「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第22話
「オンボロ屋敷に現れた妖怪カッパくん」その1
ハルオの側に立つヤモリくんが指さすその先には・・・。
な、なんと緑色の顔に、まるでキュウリを輪切りにして二つ並べたような目の中につぶらな瞳を光らせたカッパがいた。
カッパは、その眼をニコリとさせながら窓の向こうに上半身だけを見せて立っていた。
カッパは、ハルオと視線を合わせると、頭のお皿の水がこぼれないように両手で皿を押さえて、ちょっとモジモジしながら
「ハルオさん、はじめましてカッパです」と
礼儀正しく丁寧にお辞儀したのだった。
なんとも、礼儀正しいカッパで怪しい物の怪や妖怪らしさはまるでなかった。
それをハルオの隣で黙ってみていたヤモリくんは、カッパにこちらへ来るようにと手招きをした。
すると、カッパは窓枠を乗り越えてハルオの前までやってきた。
そして言った、
「実は、ハルオさんにお礼を言おうと思いまして・・・」
と、そこまで言うと。
カッパは、ハルオの目をじっと見て続けて言った。
「陶芸家のゴダイさんのカッパ騒動の時には。ハルオさんは、食べかけのキュウリを見つけたことで、私の存在に気づいたにも関わらず知らぬふりをしてくださいまして有難うございました」
と言って、また深々と頭のお皿を両手で押さえながらお辞儀をしたのだった。
そのカッパくんの姿を見てハルオは、
「いやー、これは驚いたなー。カッパって妖怪だから、ボクはもっと恐ろしくて怖いものだと思っていたのだけれど本物の河童は全然違うんだね。なんだかカッパくんを見ていると、まるでユルキャラの中に人が入って動いているみたいに見えるよ」
と言ったのだった。
そして、続けて
「そうか、この夏の日照りでも、ボクの家のキュウリだけは豊作だった謎がこれでとけたよ。きっとカッパくんは、ボクたちへのお礼の気持ちでやってくれていたんだね」
と言ってニッコリとほほ笑んだ。
それを聴いたカッパくんは、
「ケロケロケロ、いいえ、ほんのお礼の気持ちだったのです・・・」
と言って、頬を赤くすると、頭をかく代わりに頭のお皿の水をピチャチピチャと指でかき回したのだった。
人間のハルオと妖怪のカッパくんが、少しだけお互いに打ち解けたと思われた所でヤモリくんが2人を見ながら言った。
「ハルオさん、今日カッパくんがオンボロ屋敷に来たのは。じつはハルオさんにお礼を言う為だけではなかったんですよ。さあ、カッパくん、ハルオさんにあの話を・・・」
とヤモリくんがカッパくんに、何事かを促すと。
それまでニコニコと話していたカッパくんの表情が、一瞬くもったかと思うと、すぐに真剣な表情に成ってカッパくんが話し始めたのだった。
「ケロケロえーと、ケロケロケロえーとですねケロ・・・」
と、モジモジとしているカッパくんに、ヤモリくんが
「さあ、カッパくん!」
とハッパをかけるとカッパくんは、やっと話し始めたのだった。
「じ、じつはですね。ハルオさんに折り入ってお願いしたいことがありましてケロ・・・」
以後次回に続く・・・(次回のオンボロ屋敷の桃色ヤモリくんは、2週お休みして2021.1.16日に更新予定です😌)カッパくんのハルオへのお願いとは、いったいどのような事なのか🙄・・・次回をお楽しみに😊
そして、みなさま良いお年をお迎えください🐄✨🌄🌅🌞💖。
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連載小説(不定期)
「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第22話「オンボロ屋敷に現れた妖怪カッパくん」その1
終り
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「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第23話「オンボロ屋敷に現れた妖怪カッパくん」その2へつづく
「オンボロ屋敷の桃色ヤモリくん」第1話~のマガジン
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記事内使用画像・フリー画像素材Pixabay より
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2020.12.26 26.14時30分一部修正 26.15時加筆 2023.12.27加筆修正