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強迫性障害と長風呂

部屋で全裸になり、物の位置を全て指定した場所に置き、事前に作った文章を読み上げることで自分に暗示をかける「リセット」。

リセットは高校在学中に何回も行ったし、そして行うたびに、条件が厳しくなっていく。

読み上げる文章は長くなり、部屋の隅々の汚れまで気が行くようになる。

読み上げる文章を途中で読み間違えば、地獄を見る。

脳内に不快感が発生する。


何十回もリセット行い、気付けば私は、リセットに丸一日を費やすようになっていた。

リセットを行えば、疲労で他のことができない。

まぁこれは、勉強しなかったりドラムの練習をしなかったりする言い訳になるわけだが。

後から聞いた話では、リセットのために家中を徘徊する私を見て、家族は心配していたらしい。


「服の感覚が邪魔」という理由で、リセットは途中から全裸で行っていた。

体や部屋の汚れも無視できなくなった。

それによりいつからか、リセットはお風呂で行うようになった。

お風呂で体を洗い身を清めたら、バスタブの前に直立し、目を閉じて言い聞かせを行う。

当然、尋常でない長風呂になる。


以前は15分くらいの入浴で済んでいた私が、ある日を境目に1時間近く入浴するようになったら、当然家族はその理由を聞いてくる。

物の位置が、自分の指定した通りでないと心臓が破れるほどの不快感があること。

文章を音読して自己暗示を行なっていること。

「リセット」と呼ぶそれらの行動を前々から行なっていたこと、その場がバスルームに移ったこと。

全て、私は家族に隠した。

変だと思われたくなかった。

長風呂は、お風呂が好きだから長くなっただけだと答えた。

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