【飲食業界】3/30ニュース~はま寿司使用期限切れネタ提供~
こんにちは。
本日は元はま寿司の社員として、「はま寿司の使用期限切れネタの提供」についてお話していきたいと思います。
私は、アルバイト時代を含めてはま寿司に7年程勤務しておりました。店舗責任者として、「日本一提供スピードの速い」お店を作り、コロナ禍でも年間5度の店舗レコードを更新した実績がございます。
今回の事件の原因は急拡大する飲食チェーン店の弱点「店長教育」であると私は考えております。
それについても詳しく解説しておりますので、飲食店で働く皆様必読の内容となっております。是非ご覧ください。
【記事について】
はま寿司にて従業員による告発で、使用期限切れの食材を提供していたことが発覚しました。
内容は当記事を読んでいただけると詳しく書いてありますが、要点だけこちらでご紹介します。
【記事の要点】
〇「はま寿司 郡山堤店」では使用期限切れの食材を提供することが常態化していた。
〇使用期限の改ざんは店長の指示のもと行われていた。
使用期限ははま寿司が独自に決めた基準
使用期限は食材を使用する状態になった時刻から、何時間以内ならお客様においしく・安全に提供できる期限であるのかをはま寿司が独自に決めた基準です。
例えば解凍したマグロを寿司ネタにした場合、24時間以内なら提供できるとする。といったラベルを貼ります。
【飲食知識が無くても判断できるための基準】
個人店や小規模のお店では、職人が鮮度を見極めて生で使用するのか、天ぷらにするのか、焼くのかを判断しているところもあるでしょう。単純に仕入れからの日数で消費期限を決めずに、鮮度を見て決めているお店も多くあります。
しかし、はま寿司のような規模の大きな回転寿司では、アルバイトが主体、かつ経験の浅い従業員でもネタの使用可否を判断する必要があります。
そういった場合に一律で「当日廃棄」「24時間以内」「48時間以内」などの基準を作成する必要があります。
その基準は会社によって異なってきます。
私ははま寿司では7年間勤務しましたが、他にもかっぱ寿司でのアルバイト経験もあります。
はま寿司では24時間以内の使用期限だったものがかっぱ寿司では翌日まで使用可能。逆もまたしかり、といった違いがございました。
使用期限が切れているかといって、すぐにでもお客様の身体に影響があるものではありません。
しかし、使用期限の改ざんはお客様への裏切り行為です。
私は今回の問題に対して、
「指摘できない店長が多すぎる」ことが最大の原因であると考えています。
急拡大チェーン企業の弱点。「指摘できない店長」
はま寿司は2002年にゼンショーHDの子会社としてスタートしました。
今や店舗数ではスシローに次ぎ575店舗で2位まで成長しています。
月商3000万円規模の店舗をたったの20年強でここまで拡大するペースは、他では類を見ない急拡大といえるでしょう。
社会人2年目で80名規模をまとめ上げられるのか?
それだけの店舗拡大には同じ数だけの店長が必要になってきます。
はま寿司の新卒採用サイトによると、最短17カ月でのストアマネージャー登用が可能となっています。
実際に、2年目で店長になる社員がたくさんいます。
しかし、社会人2年目で80名規模もアルバイトのいるお店を、任されるだけの能力が身に着いている人の方が少ないと言えるでしょう。
アルバイトよりも経験が浅い店長。アルバイトよりも知識・能力の低い店長が数多く存在するのが現状です。
見て見ぬふり店長でお店は崩壊する
その状況で生まれるのが「見て見ぬふり店長」です。
「社歴の長いアルバイトがやっているから。このお店は今までこうやってきたから。」という理由で平気でルールを守っていない店舗は本当に多くあります。
本来、チェーンストアにおいて「店舗ルール」といった各店舗で変わるようなルールは存在してはいけません。
しかし、社会人経験の浅い店長ではそれが「当たり前」になってしまうのです。
そういったベテランアルバイトのやりたいように「店舗ルール」が作られてしまったお店の次の段階は
〇モラルが崩壊する
〇不正が蔓延する
〇頑張りたい従業員が辞めていく
この状態にならない為には会社のルールを守らない従業員に対して「指摘」することが大切になってきます。
ほんの些細なことでも、しっかりと「指摘」できる店長がいれば、お店は悪い状態には進みません。
しかし、今回問題の起きているお店は『店長が不正を指示していた』という状態にまで悪化が進んていたようです。
なぜ「見て見ぬふり店長」がさらなる悪化を生み出すのか
「見て見ぬふり店長」が生んだ不正だらけのお店は、改善しようとすると経営数値が悪化します。
それは、今までの経営数値は『不正で成り立っていた数値』だからです。今まで使っていた廃棄食材を正しく廃棄すれば、<原価は悪化>します。勤怠を付けさせずに残業させていた従業員に正しく勤怠を付けさせれば<人件費は悪化>します。
着任した店長が、「見て見ぬふり店長」でなければ最初はお店の数値は悪化してしまうものなのです。
評価制度にも問題がある
お店の数値が悪化してしまい、自分の評価が落ちてしまうことを嫌がる店長は自分の就任期間は何事も問題が起きないように「見て見ぬふり店長」を続けてしまいます。
しかし、それは本人の倫理観にだけ責任があるのではありません。
店舗の数値の悪化をすぐに本人の評価に結び付ける評価制度にも問題があるのではないでしょうか。
本事件を機に、飲食チェーン店は評価制度の見直しを是非お願いしたいですね。
飲食店経営においての「指摘」の重要性
ここまではま寿司の問題を例に挙げ、見て見ぬふり店長がなぜいるのか、それによってお店はどうなっていくのかを説明していきました。
「なぜ指摘できないのか」と「指摘できない店長はどうなるのか」についても解説していきます。
【なぜ指摘できないのか】
〇従業員に嫌われたくない
〇従業員に辞められたら困る
〇指摘していいのか分からない
人は誰しも嫌われることを恐れます。
指摘した従業員に辞められたら、その責任をとれるか分かりません。
そもそも、会社として指摘することが正解なのか、先輩社員は指摘していなかった。
「今までこうやってきたから」「前の店長はこれでいいって言ってた」そんな意味の分からない理由を言われますよね。
飲食店の社員であれば、一度は経験したことあるでしょう。
しかし、そのままにしておくことは、自分自身を苦しめていくことになってきます。
【指摘できない店長はどうなるのか】
〇従業員になめられる
〇指示・命令が通らなくなる
〇頑張っている従業員の信頼を失う
〇お店に行くのがツラくなる
〇仕事が嫌になる
ほんっとうにこの状態になります。
辞めていく社員・店長をたくさん見てきました。
見て見ぬふりをしてしまったことは一種の共犯だと思ってしまう人がいます。上司に相談するということは、共犯をした事実を話さなければいけません。そんな意識が相談することを妨げてしまいます。
【どうしたらいいのか】
まずは「上司に相談」してください。
その場で指摘できなかったことは、共犯ではありません。
現状をしっかり把握し、上司と作戦を立てて対応すればいいのです。
食材を不正に持ち帰っているという事実を発見した場合、その場で指摘することが正解とは限りません。
上司に相談し、周囲の従業員に聞き取りをするのか、本人と話すのか、作戦を立てて行動すれば良いのです。
上司の方々は、その場で指摘しなかったことを責めることはないでしょう。上司も一度はその経験をしているはずです。必ずあなたの立場に寄り添ってくれるはずです。
まとめ
本日は「はま寿司の使用期限切れネタの提供」について、元社員としての意見を解説しました。
<今回の問題の原因>
〇「見て見ぬふり店長」の存在
〇急拡大に対する店長教育の不足
〇評価制度が「見て見ぬふり店長」を育てる
を考えていきました。
ドキッとした店長・経営者の方もいたのではないでしょうか?
意識はいつでも変えられます。
嫌われることを恐れて「見て見ぬふり」をしても、信頼はされません。
信頼されていないお店で働いても心は死んでしまいます。
悩んでいる方がいらっしゃいましたら、パーソナルプランの参加をおすすめします。誰かに打ち明けることで、見て見ぬふりを辞められるきっかけになるかもしれません。
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