむジェイムズ・ジョイス『二人の伊達男』【ダブリン市民 第6話】
「二人の伊達男」(「ダブリン市民」第6話)
ジェイムズ・ジョイス 作
8月のどんよりとした暖かい夕暮れが街を包み込んでいた。夏の名残りのような生ぬるい空気が通りに漂っていた。日曜日のため、店のシャッターは閉まっていたが、色とりどりの人々が通りを賑わせていた。まるで明るく輝く真珠のように、ランプが高い柱の上から生き生きとした人々の群れを照らし出していた。群れは絶えず姿や色を変えながら、温かい灰色の空に途切れなく続くざわめきを送り込んでいた。
二人の若者がラトランド・スクエ