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99匹のうちの1匹

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連載詩
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#連載詩

99匹のうちの1匹

99匹のうちの1匹

 はじめに

戦前から戦後にかけてできた、“大衆”や“我々”といった羊の群れのような概念がある。そこからこぼれ落ちてしまったその一匹は、群れに溶け込めず、怠惰な生を続けるには文学に縋るしかなかったと思う。

文学は異端者を受け止めてくれる。
どんな人間でも、変幻自在に受け入れてくれる。
そう思う。

令和。
僕は異端ではなかった。
別に、ごく普通の、よくいる、いい感じの家庭で生まれ育って、そこそこ

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1.99匹のうちの1匹

1.99匹のうちの1匹

 【99匹のうちの1匹】

一度僕が死んだとして、それは正常でいわゆる正義なのだと思った。悲しいのも、さみしいのも、全部、死人のものじゃなかった。

感情を抱えるのは現世の特権。

死んでゆく夜を捕まえて、お前はまだ死ぬなと叫んだ日、代わりに僕が少しずつ死んでいるような気がして、だんだん、だんだん、季節の狭間の溝に、浸かっていった。僕がこのまま夜に浸かって消えて無くなってしまっても、僕は僕のことを

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3、致死率100%の生

3、致死率100%の生

 【99匹のうちの1匹】

心躍ることがある。

ヒトという生物は、死ぬということ。

ぼくらの、普遍と恐怖と不変が、あわさっている。母体の中のような安心感があるのは、それが、胎児の記憶だからだろうか。いつの間にか埋め込まれた、当たり前への恐怖が、どこからかモリモリやってくる時、ぼくは本当は安心しなきゃいけない。涙が出てくるのを、不安だとかストレスだとか、そんなもので片付けたくない。一生分の涙でお

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30. 憂鬱な回転木馬

30. 憂鬱な回転木馬

 99匹のうちの1匹

きみの明日が素晴らしいものになれば、それは僕の自由とイコールで、回り続ける東西の輪が、明日を連れてくる。

文字を知らない回転木馬。
夢だけを見て、僕の正気を疑った。ここには何もないことを、何も考えていない無機質な無意識が蔓延っているだけなことを、ハイヒールの裏側に隠している。
踏み潰している。

頭蓋骨を、
何もないと踏み潰している。
きみは素晴らしいと言う代わりに、踏み

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