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君が触るなら滑らかに剃刀


『またすぐ歩けるようになるから大丈夫やで』

そんな奇跡、起きない確率のが高いのにさ
一丁前に信じてくれてさ。

ごめんね、そんな嘘、吐かせて。

動かない脚を飄々と揉む彼の
横顔が少し淋しかった。

冷たくなった脚を彼が撫でる。
『がんばれ、がんばれ』って呟きながら。

優しさが、私には少しだけ剃刀。

いつか、どうか戻ってきてね、私のあんよ。

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