「サルベージレシピと地元食材の活用」@2022中部パック
2022年4月20日(水)、21日(木)の2日間、ポートメッセなごやで開催されていた「2022中部パック」にて、日本料理一灯の長田料理長と「サルベージレシピと地元食材の活用」のセミナー&実演をさせていただきました。
本当は2年前に実施予定だったのが、新型コロナの影響で延期になって、ようやくの実現。サルベージ・パーティもしばらく開催できていなかったので、久しぶりの長田さんとのサルベージ・イベントでした。
サルベージ・パーティとは
サルベージ・パーティ(サルパ)とは、お家で余っている食材や、使わずに眠っている食材を持ち寄り、それらで作った料理をみんなでシェアするパーティです。サルパをする目的は大きく3つ。
1回のサルパで救える食材の量は少しですが、食品ロスについて考えたり、何ができるかを考えるきっかけになればと思い 続けています。
コロナ禍においては、オンラインで台所を繋いでサルベージ・ラボとして開催し、各回テーマ食材を決めて「余らせてしまいがちな食材の活用方法を伝える、アイディアをシェアしながら料理する時間を楽しむ」という内容を変わらず届けてきました。
長田さんとサルベージ・パーティを開催するようになったのは、3年前。もともとサルベージ・パーティとは別で、和食のイベントで長田さんのお手伝いをさせていただいていた時にふと気づいたのが、「日本料理の中に昔からある、食材を大切に尊重する心や技法」。SDGsやフードロスという言葉が生まれる前から、身近にあったたいせつなこと。
私自身、それらをもっと知りたいというのと、たくさんの人と一緒に改めてずっと身近になった大切なことを考えられたらと「サルベージ・パーティx日本料理」として開催してきました。
では、ここからは長田さんによるサルベージ・クッキング
サルベージ・クッキング
今回使用するのは、ふだん家庭でもよく登場する「キャベツ」「にんじん」「たまねぎ」。丸ごと買っても使いきれなかったり、レパートリーがなく同じ料理が続いてしまったりなど、家でもてあましてしまう野菜として、ときどきサルベージ・パーティにも登場します。
これらの野菜を長田さんのサルベージ・クッキングにより「だし」「つくね」「けんちん蒸し」に使い分け、2つの料理
・サワラの豆腐けんちん蒸し 白だしあんかけ
・野菜だしを使った 鶏つくねの赤だし
に変身させました。
キャベツ、にんじん、玉ねぎを、まるごと使い切る、そしておいしく変身させる、サルベージ・クッキングポイントと作り方はこちら。
かたくて使いにくくなりがちな、キャベツの芯、にんじんの皮の部分は、3mm角程度の大きさの角切りにして、つくねに使います。つくねの中に入ると、コリコリして軟骨みたいな食感になるのです。玉ねぎも角切りにしておきます。
けんちん蒸し用には、キャベツは柔らかい葉の部分を使って細切りに。緑色も濃いので彩りも綺麗になります。にんじんや玉ねぎも同様に細切りにします。
そして残りの部分は、野菜出汁用に。使いにくい形の部分は、小さく切って野菜出汁用にして、そのまま具として食べられるようにします。汁物は、丸ごと使い切るときにあると心強い料理です。野菜だしをとる時は、うま味成分が多いきのこ類も入れるとうま味が増して良いです。
これらを使って作った料理がこちら。
サワラの豆腐けんちん蒸し 白だしあんかけ
野菜は油で炒めることで、野菜の甘味が引き出されます。また、豆腐と卵も加えると、うま味も増すとともに、全体の味がまとまります。
白だし餡の味付けは白だしと白醤油。彩りを活かしたい時には、やはり白醤油です。野菜の風味も引き立ちます。
盛り付けにもポイントが。サワラを切った時に、形がきれいな部分は上に乗せ、端っこの方の小さな切れ端の部分は下に敷きます。そうすることで、見た目も美しくなります。
野菜だしを使った 鶏つくねの赤だし
あっさりした白だしあんかけとのバランスを考えて、汁物はコクのある八丁味噌での味付けになりました。豆味噌はうま味もたっぷりなので、やさしい野菜だしにコクが付与されます。また、鶏つくねの脂分もちょうど良いコクになります。
また、二夏二冬超えて熟成された八丁味噌は、「煮込んでもへこたれない」と言われており、ぐつぐつ煮込んだ方がおいしくなります。今回、つくねを入れる前に味噌を入れたのにはその理由があります。米味噌や麦味噌だと、風味が飛んでしまうので、肉に火が通ってから、最後の仕上げに入れるようになります。
参加者の方からは、「つくねの中の野菜がコリコリしていて軟骨みたいで美味しい。キャベツの芯とは思えない」「切り方を変えて工夫するのは面白い。家でもやってみたい」などの感想がありました。
また、会場で一緒だった、クラタペッパーさん、お豆腐工房いしかわさん、辻精油さん、そらみつさんとも、急遽コラボも生まれたりと、ひととの交流もたのしいイベントとなりました。
ご参加くださった皆さま、お手伝いくださったみなさま、ありがとうございました。