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ウォルター・ウィックの世界な日

 昨日は色々と活動的だったのに、書く時間が取れなかった。今日は今日の日記と言うよりは、昨日がメインになるかもしれない。今日のことも書きたいんだけどなぁ。まぁ、書けたら書けますか。

昨日、事務所の同期、以前の日記に書いた衣装班のチーフとともに、かくれんぼ絵本のミッケ!のイベントに来た。前に渋谷のPARCOで開催されていたミッケ!であそぼう展に行ったときに、クイズに正解した人の中から抽選で、ミッケ!の作者である、ウォルター・ウィックさんの講演に参加できる、というもので、見事チーフが抽選に当たったのだ。くじ運とは無縁な私もその恩恵にあずかることができた。正直、人生に置いてほとんどミッケ!に触れてこなかった私が行っていいものなのかどうか、初めは少々気遅れしてしまったが、「一緒にミッケ!展行ったんだからこれも一緒に行こうよ!」とチーフが言ってくれたので、最終的に楽しみになっていた。ミッケに限らず、最近絵本に興味が出てきていたので、絵本の作者さんのお話を聞けるのは、とても貴重な経験だ。自分にとって、なにかの糧になるような気がしたのだ。

服装はミッケ!で出てくるシーモアくんに合わせて、赤、黄色、青でまとめた。会場に着くと、ロビーにはミッケ!の絵本の1ページが、大きなパネルでいくつか展示されていて、私達を含め開場を待つ人達が、ミッケ!を楽しんでいた。あちこちから、「フォークどこ?」とか「貝殻あと3つ!」、「舟見つけた?」、「あ!フクロウミッケ!」なんてセリフが飛び交っていた。まだロビーだが、ここに来ている人達は、皆ミッケ!が好きなんだなぁ、と実感した。会場は子供が多かったが、一緒に来ている大人達もとても楽しそうだった。ミッケ!で育った人、ミッケ!で育てた人、今現在ミッケ!で育っている子供たちが一堂に会する、そんな場所なのかもしれない。

開場し着いた席は、前から4列目の真ん中。前は小さな子供達ばかりだったが、チーフはミッケ!で育った、私からするとガチ勢だ。ちゃんとしっかり観たかったらしい。
日本のミッケ!担当編集者の方の司会でイベントがスタートし、ウォルター・ウィックさんが登壇した。初めにウォルター・ウィック さんの生い立ちから、ミッケ!の写真の作られ方、絵本のストーリーについて、詳しく丁寧に、そして、実際に絵本に使われている写真を使って、見ている人達を楽しませながら説明してくれた。
私がハッとしたのは、ストーリーについてだった。ミッケ!という絵本の仕組み上、本を読む、というより、文字で書かれているものを写真の中から探す、というところにフォーカスが当たるし、それが醍醐味、それが楽しい、と思うのだが、実はそれだけではなく、絵本1冊の中の写真は全て繋がっていて、1つのストーリーになっているらしい。それは物語だったり、その写真の中の物が、何かをするための装置だったり、内容は様々。ミッケ!で育ったチーフもそれには気づいていなかったらしく、目を輝かせていた。そしてそれはチーフだけではなかったらしく、説明されたときにあちこちから「お〜!」と声が上がっていた。なぜ気づかなかったのか。それは普通の絵本のように、文章ではストーリーをほぼ説明しないからだ。このことから、ウォルター・ウィックさんの作る物語は、彼の「写真を読む」ことで初めて知ることができるのだと感じた。ミッケ!の楽しみ方は、文章で指定された物を写真から探す、だけではなく、絵本に載っている写真の全体を通して、物語を読む、というところにもあるのだ。そしてそれは説明がない分、きっと多くの人の想像力を働かせ、想像した人の分だけ様々な物語が展開する。二重にも三重にも人を楽しませようと作品を作る、ウォルター・ウィックさんのクリエイティブさに、まさに脱帽した。

第2部では、予め募集されていたウォルター・ウィックさんへの質問に対して、ご本人が答えていく、というコーナーだった。私が気になったのは、ミッケ!のキャラクターである、シーモアくんが生まれたきっかけだった。
シーモアくんの身体は、木のビーズとプラスチックのビーズ、そして針金でできている。シーモアくんが生まれる前は、作品の中に、必ず1匹のかえるを登場させていたらしい。ある時、ウォルター・ウィックさんが友人のまだ幼い娘さんに、かえるのことは伝えずに絵本を渡したらしい。娘さんも私達と同じように、指示された物を写真の中から見つけ出していったが、最後に「どのページにもかえるがいるわね」と言われて驚いたことから、シーモアくんというキャラクターが生まれたらしい。このことから私は、何気ない遊び心は、日常の意外な出来事から、何かに気づいたり、何かを変えたりすることのできるアイディアに変わることがある、なんてことを思った。いつになっても想像と遊び心は無くしたくない。ちなみに今シーモアくんにはボタンという愛犬がいるらしく、この公演を通して私のお気に入りのキャラクターになった。

ウォルター・ウィックさんの世界は、私では到底語り尽くせないが、今までミッケ!に触れてこなかった私でさえ、これだけの発見があった。チーフのように小さい頃からミッケ!に触れてきた人達にとっては、得るものはもっと大きかったのではないかと思う。チーフはいつか、まだ自分の持っていない新しいシリーズのミッケ!をコンプリートする、という意志を固めていた。
今回の講演を通して思ったのは、やはり子供達が終始笑顔で講演を聞いていたということだ。日本はもちろん、世界中で愛されるミッケ!の偉大さに触れる1日となった。

今日のこともちらほら書くつもりだったのに、ミッケ!の講演のことを考えていたら、なんだかこれで充分な気がしてきた。今日のことは、気が向いたら明日少し書くかもしれないし、書かないかもしれない。明日新しい経験があったなら、多分書かないだろうけど、明日のことは書くつもり。

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