ジャンル別考察〜違う性別を踊る時どうする?〜
こんにちは。
今回はダンスにおける性別の問題についてお話してみたいと思います。最近、ジャンル比較ばかりになってしまっていますが…
今回は、違う性別の踊りを踊る時どうするのか?どうしたらいいのか?というテーマです。
先日、能をしている方とお友達になりました。女性の方です。その方とお話していて面白かったことを記録しておきたいのです。
その方のお悩みでもあるそうなのですが…
能というのは基本が全て男性向けだそうで、
それはお衣装のデザイン(形?)も例外ではありません。
全てが男性が身につけてしっくりくるようになっているのです。
例えば、能のお面って少し小さいですよね。
男性がつけると、顔が少しはみ出す大きさ。
このサイズだからこそ、舞台に乗った能楽師を見て「小顔だ」と思えるのです。
さらに、能の場合、
男性が女性を演じる時、衣装の肩に綿のようなもの?を詰めて、肩幅を出すのだそう。相対効果で顔もさらに小さく見えます。
小顔に見えるお面+増幅された肩幅。
これで男性でも"小顔の女性"に見える。
では逆に、女性が女性を演じる時どうしたらいいのでしょうか。
小さいはずのお面は女性にはジャストサイズ。
肩幅を出そうにも、元から男性に比べて華奢な女性にはなんやかんやと一苦労だそうで。
女性が女性を演じる方が難しくなってしまっている。
どうやら、ここで必要とされているのは、
"女性の身体"ではなく、
"客席から舞台を見たとき、女性に見える身体"
のようです。
私自身はバレエを長くやっていますが、
同様のことがバレエでもあるように思います。
バレエでは、女性のキャラクターをわざと男性が踊ることがあります。
『眠れる森の美女』カラボス
『シンデレラ』継母、姉娘、妹娘
カンパニーによっては、
『くるみ割り人形』のギゴーニュおばさん
などです。
キャラクターが強い役はあえて男性が踊るのです。
なぜわざわざ性別を逆転させて男性ダンサーにこの役を課すのでしょう?
それはやはり、
客席から舞台を見た時の説得力に関わるからではないでしょうか。
そのキャラクターが分かりやすく伝わる身体を求めた結果なのです。
男性の骨格の方が役の性格に説得力が出ると。
バレエは特に、"これが美しい"というものが決まっている舞踊です。
バレリーナ(女性)の美しい身体とは、細身で手足が長いやや背の高い身体です。
全ての女性ダンサーがこの体型を目指す。これがバレエです。
そうなると、
"体が大きかったり、老婆だったり、動きが鈍いように見える役"
これをこなせるのは女性ではなく男性になったのではないでしょうか。
"説得力のある身体"
これは時に、
本物や実態とは離れたところにあるのです。
デフォルメの世界なのかもしれませんね。