うつしおみ 第34話 世界の夜明け
魂たちは乾いた砂に埋もれたこの世界を、
美しい楽園に変えようとする。
そうして世界を変えれば、
暖かい自分の居場所で安らげると思うのだ。
それは苦い失敗を重ねながら、
太陽が何度も空を巡るよう続けられる。
だが、そんな魂たちの試みをよそに、
世界は確実に何処かへと向かっている。
目的地は地平線の向こうに隠れて見えないが、
世界には分かっている。
疲れた魂たちの恨み節が空に響くが、
それでもこの砂漠での旅は終わらない。
世界は痩せて傷ついた魂たちに、
あの真実の夜明けを見せたいのだ。
自らの内に輝く太陽を見つけ出し、
それでこの荒涼たる世界を照らして欲しい。
そうなれば、世界は仕事を終えて、
輝く光のその中で眠ることができる。
世界は疲れ果てた魂たちに旅を続けさせ、
その時が来るのを待つのだ。
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