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99匹のうちの1匹

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2022年2月の記事一覧

6、爛れた脳味噌を掻き混ぜる

6、爛れた脳味噌を掻き混ぜる

 【99匹のうちの1匹 】

時が経てば経つほど、自分が、汚れていく気がする。制限の緩和。僕らが毎日 目にしているものは、実際ほとんどを僕は知らない。君も、ほとんど知らない。あいつも、あの子も、知らない誰かも。自分の知らないを集めたら一人の人間が出来上がった。僕の成り損ない。そんなもの。
でも、僕にはソレに成れなかった。
その集団は僕に襲いかかって(襲いかかってなんていない。ただ、僕には襲いかかっ

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7、無知ならよかった

7、無知ならよかった

 【99匹のうちの1匹】

理解の再確認が無知と捉えられること。黒猫にでもなって、どこまでも優雅に歩いていたかった。野良になって威嚇したまま過ぎ去ってしまえる日を、夢見てた。あたたかい布団の中。
自分の中の自分をナイフで刺されている。
やわらかな、ゴム製のナイフ。
深くは突き刺さっていないが、確かに、ぼくの核を貫いていた。浅い場所に数多存在する、ぼくの核。突かれる度に吐き出される劣等は加速して、ヒ

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8、添え木の成り損ないの

8、添え木の成り損ないの

 【99匹のうちの1匹】

僕はキミの助けにはなれない。
指のスライドで、キーボードのプッシュで、繋がったキミに、僕はなんとでも言える。ただの他人だ。キミがどう思っているか、なんて僕にはホントはすごく、とても、関係がないし、それよりキミの晩ごはんが知りたいな。

明日の天気が晴れではない事。
僕の腹は黒く澱んで、そうしてポッカリ穴が開く。だれもその穴を知らないし、僕は、それを知られたくない。そうし

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9、最低を踏みつけて腹を空かせる

9、最低を踏みつけて腹を空かせる

 99匹のうちの1匹

無数に伸びる手が、ちから無く垂れ下がっている。ぼくを蝕む無知が、理想が、夢が、追いかけてくる。

夢を見た。

好きと嫌いは表裏一体。攻撃的であればあるほど、僕には魅力的に見える。関心のない君のこと、全く知らないを笠に着て、受け入れさせてよ。僕は味方だよって、根拠のない安心をさせてほしい。

僕は無関心なフリをして、劣情を抱いている。
感情の一致なんてできないから、したくな

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