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わたしの仕事はタロット研究
今のわたしの仕事は、マルセイユ・タロットの研究をすることだ。
研究というと少し大げさかも知れない。
タロットに描かれた象徴を調べて、その中のいくつかをそのときどきで発信する。
マルセイユ・タロットとは、22枚の大アルカナと呼ばれる不思議なカードと56枚の小アルカナと呼ばれるトランプに似たカードからなるセットで、占いやセラピーなどのリーディングや気づきのために用いられるものである。
その伝統は古くから伝わるが、版木とステンシルの多色刷りだったカードの制作が産業革命期に4色印刷機に変わったことや教えが秘伝だったことによって、たくさんの知恵が埋もれてしまった。
ヨーロッパでもその知恵が掘り起こされ続けている。
わたしは日本の西の端っこの島に暮らしながらそれを掘り起こそうとしている。
毎朝、食後の片付けをして、短い瞑想などをし、タロットを開いて研究の手順を整える。
タロットにガツンと魅了された
それは、20年近く前に、あるイベントで、ホドロフスキー・カモワン版マルセイユ・タロットに出会ったことから始まった。
そこではタロット・リーディングの公開セッションを含んだミニ・セミナーが行われていた。
相談者の女性が悩みを話し、それを「質問」としてタロットがシャッフルされ、カードが1枚1枚と引かれて展開されていく。
女性が話すことに対し、リーダー(読み手)の人がカードを指し示して、どの図柄がそのことを表しているかを解説する。
女性の話とカードの図柄が符合していく様子がわたしの中に強い印象を与えた。
ミニ・セミナーのあと、個人セッションの枠があったので、勇気を出して悩みをリーディングしてもらうことにした。
本気の悩みでいくか、それとも軽いもので聞くか思案したが、結局は本気の悩みでいくことに決心した。
質問は「内向的行動パターンを続けていてもいいか」。
リーディングしてもらうと、カードがたくさん出て、リーダーの人から母親との関係性を指摘された。
わたしが困惑していると「では、そうじゃない(続けない)場合のリーディングもしてみましょう」と言われて、カードを引くと展開はシンプルに少なくなった。
自分の殻から出ることに抵抗していたわたしはぐうの音も出なかった。
セッションが終わり、自分の悩みがカードの上に露呈したことから来る動揺と興奮が一通り収まると、それにしてもカードと相談者の体験がよく一致するものだと驚いたり、感心したりした。
そして3か月後に行われるマルセイユ・タロットの初級講座を受けることにしたのだ。
その講座以来、マルセイユ・タロットはいつもわたしの傍らにある。
大きなきっかけ
いろいろと調べたり学んだりしてきたが、よりエネルギーを傾けるようになったのにはきっかけがある。
それはタロット・マンダラというものだ。
神仏の世界を表す胎蔵界マンダラや金剛界マンダラなどが有名なあのマンダラである。
タロット・マンダラでは、タロットカードを一定のルールに従って配置すると、それによって現れてくる法則的な知恵や世界観がある。
タロットの初級講座では、大アルカナを縦3段横7列で並べる基本のマンダラを中心に、縦2段横10列で並べるマンダラなどがあることは習っていた。
ある冬、中級講座を受けたとき、他の数種類のマンダラが紹介された。
その話を聞きながら「わたしにもマンダラが見つけられる気がする」という小さな確信がひらめくのを感じた。
帰宅してから、アイデアをくれそうな本を引っ張り出したり、模式図を書いてみたりの試行錯誤が始まった。
混乱の後、マンダラの形定まる
春が過ぎ、夏が来た頃、マンダラは一応の形になった。
だが、そのマンダラに目を凝らしても頭をひねっても、なかなか興味深いことは浮かんで来ない。
それもそのはずで、そのときのわたしには分かっていなかったが、マンダラはまだ完成していなかったのだ。
そのときから約3年経ったある日、マンダラは根幹部以外の配置が大きく変わり、概形が整った。
それまではカード単独でしか見つけられなかった知恵が、マンダラの配列の中で法則性をもって見つけられるようになった。
その後もわずかな変更が一度あったが、今はもう形が定まっている。
タロット調べのお仕事
タロットを調べることは、由来や語源を知ることが好きな人にとってはとても面白い。
2つばかり例をあげてみよう。
![](https://assets.st-note.com/img/1695216743097-YSeQNlUWg2.jpg?width=800)
先日、書いた「空色の犬を連れた『愚者』☆光るくちばしのパフィン」の例の中から大まかにあげると――
![](https://assets.st-note.com/img/1695216781641-taIKiLqMp3.jpg?width=800)
タロットを眺めていて、
・『愚者』のカードで後ろからじゃれつく空色の犬の目の描かれ方が、他のカードの犬の目とは異なることに気づく
・描き方の相違には何か意味があるはずだと気に留める
調べていくと、パフィンという鳥が線を描いたような目をしているという情報にぶつかり、パフィンが「海の道化師」という愛称で、『愚者』の道化師の衣装に符合することを見出す。
しかもパフィンはブラックライトを当てると空色に光る部分があるという新情報まであり、犬が空色であることとも符合する。
また、例えば――
・『愚者』の杖が赤いことが目を引く
・杖の先がカードの枠を突いているような描かれ方をしている
![](https://assets.st-note.com/img/1695217064636-EhFHDAfKe7.jpg?width=800)
調べていると、ハンノキという樹木は切り立てのときには真っ赤なさまをしているという情報に出会う。
さらに、ハンノキの木材が水に強いこと、水に強いので水上デッキなどの基礎の杭として用いられることを知る。
『愚者』が赤い杖をついている枠のところに水たまりがあるという符合を見出す。
このように、ひとつ符合することが見つかると、それが別のこととも符合するか否かで、方向性が的を射ているか知ることができる。
タロットの知恵を伝えたい
このような符合だけでも面白いのだが、わたしがタロットに打ち込むことを続けていくのはその先に更なる醍醐味があるからだ。
ハンノキの木材のように水に強い赤い杖は、『愚者』が感情に流されない軽やかな心で進むことを示す。
『愚者』にじゃれつく空色の犬は、これから『愚者』が賢明な『隠者』になっていくための精神的探求の旅に伴う導きや後押しを象徴する。
タロットの象徴はこのような知恵のメッセージを含んでいる。
それらの知恵は、度々やってくる人生の関門でわたしが何とか前に進もうとするときの心の支えになってきている。
タロットの象徴は面白い。その面白さが内向的なわたしにこのように、人に伝えようとする行動を起こさせる。
この面白さ、興味深さや知恵を掘り起こし、他の人にもシェアしていくのがわたしのタロットの仕事である。
発掘したタロットの面白さを日本の西の端っこから伝えていこう。
ソフィア