ウィンブルドンでも活躍!ホークアイが提供する、テニスのイン・アウト判定
ソニー広報部のRNです。
テニス観戦がお好きな方は、毎年この時期を楽しみにされているのではないでしょうか。
そう、四大大会の一つ、ウィンブルドンのシーズンです!
試合中、選手がボールのライン判定に異議を申し立てることのできる、「チャレンジ」。CGの検証映像を観客が拍手で迎える様子は、テニス中継ではおなじみの光景ですよね。
ウィンブルドンでは、チャレンジが初めて導入された2007年から、ボールのイン・アウトの検証を行う 「Electronic Line Calling」 は、ソニーのグループ会社であるHawk-Eye Innovations(ホークアイ)が提供を行っています。
誤差2 mm以内!公平性の高い試合運営に貢献
ホークアイは、チャレンジがプロテニスツアーに正式導入された2006年から、数多くの大会にサービスを提供。四大大会ではこれまで、全仏オープン以外で活用されてきました。
(クレーコートで行われる全仏は、コートについたボールの跡を確認できるため、まだチャレンジは導入されていません)
その誤差は、2 mm以内。非常に高い精度で判定を行い、観客や視聴者にもわかりやすいようにCG映像で結果を映し出すことで、公平性の高い試合運営に貢献しています。
ウィンブルドンの場合、導入当初の2007年は、センターコートとNo.1コートのみでしか使えなかったチャレンジでしたが、今では試合で使用するすべてのコートで可能です。
コロナ禍を機にテニスコートにも変化が
以下の二つの動画は、いずれも全豪オープンのハイライト映像です。見比べてみると、コート上の変化に気が付きませんか?
2019年 女子決勝
2021年 女子決勝
そう。2021年は、選手の後ろに立っているはずの線審がいないんです。
代わりに、イン・アウトの判定はすべて、ホークアイの提供するリアルタイムラインジャッジサービス 「Hawk-Eye Live(ホークアイ ライブ)」が行っています。そのため、選手はチャレンジができません。
時々、アウトであることが明らかな判定に対してチャレンジを行い、相手の流れを切ろうとする選手もいますが、Hawk-Eye Liveが導入されている大会では、それもできなくなります。
新型コロナウイルス感染症が世界で拡大を続けていた2020年夏の全米オープンは、大会参加者の健康と安全を守るため、関係者の数を抑える必要がありました。そのため、四大大会として初めて、ほぼすべてのコートで線審をHawk-Eye Liveに置き換えて試合が行われました。いわば、コート上の「密」の回避に、Hawk-Eye Liveが使われた形です。コロナ前の全米では、審判は400人必要でしたが、Hawk-Eye Liveに置き換えたことで、2020年は72人の審判で運営することができたそうです。
以来、四大大会では、2021年の全米、2021年・2022年の全豪で、Hawk-Eye Liveが使用されています。
計18台のカメラで判定を行うHawk-Eye Live
通常のチャレンジでは、コートの周囲に設置された10台のカメラの映像から、ボールの軌道とラインとの関係を解析。ショットが決まるたびに全てのデータの照合を行っており、選手がチャレンジを要求した時に判定結果を再生します。
Hawk-Eye Liveでは、このプロセスをリアルタイムで行い、ボールがバウンドするたびに判定が行われます。イン・アウト判定に使用するカメラは12台で、ボールがラインを割った際には、コンピューターの音声でコート内にアウトがコールされるとともに、チェアアンパイア(主審)にも音や映像で判定が知らされます。際どいショットの時は、通常のチャレンジの際に表示されていたCG映像が、スタジアム内のスクリーンや中継映像に自動的に表示されます。
また、サーブの際に足がラインなどを超えてしまうフットフォルトは、コート外の審判がフットフォルト用の6台のカメラの映像を見て確認しています。
Hawk-Eye Liveが初めて公式に使われたのは、実はコロナ前の2018年。イタリア・ミラノで開かれた21歳以下の若手の大会「Next Generation ATP Finals」でした。コロナ禍で活用の場面が増えましたが、線審をHawk-Eye Liveに置き換える試みは、以前から行われていたのです。
審判判定補助だけではないホークアイ
サッカーやラグビー、バレーボールやバドミントンなど、他の競技でもホークアイの審判判定補助サービスが使われているため、「ホークアイと言えば審判判定だよね」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、ホークアイは他にもさまざまなサービスを提供しています。
例えば、今回のウィンブルドンの中継を見ていると、セットの合間などに各選手のサーブやストロークが、どの位置にどれだけの割合打ち込まれたかを示すスタッツがCG映像で出てきますよね。あれも、ホークアイが放送局向けに提供しているサービスです。
ホークアイの提供する各種サービスは、25種類の競技、90カ国以上、500以上のスタジアムやアリーナで使われた実績があります。
さまざまなスポーツで、ルールや観戦の楽しみ方をも変えてきたホークアイ。その多様なサービスを、今後も折に触れてご紹介していきます。