ゆる哲|#1 |テセウスの船
ここに100個のパーツでできた船がある。
1個のパーツを取り替える。
残99個は元のパーツのままだ。
この船は「元の船」と「同じ」だろうか?
——同じだと思う。
じゃあ2個、3個・・・とパーツを取り替えていったら?
そして100個全てのパーツが入れ替わったら?
その船は「元の船」と「同じ」だろうか?
——?——?——?——
これは「テセウスの船」と呼ばれるパラドクスだ。
こういう問いである。
これは、突き詰めれば「"同じ"とは何か?」という同一性の問題に帰着する。
「パーツ」に重きを置けば、100個全てのパーツが入れ替わっているので、その船は「元の船」とは「別の船」との結論になるだろう。
一方「見た目」に重きを置けば、どんなにパーツが入れ替わろうとも見た目が同じなので、「元の船」と「同じ船」と言えるだろう。
この「テセウスの船」は、何も机上の空論ではない。
そう。私たち自身にも当てはまる。
私たちの細胞は、日々入れ替わっているという。
古い細胞から新しい細胞へ。
今日は細胞Aが、明日は細胞Bが、明後日は・・・
このように、どんどん細胞か入れ替わっていく。
2023年の「わたし」には、もしかすると、
生まれたときの「わたし」の細胞は1つも残っていない、かもしれない。
もしそうだとしたら。
「人が変わったね」というセリフをよく耳にする。
「別人になっちゃったみたい」とも。
もしかすると。
それはその人が「テセウスの船」に乗っているからかもしれない。
同じ人間と捉えるか、別人と捉えるか。
それはあなたに委ねられている。
だって、あなたも「テセウスの船」の乗組員なのだから。
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