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日記:静かな女神の行列:西脇順三郎詩集
本当は詩を声に出して読みたいのだけど、なかなかそのタイミングがありません。前に文章力アップのため、筆写と音読をルーティンにしていたことがありましたが、詩を読み上げるのは照れくさいのです、お恥ずかしいことに、照れくさい。
西脇順三郎さん(1894-1982)の詩をゆっくり読んでいます。短歌や俳句の方が好きだった私を、「詩」に振り向かせた詩人さんです。比喩ではなく、読みすすめるごとに、一言ひとことが絵筆のごとく、次から次へと新たな光景が描かれてゆきく。パステル画の、幾重にも塗り重ねられて明るく濁り、幽玄とした狂気をはらむ、そんな絵です。
美しい光景の中にやりきれない体臭が漂うような、そんな落とされ方をしたりするのですが、どれも好きです。そういった中で、次の詩なんかは比較的ここち良いまま酔えます。
雨
南風は柔い女神をもたらした。
青銅をぬらした、噴水をぬらした、
ツバメの羽と黄金の毛をぬらした、
潮をぬらし、砂をぬらし、魚をぬらした。
静かに寺院と風呂場と劇場をぬらした、
この静かな柔い女神の行列が
私の舌をぬらした。
梅雨前だけどまだまだ爽やかな今の季節をあじわうのに良き言葉かなーと思います。西脇さんが詩について述べているあとがきがあって、それもとてもおもしろかったのですが、ご紹介はまた次の機会に。
(雑記)
ベランダで残り物のスープをいただきました、本当に気持ちの良い季節です、とはいっても1年中きらいな季節はありません。
(日記:2022年6月1日)