忌憚なき2つ星と、骨にまつわる物語
「忌憚ない」とは、
自由な表現、妨げられない、縛りがない、というような意味。
このタイトルだと、(ミシュラン)2つ星の
お店の表現が自由な表現をしている、
と捉えられると思うけれどそうではない。
わたしの忌憚ない呟きである。
ミシュラン系の和食へ行ったことがないな〜
ということで、予定を立てて予約をして
行ってきた。
銀座の雑居ビルの中、
楚々とした入り口がいかにも
和食の名店!といった雰囲気で気持ちが高まる。
内装はフツー。
和食のお店って料亭とかでもない限り、
あんまり変わり映えしないよね
っと思うのはわたしだけかかな。
きっと和食の項目に内装の独自性は
評価項目にないのだろう。
むしろ昨今のオシャレ居酒屋の方が凝ってたりする。
特別なときにしか行かない庶民としては
こんなところでも驚かせてもらいたい。
もう存分にトキメカセテいただきたい!!
年を重ねるとトキメくことだって減ってくるんだから。
いつも手にできない人間の方が貪欲なのだ。
乾杯(飲み)ものは、前日素敵な出会いで
午前3時までえっらいいいお酒を飲むことになり
この日は流石に自重。
料理も食べられるかどうか、と心配になったが
そんなことは心配ご無用であった。
美味しいものを食べられる健康な体を
親からいただけたのはなんとまあ、幸福なことだと思う。
時が経つにつれてお客様は集まり始める。
星付きともなると外国の人は多い。
日本人は外食をしなくなったらしいので、
こうして来てくれる人が増えるのは
どんなルートでもいいものだとわたしは思う。
大将(っていうの?)も料理を英語で説明。
2つ星だと、大体英語が通じるので
外国から来た人も安心して食べられるという
利点があると思うし、
わたしも海外でじっくり食べたい時は
英語が通じるお店はどこかという目安として
評価のガイドブックは役にたつ。
さて料理。
さほど新しさはない(笑)
だけど改めてのおいしさはあった。
特に鮎はサイコー。
小骨一つ当たらずノーストレスで美味しく完食した。
その素晴らしさは、鮎の小骨地獄を
味わったものでないとわからないだろう。。。
その昔、わたしは敬愛する男性の先輩に
一軒家の素敵フレンチに行ったことの話だ。
残念ながら、色っぽい感情は
鳥取砂丘の1粒の砂ほどもない。
恋愛感情はないが、
とっても敬愛しているので
わざわざ時間をとってお出かけしてもいい
男性の一人だ。
(お前は何様だ!!)
その日
仕事関係もあり、わたしはシュっとしていた。
そのシュッと感は、季節ものを出すという
素晴らしいオーナーシェフの元に
打ち砕かれることになったのだ。
鮎は1匹出て来た。
ぬるま湯育ちのわたしは、
骨はすでに除かれていると思い込んでいた。
だが、違っていたのである。
本当にそのまんま、1匹で出て来た。
あるがまま、焼かれオシャンティなソースを纏いながら。
お酒が入っていい気分のところから
突然S級のミッションが始まったようだった。
迎え討つのは、フォークとナイフ。
残念ながらわたしはそんなに扱いはうまくない。
しれっと装いつつも、
骨を取り除くフォークとナイフに力が入る。
季節は夏。
クーラーをものともせず体温は上がっていく。
汗が体をつたう。
目視できる骨はとりのぞき、
勝利の思いとともに口に運ぶ、、、
さすがの名店
ふわふわの鮎の身は淡白さの中に・・・
『ガリ』
感想に浸っていら夢見心地は
あっという間に打ち砕かれることになった。
取り除けない骨がそこにはあった。
勝利宣言から数秒、
わたしは戦いに負けたことに気づく
どころか、敗戦処理(小骨処理)に
追われることになったのだ。
口から出すのか??
それはありなのか??
ナプキンをうまく使って、、、
脳はフル回転、顔はポーカーフェイス、
つたう汗。
もうそこには、
素敵な一軒家フレンチレストランではなく、
戦場が広がっていた。
わたしと、骨との静かな戦いである。
まずは、ナプキン作戦を実行する。
何事もないように、
口を拭うようにナプキンを使う。
これで戦は終わり、、、
『ガリ!!』
敵はなかなかしぶとかった。
まだ潜伏していたのである。
もう既にナプキン作戦は使っている。
確かに他の隅はあるものの
ここでなんども繰り出していいものか。
少ないマナー知識がくるくる回る。
これなら正月に放映される
芸能人格付けチェックのマナーの部分を
しっかり見ておけばよかった。
後悔はあとをたたない。
そして骨はなくならない。(爆)
そしてわたしの取った最終手段は
『飲み込む』
ここは自分のこととして、
引き受けるしかない!!
『神様、仏様、
骨が喉に刺さりませんように』
今までこんな
どうでもいい願い事をしたことがあっただろうか。
否、ない!!!
わたしだって、
願いたくて願ってるわけじゃない。
『ごっくん』
無事骨は胃に到達した。
ただ違和感は否めない。
鮎はまだ半分以上残っている。
大丈夫だ、今回の反省を踏まえて
慎重に取り除けば、、、
こんな出来事を2回ターンして
わたしは残す(負ける)ことに決めた。
あの時の敗戦に悔いはない。
ってことがあったりなかったり。
あれからあの
素敵なレストランにはいってない。
そんな壮絶な鮎の思い出を
今回は払拭することができた。
鮎のトラウマから解放されたのだ!!
実に美味しい鮎だった。
そして素晴らしい絶妙な塩加減だった。
この感激を一緒に行った人だけではなく
提供してくれた人ともシェアしたい。
わたしはサービスしてくれた人に言った。
「とても美味しい鮎でした!!
塩加減もよかったのですが、
何か特別な塩を使っているんですか?」
その彼は答えた。
「、、、、、、、
フツーの塩ですよ。」
わたしの感激は途絶えた。。。。
飲食経験者ならわかる!!
確かにわかるのだ。
結構なんでもない、フツーの
食材や調味料を使っていたりするところを。
(全部こだわってるわけじゃない、抜けがある)
とはいえ、もっと
言い方あるだろうよ〜〜〜。
バカーーーーーーーーーーー(ToT)
嗚呼、二つ星。
美味しかったけど再訪はない。
ポチ(おごり)だったら行ってもいいけど。
料理、美味しさの感動は
どう人とシェアをされたかで
大きく異なっていく。
今回の2つ星。
わたしの中では輝かなかった。
こんなこともある。
そして艶っぽいと書いてあるのに、
全然艶っぽくない記事になった。
後悔はない。
こんな感じで書いて行こう。
今回の出来事、
自分の仕事にも言えること。
心に刻んでおきたい。
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