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強い心、それこそがコンサル会社サバイバルの秘訣

佳乃2号のわがままぶりと暴言が限界を超え、温泉で騒ぎに陥ったアナリストコンビ、お嬢氏&新人Boy氏。2人の話に頭を抱え、プロジェクトの行く末を案じるヒルズ氏。そんな3人の前に、新たなる木村佳乃似美女が登場するのであった。(前回



諸君、もう一度言っておく。私は木村佳乃さんになんの恨みもないしむしろ好みど真ん中だ。しかしだ、「木村佳乃似」にはいかんせん苦手意識が芽生えてきた今日この頃。さて、3号にはどう対応すべきか。。。

◆"コンサル"会社

「で、ご用件は?」

突如現れた "木村佳乃似3号" を取り囲む我々。

一体この会社はどうなっているのか、使徒のように木村佳乃似が襲来する。ちなみにオリジナルはわが社総務の通称佳乃氏、2号は皆さまご存知わがままモデル佳乃2号だ。

場所はオフィスの外にあるラウンジ。

社内に入る前に一旦こちらで、とお願いをしたところだ。何せ佳乃2号と登場シーンが同じすぎる。これ以上の悪夢は引き起こしたくない。対岸の火事は対岸でとどめるべきだ。これがまだ対岸なら、だが。

我々から発せられる恐ろしいほどの威圧感を前に、戸惑った表情の3号。

必殺、コンサルおらおらモード(*)だ。
基本、年齢が2回りほど上の経営層を相手にすることが多いコンサルタントたち。年齢に関わらず威圧感を出す術を覚えるというもの。

「えーっと、遊びに来る?って社長さんに言われたんですが、、、」

きたーーーーー。
大げさなため息が全員から漏れいでる。

弊社はコンサル会社ですからね、訪問してくださり我々としては嬉しいのですが、来たところで面白いかしら。
冷ややかな笑顔を保ったままお嬢氏が答える。

「え?」

佳乃3号がきょとんとした表情を見せる。

「「「 え?って、え??? 」」」

あ、あの、モデル事務所って聞いてたんですけど?

は? モデル事務所?

えぇ、、、モデル事務所。

あーーー、モデル事務所ね、、、

えぇ、、、、

ははは、、、

◆平気で嘘をつく人たち

結局、3号にはコーヒーをふるまい、会社パンフレットを説明し、お引き取りを願った。

「くい止めましたね!」
安堵のため息をつく新人Boy氏。

あぁ、そうだとも、入れていたら「讃岐うどん湯けむり温泉」企画でも始まりかねん局面だった。我々もサバイバル能力が随分と上がってきたものだ。

しかし、社長よ。
メディア企業とのプロジェクトに熱心な理由がよくわかったぞ。クラブMではコンサル兼モデル事務所経営者という肩書なのだろう。そのダシにメディア企業プロジェクトは使われている、ということか。

平気で嘘をつく人たち、というのは実在するのだな、、、苦々しく思いながら今度こそオフィスに戻る。

ドアを開けた瞬間、飛び込んでくる爆乳総務の姿。
「ヒルズさん、社長がお呼びです」

はい、こちらが呼び出したいくらいです。

ーーー

「失礼します」

窓から見える東京タワーをバックに社長が立っている。

でね、ヒルズ君、メディア企業とのプロジェクトについてだが、、、

「よかったですね!佳乃2号さん、ついにTVデビューですよ!」
間髪入れず切り込む。

え、あ、ああぁ、、

「温泉取材については "不思議なことに" 行き違いはあったようですが、撮影は無事終了したようです、メディアの取材班?えぇ私からうまく言っておきます、えぇ、大丈夫です」

何やら言いたげな社長を残し、悠々と部屋を出る。

構っている暇はないのだ。
ここからはイヤホンをして仕事をするぞ。私は決めた、呼び出しには応じない。何としてでもだ!

◆佳乃2号からのお手紙

ようやくプロジェクトが正常化、年明けからの案件も確保されている。
年末はほっと一息つけそうだなーー。
安堵していたある日、一通の封筒が社長宛に届いた。

佳乃2号からの訴状であった。

社長室に呼び出される総務、法務、経理担当。
そして、私。

内容は、詐欺と肖像権侵害について。
騙されて取材に対応させられ、かつ映像を使われた、というもの。お嬢氏とのバトルについては特に言及がなかった。

恥ともいえる内容だったが、私の非ではない。和解金はプロジェクトコストに入れ込まないよう、念入りに確認したうえで部屋を出る(*2)。私も強くなったものだ。

それにしてもだ、
「あいつ、愛人じゃなかったのか、、、」
性格はあれな感じだったが、騙されていたとすると同情の余地もある。ちやほやされると思って来たのに、マネージャーの1人もつかず戸惑っただろう。いや、さっさと気が付けよという気もするが、、、


◆癒える心

あれからプロジェクトは見事に軌道修正、中間報告会も無事に終えることができた。
前髪カールは恥ずかしげもなく打ち合わせに出ている。
「蕎麦打ち湯けむり温泉」企画は、どういうわけか無かったことになっている。誰も触れない機密プロジェクト、いや単なる黒歴史だな。

お嬢の心の傷?

あぁ、心配無用だ。
あの日、佳乃3号を追い払い、
オフィスのドアを開けた先にいた人物ーー。

そう、みんな大好き爆乳総務だ。
そのインパクト大のいでたち。


人は真に秀でた者を見ることで、自分の「50歩100歩」ぶりに気が付き冷静さを取り戻す。一瞥した瞬間、お嬢氏はつぶやいた。

「すぐ軌道修正案をまとめますので、1時間後に」

さらりと髪をかき揚げ颯爽と歩きだすお嬢氏。尊敬の眼差しで後ろをついていく新人Boy氏。

ヒルズに平穏が戻ろうとしていた。


- 蕎麦打ち湯けむり編 完 -

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(*) 圧倒的に年上と接することの多いコンサルタント。当然クライアントには物腰柔らかに接するが、舐めてかかられるのもまずいため"威圧感"を出す術を自然に覚えるものの多いことよ。

(*2) 弊社ではプロジェクトごとに採算管理がされているが、気を抜くと社長の無駄遣い費用がしれっと紛れ込む。心すべし。

Twitter: @soremajide


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