コンサル流、パソコンスキル向上方法
佳乃2号歓迎会の帰り道、ヒルズ氏たちは角刈り氏とギャル氏に呼び出されトリーズコーヒーに向かう。そこでヒルズ氏は、佳乃2号のスキル「ブラインドタッチ」を自慢し社員を混乱に陥れた我らが社長(Sタンフォード卒)の話を聞かされるのであった。(前回)
諸君、最近な、自分が転職したのは本当にコンサル会社なのか心配になるんだ。いや、いつもは真面目にコンサル業務を遂行しているのだよ? ただな、こんな日は、、、
さて、聞くのも怖いが、角刈り氏語りの時間だ。心して耳を傾けよう!
◆広がる混乱
それは社長の「ブラインドタッチすげー」発言が空気の振動となり社員の聴覚器官に到達、脳内で無事に認知がされた頃だ。
(ぐぁ!)
(ごほぉお!)
(ぇ、ええええええ、、、?)
前を向いていてもわかる。
今の社長発言で、5名ほどが逝った。
戦慄を覚える角刈り氏。
某外資系生命保険会社での営業はきつかったんだ。もう少し別の世界を見たいと思いコンサル会社に転職した。理不尽なことはあるが、業務内容はなかなか面白いと感じていた。それなのに、、、
いったい我々は今、
何を告げられているのだ?
「お嬢氏さん!ブラインドタッチって差別用語って感じる人もいるら、、、ぐはっ!」
角刈り氏の回想をさえぎった新人Boy氏が、お嬢の強烈なエルボーをくらい沈み込む。それが差別用語なら窓にかかるブラインドはどうなるんだ?あいつらなしにオフィスの快適空間は守られないぞ?
「そんなわけで、我々も混乱していたのだが、、、」
少しハードなSMプレイを繰り広げる二人を前に、角刈り氏の回想が続く。
◆ブラインドタッチの真意
「あの、社長」
猛者の一人が社長に質問を投げかけた。
「どういう意味での”ブラインドタッチ“でしょうか?」
ニヤリと笑う社長。
思い出して欲しい。今、社長は右手を上げてリンゴを持つポーズを決めているのだ。
さらに左手をあげ、手のひらを上へ。
パードン?ポーズが決まった。
こんなところだけSタンフォード卒風とは。
「だから、君たちは効率が悪いのだよ?」
軽く下を向き首を左右に振る。
「彼女はねぇ、」
ドラマティックに前を向き、すしさんまいポーズへ移行。
「前を向いたままキーボードが打てるんだよ!」
あぁぁーーーーーー!!!
あれですね、 "ブラインドタッチ" ですね、なるほどなるほど、わかります!えぇえぇ。凄まじい疲労感とともにコーヒーを流し込む。
我々は、オフィスに戻るべきなのか、、、?
いやその前に、こんな馬鹿話を伝えに2人はトリーズへ?違うだろう。
となると、話はここからなのか。
◆業務命令
ブラインドタッチの意味を把握し、社員たちが転職サイトを検索しだしたその後も、社長の暴走は加速したのです。
悲痛な顔で角刈り氏が続ける。
「メディカルチーム!」
突然の指名に顔を上げる。
「角刈り君、メディアチームと協力して、彼女のブラインドタッチ技術をオンライン講座にするように!」
「「「 は、、、はい? 」」」
トリーズコーヒーの室内温度が急激に低下した。
我々の反応に深くうなづく角刈り氏。
もう私もあまり転職を繰り返したくなくてね、社長には逆らわないようにしていたんだ。でも、今回は限界。
ちゃんと告げたよ。
「業務との兼ね合いがございますので、チーム全体で稼働を確認させていただきます」
なぜかグッとくる我々。
角刈り、お前、いいマネージャーじゃないか!
でもね、そんなことで止まる社長じゃない。わかるだろ?
「君ねぇ、マネージャーなのにプライオリティーを理解していないのかい?社内全体のスキルアップにつながるんだぞ!」
「これは、業務命令ですよ!」
うまい返しを考える間もなく、
社長はすりガラスの向こうに消えたんだーー。
回想を終えた角刈り氏が、ようやくコーヒーを口につける。
嘘だろ?
ブラインドタッチ動画?
しかもオンライン講座で? 一体誰得だ?
お嬢、新人Boyも言葉が出てこない。
「あ、もう一つ、メディアチームに」
動揺を通り越し凍結状態の我々に、
角刈り氏が追い打ちをかける。
「湯けむり蕎麦打ち企画だっけ? あれ、佳乃2号さんを使えだって」
(次へ)
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