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掌編小説「鉄塔になった少年」少年の希望は、ヒーローになることだった・・・。
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少年の希望は、ヒーローになることだった・・・。
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でもなぜか、少年は、丘の上に立つ鉄塔になってしまったのでした。
それには、こんな訳があったのです・・・。
それは、数日前の事です。
少年は、いつも通りに、通学路にある横断歩道を渡っていました。
すると、
「キィ、キィィィーーーー」と。
大きなブレーキ音が聞こえました。
車は、少年の前を、ゆっくりと歩いているお婆さんを目掛けて突進しています。
とっさに少年は、お婆さんを助けようと駆け寄りました。
しかし、その時
「キィ、キィィィーーーー! ドーン!」
辺りに、鈍い音が響き渡りました。
「キャーーー! 人が、轢かれたぞ! 」
少年とお婆さんの所へ、人々が集まってきました。
救急車が直ぐに呼ばれて、二人は病院へ運ばれたのでした・・・。
少年のおかげで、お婆さんは、大した怪我もせずに無事だったのですが。
しかし、少年は・・・。
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丘の上で、少年が、目を覚ますと鉄塔になっていました。
「こ、これがボクの姿?
ど、どうしてボクが、鉄塔なんかに・・・」
少年には、その理由が全く分かりませんでした・・・。
鉄塔になった少年は、体を吹き抜けてゆく風の
「ヒユー、ヒュルルルー、ヒユー」
と、言う音を聞きながら、その理由を考えました。
夜になると。
少年は、満天の空に輝く星を見上げながら。
なぜ、こんな姿になってしまったのか考えると。
少年は、悲しくて涙がこぼれました・・・。
しかし、少年には、いくら考えても。
それが、なぜなのかは分からなかったのです・・・。
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ところが、ある日のことです。
夕暮れの空に、茜色に照らされた怪獣雲が現れました。
するとその時、少年は、あることを思い出したのです・・・。
そうだ!
「ボクが、病院のベッドで寝ている時に神様が現れたんだ。
そして神様は、ボクに、こう言ったんだ・・・」
「君は、とても素晴らしい少年だ。
だから私が、君の望みを1つだけかなえてあげようと思う・・・」
と・・・。
それでその時、ボクは、
「ヒーローになりたい」
と言ったんだ。
すると神様は、
「君は、お婆さんを助けただろう。だからもうヒーローに成っているよ」
と言ったんだっけ。
それでボクは、
「違うよ。ボクは、怪獣から街を守るヒーローになりたいだ!」
と言ったんだ・・・。
なのに・・・。
「きっと神様は、白い髭を生やしたお爺さんだから、昔の怪獣映画しか見ていなくて。
変身ヒーローが、怪獣から街を守ることを知らなかったんだ・・・」
と少年は思ったのでした・・・。
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少年は、雨の日も、雪の日も、じっと丘の上に立ち続けました・・・。
そして、少年は、とうとうある事に気づいたのです。
それは、電気で命をつないでいる人々が、病院や自宅に大勢いるということに・・・。
そして、その電気を送っているのは鉄塔であるということに・・・。
鉄塔である自分は、怪獣と戦うカッコ良いヒーローではないけれども。
人々を助けている、ヒーローであることに気づいたのでした・・・。
これから、もしも貴方が何処かで鉄塔を見かけることがあったなら。
この話を思い出してくださいね。
もしかしたら、貴方が見ているその鉄塔は。
ヒーローになりたかった、誰かの生まれ変わりかも知れないのですから・・・。
掌編小説「鉄塔になった少年」終
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2024.9.27 9.28加筆 10.3加筆
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