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アリ地獄のような社会で。


平日の朝は、NHKでニュースを見るのが日課になっている。昨朝も出る直前の5分間だけ真剣に見ていたが、その時間帯はちょうど社会的なニュースが流れているのだ。

たまたまだが、二十代女性の自殺率が上がっているという報道だった。ちょうど私は20代後半なので、この年代に当てはまっている。

実際に縦棒グラフで示されると、なんとなく真実味を感じるものだ。

取り上げられていたのは若い女性向けのNPOで、日々ネット上で「死にたい」といった若い女性の相談に答えているらしく、オンライン通話での相談も受けているとのことだった。

残念ながら最後まで見れなかったものの、そういう活動をしている人たちの存在は心強いものだと感じる。

ただ、活動をしているのは、おそらく自身も苦しんだ経験をした人たちがほとんどだろう。NPOはそこまで稼げる活動ではないはずであり、寄付と善意でギリギリ成り立っているはずである。

このNPOは女性向けだが、単純に自殺者の数で比べたら男性の方が多い。
性別に関係なく、誰もが日本の社会構造で息苦しさを感じているのではないかと思う。

特にキャリアにおいては、昨今転職する若者が昔に比べてかなり増えていると思われるが、実際に転職した経験がある身としては、そんなに気軽にできるものではないと思う。

私の場合はコロナの影響を色濃く受けていたこともあるが、無職になってからの転職活動は世知辛い物だった。
第二新卒歓迎の転職サイトでも、別の職種に転職するのは相当厳しく、紹介できるところがないと言われた。

営業やシステムエンジニアの求人なら紹介できると言われたが、私は向いていないと感じていた。それでも、エージェントの話を聞いていると自分が我儘なのではないかと思わされたし、実際そうなのだろうと思う。


もし周りから、生まれで身分が決められていた時代と比べたら今の若者は恵まれていて、転職までできるのだから幸せではないかと、そう言われてしまえば口を噤むしかないだろう。

ただ、
面と向かって『仕事を選ばなければ仕事なんていくらでもある』と言われていたら、私は生きていく希望を失っていただろうとも思う。


選ばなければよい、一度足を踏み外したら一生自分の理想の仕事なんて無理なのだと。
そう思わされれば、自分を責めて病んでしまっても仕方がないように思う。

特に今まで真面目に勉強をしていた人間は、社会に出てから急に自分が無価値になったような気分になるのではないだろうか。もちろん、全く意味がなかったとは思わないし学歴主義は未だ根付いているだろうが、それでも社交能力の方が求められていると常々感じている。

私は現に、発達障害の診断を受けられなければ、事務に転職なんて無理だったろう。
派遣で雇ってもらい、そこから直接雇用してもらえるように努力するしかなかったろうが、私はあいにく仕事ができる人間ではないしコミュニケーションも得意ではない。


そうして絶望した先に待っているのは、きっとより深い絶望だったろう。社会で生きることを諦めて引きこもっていたかもしれないし、もうこの世にいなかったかもしれない。


だから絶望してしまう人の気持ちは想像に難くない。私はやりたくもない仕事をして神経をすり減らし続けるのが嫌だと思うのは、ごく普通の感情だと感じる。
少なくとも、我儘ではないと思う。


だって、周りを見渡せば自分のやりたい仕事をして、日々やりがいをもって生きている人もいるのに、たった一度の選択ミスでその後の人生が一生狂ってしまのに、絶望するなという方が無理だろう。


私はただ、その人が働いてみてやっぱり違う、体力的に厳しいかもしれない……そう思い環境を変えたいと願うのは、我儘ではないと伝えたいと思う。
知り合いに介護の仕事をしていて、休職し転職活動をしようと決意している人がいるが、それが甘えだとは思っていないし、無謀だとも思わない。
だが現状厳しいだろうことは分かっているので、絶対大丈夫とは言い切れないのが歯がゆく思う。
世の中を知らないなかで選んだ職業が体力的に厳しいと分かり、それでもその仕事を一生続けろというのは酷なことだ。ただ、世の風潮としては、未だに未経験での転職への風当たりは強いのが現実である。


人生100年時代と言われるなか、どちらかというと希望よりも絶望を感じる人の割合が増えたろうが、それは格差があまりにも大きいからだろう。

あまりにも格差が大きくなり、隣の芝生は濃く青々と見え、余計に絶望を募らせてしまう。
これ以上歪む前に軌道修正され、社会がもっと希望を持てるようになって欲しいと思わずにはいられない。

少なくとも、歪んでいるのは個人ではなく社会なのだろうと思う。

どうすれば良いかと聞かれてもわからないが、
社会に引きずられないように、溺れないよう足掻き続けるしかないだろう。



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