うつしおみ 第54話 永遠の在処
淡く儚い世界に永遠を求めても、
それは存在しない宝物を探しているようなものだ。
それでも魂が永遠なるものを求めるのは、
心地よい時間を永続させたいと願うからだ。
永遠なる幸せ、永遠の愛、永遠に生きること、
この瞬間の陶酔が色褪せないようにと願う。
だが、その願いが叶うことはなく、
幸せは翳り、愛は古い記憶となり、生命はいつか失われる。
だからこそ、魂は永遠という時間に憧れ、
あの瞬間を失われずにいられたらと思うのだ。
儚い世界に身を置く魂は自身の無力を憂い、
その憂いこそが永遠なのではないかと嘆く。
憂いが続いていくことは悲嘆の谷に落ちていくようだが、
ときおり歓喜の光も訪れるのだ。
その光によって永遠でないことの素晴らしさに気づき、
だがそれによって魂は世界に囚われてしまう。
永遠を望んではいるが、永遠を望んでいないという矛盾が、
魂の中で落ち着きのない混沌を生み出す。
永遠はそんな魂の中心にいまも在り、
それを中心として世界と魂は時の渦に巻かれている。
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