【詩】香りの記憶 ~沈丁花~
仕事に夢中になれない
できない奴の烙印が怖くて
できるふりをしてる
考えているふりをしている
分かったようにふるまっている
同僚の熱量に焦げそうになり
先輩の情熱を受け止められず
できない自分に向き合いきれない
お酒の力を借りて
虚勢を張って
それに合わせてくれていることに気が付かず
大見得を切る
夜風にあたりながら
沈丁花の香りを感じる
違うちがう
もっと素直に前を見て
もっと素直にできない自分を受け入れて
もっと素直にできないことを叫ばなきゃ
恥ずかしいくらい地道なことをしよう
妥協や諦めができるほど動いていない
新たな学年を迎える前の
何でもできそうなこの気持ち
困難なんて乗り越えられると根拠なく思えるこの気持ち
表彰台のてっぺんは見えている
その上に立つ自分を想像できる
と言葉に出して気持ちの退路を断つ
三日月の夜空を見上げながら
口角を上げて歩く道
日の出が待ち遠しくなってきた