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日本の受験制度ってどうなの?「ヘンサチ至上主義」になってない!?

今の日本の受験制度は控えめに言って、教育的なマルトリートメントではないかと感じています。

学校批判とか先生批判ではなくて、社会全体の問題として、私たちが当たり前と思ってしてきたことを異なる視点で考え直してみる機会にしませんか?

この記事は、子どもが安心して自己肯定感を高めながら学校生活を過ごすには?という視点を、親として、教育に関わる大人として、子どもに関わる皆さんと考えるために書きました。

「偏差値至上主義」!?



受験の熾烈さは一般的な認識として知ってはいたけれども、我が子が中高生時代を経て初めて、「偏差値至上主義」とも言える現代の日本の受験制度を生々しく感じたのでした。

中学3年生になると学校の先生も子どもたちも「ヘンサチ、ヘンサチ」ばかり言う。
まるでヘンサチオバケに囚われているみたい。


「試験」自体は、資格取得や入学、就職等、必要な「システム」には違いないのです。が、私が1番問題だと感じる点は、日本の受験制度が「子どもの学ぶ意欲」を置きざりにしていること。


偏差値より大切なのは、子どもの気持ち、子どもの人権。
「あなたのために…」という言葉で、子どもを縛ってはいないか?

子どもの人権を尊重できていますか?子どもが安心安全に過ごす権利は守られていますか?

「高校受験調査」から考える


マズローの5段階欲求で有名なピラミッドの図あります。学びたいと思う気持ちは、身の安全が保障されていると感じられた時に初めて生まれてくる欲求です。

Benesseが2011年に行った「高校受験調査」によると、

受験の悩みについて、子どもは「合格できるか不安だった」(80.6%)がもっとも多く、次いで「なんだかイライラした」(65.6%)、「何を勉強すればよいのかわからなかった」(64.5%)の順に多い

Benesse「高校受験調査」2011

という調査結果が出ています。

リンク先
https://benesse.jp/berd/up_images/research/data_all1.pdf



「受験は大変なもの。辛いもの」(高校受験でも中学、大学でも何でも)ということが当たり前のこととして、私たちの中に根づいてしまっているので、この結果を見てもさほど違和感を感じない人も多いかもしれないのですが、

受験生である1年間、あるいは夏休みから受験を意識しはじめた子もいるとして、少なくとも半年間、8割の子どもが「合格できるかどうか」と不安やイライラを抱えながら過ごさなくてはならないと思うと、精神的に豊かで健やかであるとは到底思えません。


一方、アンケート結果で母親が抱えていた受験の悩みは、

「子どもが合格できるか不安だった」(74.3%)がもっとも多く、次いで「子どもの成績が思うように伸びなくて悩んだ」(54.2%)、「受験にむけて何をサポートすればよいのかわからなかった」(44.2%)の順に多かった。また、子どもの性別でみると、男子の母親のほうが「子どもの成績が思うように伸びなくて悩んだ」「子どもに口出ししすぎてしまった」などの比率が高かった。

Benesse「高校受験調査」2011


リンク先
https://benesse.jp/berd/up_images/research/data_all1.pdf


親も子どもが「もし受験に失敗したらどうしよう」とピリピリします。高校受験に「この子の将来がかかっている」と思っているからですよね。

特に私たち母親は子どもと対面する時間が多い分、何かできないかと思うあまり口を開けば「勉強したの?」「もっと頑張って」と声をかけてしまいがちです。

子どもにとっての束の間の休息さえもサボっている、だらけているようにみえてしまう…

受験を理由に、子どもも大人も「不安」をかかえ、点数が悪かったと教室で「泣く」子「悲しむ」子の姿…
親は子どもの成績やサポートの仕方に「悩み」良かれと思って口を出し、
子は「うるさい」「ほっといて」と「反抗」し、親子関係が「ぎくしゃく」…

負のループ。

そこまでして受験に身も心も費やす必要ってあるのでしょうか?
もっと負担のない他のやり方・仕組みをつくれるのではないでしょうか?


学校で試験がない!?フィンランドの教育



北欧の多くの国がそうであるように、フィンランドの学校では、15歳までは人と比べるような試験はありません。

学校間にほとんど「格差」がなく、同様の教育の質を保っているので、高校を選ぶ際も「あそこがいい!ここがいい!」と選ぶ必要がなく、自然に地域の学校に進む子が多いそうです。
15年前で既にそのやり方がスタンダードでした。


日本の場合、私立の学校だと授業料が高く、大学進学には多額の費用が掛かってしまい、各家庭の環境・経済状況によっては子どもの学ぶ環境や進学に影響を与えますが、

一方フィンランドでは、プレスクール(就学前教育学校)から大学院までの教育費が全額無料となっているため、
学ぶ意欲のある子どもは、どの子でも学びの機会を与えられます。


『格差をなくせば子どもの学力は伸びる—驚きのフィンランド教育』福田誠治/著 亜紀書房 2007

「格差をなくせば子どもの学力は伸びる 驚きのフィンランド教育」福田誠治


「教育」にまつわる子どもたちの現状
〜ヘンサチオバケを脱却しよう〜



「学び」を楽しもうと思える子どもが少ないばかりか、進路を苦に自殺する子どもたちが大勢いることを知っていますか?

報道の影響か、子どもの自殺の多くは「いじめ」が原因と思われていますが(私もそう思っていました)、
警視庁が公表している自殺の原因としてわかっているもので「入試に関する悩み」「進路に関する悩み」「学業不振」等、学業や受験に関連する理由が、自殺の30%ちかくを占め、「いじめ」や「学友との不和」を理由とする自殺よりも圧倒的に多いのです。

※詳しくは、武田信子先生の『やりすぎ教育』ポプラ新書 2021
関心ある方は武田信子先生のnoteもチェックしてみてください☑️




子どもたちは「このままじゃ高校に行けないかもしれない」という脅しのような暗示をかけられ、自分に興味があることを探究することなどできず、「試験」のためだけの勉強をし、試験が終わったら「解放された」と学びを放棄する。

あるいは、学び続けることを諦めてまだ自立する準備ができていないのに早々と「就職」を選ぶ子もいる、、、

「自分はバカだから」「自分が高校に行っても意味ないから」と言わせてしまうことが悲しい。

今の学校での詰め込み型の「学び」が楽しいと思えない子どもが多い。当然といえば当然。

学びの方法が違えば、大人の意識が違えば、もっと「学ぶって楽しい!」「もっと知りたい!学びたい」と思えたはずなのに。

いきなり学校は社会は変わらないけど、私たち大人の意識を変えていきましょう?

中学生でも高校生でも「学ぶことが楽しい!」「楽しくっていいんだ!」と思える学校、そろそろ増やしていきませんか?


偏差値でしか子どもを測ろうとしない社会がおかしいと、私たち親もそろそろ気づくべき。声をあげる時機。


水木しげる先生が大人たちの偏った考え方を「ヘンサチオバケ(偏差値おばけ)」と言っていたのを思い出します。

私はヘンサチオバケにはなりたくないのです。
みなさんはどうですか?

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