『世界の本当の仕組み』から学ぶ、未来を見通すための7つの真実
今回ご紹介させていただくのは、ビル・ゲイツも「2022年最高の本」と絶賛し、原書のAmazonレビューが4000件を超える『世界の本当の仕組み』です。
読み進めるうちに、私の世界の見方が大きく変わっていきました。
将来的には、技術革新によって環境問題は解決できのでしょうか。
AIの進化や宇宙開発など、技術の発展には目を見張るものがあります。
ただ、本当にテクノロジーだけで全ての課題が解決できるのでしょうか。
そんな疑問を抱えていたときに出会ったのが本書です。
著者のバーツラフ・シュミル氏は、40年以上にわたってエネルギーや環境問題を研究されてきたカナダの科学者。
マイクロソフトのビル・ゲイツ氏も「最も尊敬する著者の一人」と評される方です。
💡 本書の特徴:データが語る現実
本書の最大の特徴は、世界の仕組みをデータで丁寧に解き明かしていく点にあります。
例えば、以下のような事実が次々と明らかになっていきます:
環境先進国として知られるドイツでさえ、20年という歳月をかけても、化石燃料への依存度を6%しか下げられていない現実
私たちの食事の40%が化学肥料によって支えられているという事実
再生可能エネルギーの設備を製造する過程でも、相当量の化石燃料が必要とされる矛盾
ただし、本書は単に厳しい現実を突きつけるだけではありません。
データに基づきながら、これからの世界がどのように変化していくのか、私たちにできることは何かを、非常に分かりやすく解説してくれます。
🎯 特に印象的だった3つの章
1️⃣ エネルギー編:再生可能エネルギーの現実
「脱炭素化」や「再生可能エネルギーへの転換」という言葉をよく耳にしますが、その実現にはどのような課題があるのでしょうか。
風力発電や太陽光発電の設備には、大量の鉄鋼やセメントが必要となります。
そして、これらの製造には現状では化石燃料が不可欠なのです。
理想と現実のギャップに、深い考えさせられました。
2️⃣ 食料編:現代農業の実態
現代の農業システムは、実は化石燃料に大きく依存しています。
肥料の製造、農業機械の燃料、輸送など、あらゆる段階で石油が使用されているのです。
特に印象的だったのは、化学肥料がなければ世界人口の40%が十分な食料を得られない可能性があるという指摘です。
「オーガニック農法」や「自然農法」への完全な移行は、現実的には極めて困難かもしれません。
3️⃣ 材料編:現代文明を支える4つの素材
現代社会を支えている4つの重要な材料をご存知でしょうか。
セメント
鉄鋼
プラスチック
アンモニア
これらの素材なしには、現代の生活は成立しません。
私たちが日常的に使用しているスマートフォンやパソコンも、これらの材料があってこそ製造が可能になっているのです。
📖 こんな方に特におすすめです
🔍 世界の「実像」を理解したいとお考えの方
💡 テクノロジーの未来について関心をお持ちの方
🌍 環境問題について本質的な理解を深めたい方
💼 ビジネスの長期的な展望を描きたいとお考えの方
🎁 本書から得られる3つの価値
1. イデオロギーから解放された視点
環境問題は往々にして「環境保護派 vs 開発推進派」という二項対立の構図で語られがちです。しかし、本書を読むことで、そうした単純な対立を超えた視座を得ることができます。
データに基づいて冷静に現実を見つめる力は、ビジネスにおいても非常に重要な資質だと考えています。
2. より良い意思決定のための基盤
「再生可能エネルギーへの投資は妥当か」「新技術の導入はどのようなタイミングで行うべきか」
このような判断を求められた際、本書で学んだ視点は大きな助けとなります。私自身、社内のSDGs関連プロジェクトで本書の知見を活用し、より建設的な議論を展開できるようになりました。
3. 説得力のあるコミュニケーション
感覚的な議論ではなく、具体的なデータや事実に基づいた対話が可能になります。特に若手の方々にとって、本書で得られる知識は、上司との建設的な対話を実現する上で大きな助けとなるでしょう。
💭 本書を読んで得られた3つの変化
技術革新に対する期待と不安が「現実的な理解」へと変化
環境問題を「感情論」ではなく「データ」に基づいて考察できるように
世界の未来について、より具体的で建設的な議論が可能に
率直に申し上げて、読了時には少々重い気持ちになりました。しかし、現実を正確に理解することは、より良い未来を築くための第一歩です。本書は、そのような勇気も与えてくれる一冊です。
© バーツラフ・シュミル/草思社
※本記事は、著作権・翻訳権に最大限配慮して執筆しております。