あるのは、ただの承認欲求。
承認欲求。
人が誰しも持つもの。それは止まるところを知らず、どれだけ高みに登っても、またさらに上を目指す。
より読まれるには、より多くの人に届けるにはどうすれば良いか。何かしらの創作をする者なら、誰しもが考えることだろうと思う。
しかし、承認欲求の強さがちょうどよい塩梅でないと、続けるか辞めるかの白黒思考になってしまう……
主婦でネット小説を書いている方の近況報告を見て。
そこそこ知名度の高いネット小説投稿サイトに、小説を投稿するようになったばかりの頃。
たまたまそのサイトで毎月行われているコンテストに、短編を投稿したとき。さっそくコメントをくれた方がいた。
その人は、同じコンテストに投稿している他の小説にもコメントを残していた。恐らく自作の宣伝も兼ねて、他の小説も読むタイプの人なのだろう、と思う。
現在その人は、私の小説も読んでくれるようになり、私もその人の書いている長編を今でも読んでいる状態だ。
たまたま私の短編を読み、初めて読んだうえでコメントまでくれたことから考えて、その人はかなりの時間と労力をそのサイトにつぎ込んでいるのだろうと思っている。
私もその人に倣って、コンテストに応募されている他の短編をいくつか読んで、コメントを残したりイイね(※)をしたりしたこともあったが、すぐにバカバカしくなって辞めてしまった。
※そのサイトにはイイね機能のようなものがあり、気に入った作品に毎日一回イイねを押すことができる。そういう性質上、作家同士が毎日イイねを送り合うこともある。
ただその人の近況報告を読んで、初めて育児をしている主婦の人だと知った。他にもその人と似た境遇の女性作家の人がいたが、書いているジャンルや熱心さもよく似ていた。
おそらく二人とも、子育ての合間に、ネット小説を投稿したり読んだりしているのだろう。ただし、どの作品も数千のイイねを集めているが、ブクマの数は二桁だった。
娯楽がたくさんあるネット社会において、宣伝しなければ読まれないというのも事実だ。素人が売れるにはそれぐらいすべきなのだろう。
真摯に小説を書いているということはわかるので、そういう積極的に他の作家と交流する姿勢を否定はしない。寧ろこのネット社会で多くの人に読まれるためには、それ相応の時間と労力を割いて自分を知ってもらう努力をするのも必要なのだろう。
主婦であるかどうかは関係ないのだが、現代の作家に女性が意外と多く、専業作家には既婚者が多いと知ったとき、自分の異質さを改めて感じたのも事実だ。
私は結婚する気は全くないが、既婚者という確立した立場があり執筆も出来るという環境は、作家にとってはお誂え向きかもしれないなとは思う。
専業作家は少なく女性が多いことについて
「やひろ」さんの、この記事を去年読んだときから、記事の内容は心の片隅にずっとあった。
『小説だけでは食えない』という言葉は、この記事を読んで腑に落ちたけれど、残酷な響きに思えた。
男性の作家は小説以外にも収入がありそうな人ばかりであったり、女性の専業作家はおそらく既婚者ばかりだろう、という事実は自分のなかに残っている。
もし作家になれたとしても、一生独身で後ろ盾があまりない私は、生活していけないだろう自信がある。
もちろん、おそらく既婚でない女性で作家の人もいる。
2016年に芥川賞を受賞して一躍有名になった「村田沙耶香」さんは、はっきりとはネットに書かれていないが、おそらく独身であろうと思われる。
彼女の著作である『コンビニ人間』は、自身がコンビニでバイトをしながら書いていた体験を基にして書かれたものであり、私としては、専業で『書くこと』を仕事にしている数少ない女性の一人として尊敬している。
※芥川賞を受賞した後も、コンビニバイトを暫く続けていたようだが、恐らく今では専業なのではないかと思う。
ちなみに、私が今書いているものは、小説のなかでもマイナージャンルであり、たとえ売れたとしても専業で書くことは難しいだろう。
男性も女性も、多くの人が結婚してパートナーがいるなかで物書きの仕事をしている。
私はマイノリティーの一人として、障害者雇用で雇われている会社員という立場は捨てられないにしても、今後もどこかで何かを書き続けたいと願っている。
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※自作HPにも載せました。アクセス数は1桁か2桁ですが、応援してくださる方が少しでもいらしたら嬉しいです。