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8、添え木の成り損ないの

 【99匹のうちの1匹】

僕はキミの助けにはなれない。
指のスライドで、キーボードのプッシュで、繋がったキミに、僕はなんとでも言える。ただの他人だ。キミがどう思っているか、なんて僕にはホントはすごく、とても、関係がないし、それよりキミの晩ごはんが知りたいな。

明日の天気が晴れではない事。
僕の腹は黒く澱んで、そうしてポッカリ穴が開く。だれもその穴を知らないし、僕は、それを知られたくない。そうしてしばらくすると、空いた穴に木を植える。だれも、木を植えてくれないから、その木は僕が植えるのだ。やがて、やがて安定した木は僕自身になって、僕を飲み込んでいく。僕が僕である為に植えた木は、僕ではないナニカに僕を侵食していった。

春。

冬のうちに蓄えたその木は、枯れる。
僕は誰にも知られたくないけど、僕はキミのことを知りたいなんて、それはきっと傲慢。キミは僕のことを友達だと言って欲しいけど、僕は友達だと思いたくないって、そう言ってるのと同じだ。
季節が勝手に巡っていく度に、僕はミニマリストになっていく。


モノを手放し、ゴミ箱に入れた。

まるで自殺する前みたいだねって、キミはそう笑って言った。