リレー(後編)
前回の続き。
リレー(全編)|so-neco1982
https://note.com/sonec82/n/nf7fb4a056fe5
悪天候により旅行を断念し、池袋駅のみどりの窓口で切符のキャンセルをしたわたし。
数日後、別の旅のための切符を買いに再び窓口へ行くこととなりました。
その日も駅員さんに連れて行ってもらおうと思ったのですが・・・
お願いしてみたら、意外なお返事が。
「すみません、今案内係のものがみんな手がいっぱいらしくて、ご案内できるのが30分後くらいになってしまうのですが」
ときどき、こんなこともあるのです。
わたしはその後に予定があったため、30分待つよりは、
「そうですかー、じゃあどうにかします」
と会釈して、自分で行ってみることにしました。
なんとなーくな行き方はわかっていたのです。
いずれは一人で行けるようになりたかったので、前回駅員さんと歩いた時も、なるべく周囲を観察するようにしていました。
えーと、確かこの通路をまっすぐ行って、ちょっと急な坂をのぼって、
何線かわからないけど自動改札の音がするところを通り過ぎて、
もう少しまっすぐ進んで、
なんか賑やかな感じの通路を右に曲がるとたどり着けたような気がする。
ふわっとしていると思うかもしれませんが、見えない人が目的地までの道を覚える方法ってこんな感じなんです。
点字ブロックだけではなく、坂、段差、音、におい、なんとなくな空気の変化などが目印になるのです。
通路を進み、
たぶんここを右に曲がればいいはず、という所までたどり着きました。
しかし、もしちがう通路を曲がってしまうと道を見失うことになるので面倒だわ。
誰かに窓口に行く通路がここで合っているか聞くことにしよう。
わたしは周囲の気配を探りながら声をかけられそうな人を探しました。
その時。
「すみません、池袋警察のものですが、どこか行きたい場所ありますか?」
おお!
なんて頼もしい人が気づいてくれたものだわ♪
行き先を伝えると、すぐに窓口に案内してくれて、ついでに窓口の係員さんにもわたしの誘導を引き継いでくれました。
ちなみに、警察の方はたまたま駅を巡回していて、わたしを発見してくれたそうです。
ナイスタイミング!
今回は列に並んでいる間も係員さんがいてくれたので安心でした。
無事切符を購入し、またわたしが次に行きたい場所まで連れて行ってもらえました。
今回も警察の方と窓口の係員さんのリレーにより、スムーズに用事を済ませることができました。
それに、一人で歩いてみたことで、たぶん次回からは自力で窓口に行けるだろうという自信もつきました。
こんな経験をして思うのは、
切符のキャンセルや購入のために関わってくれたのが、
JRの方だけではなく、一般の方や警察の方など、
いろいろな人が手を差し伸べてくれて、
バトンをつないでくれたことがとてもうれしいということ。
「駅の中のことは駅員に任せればよい」ではなく、自分もその場にいる当事者としてわたしに関わってくれたことには感謝しかありません。
例えばアメリカなどでは車いすの方がバスに乗る時、周囲の乗客たちが自然と集まり車いすを運ぶのを手伝うそうです。
こんな風に、皆が自然に障碍者に関わってくれる習慣が、日本でももっと広がってくれたらとてもうれしいです。
今回は2部構成でしたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
「完」