ひとりの呑みはこれでいい、これがいい。
奥さんは、お酒が全く呑めない。
なので、家で呑む時は基本ひとり。
ひとりでしか呑まないので、おつまみが雑になりがち。出来合いのお惣菜、スナック菓子、訳ありで安売りされているスルメ。究極はわさびをちみちみ。
ただこんな限界状態ばかりだと心が死んでいくので、たまに少しだけ手間をかけて「ひとり家居酒屋」をする。
お正月に、福井県の美味しい日本酒を買った。
ので、9連休最終日は、ゆっくりひとり家居酒屋を楽しんで締めくくる。
湯豆腐と、玉子焼きをつくろう。
鍋にたっぷりの水を張り、10cm角の昆布を30分浸しておく。その間、木綿豆腐1丁に重石を乗せて水抜をする。
また、「ちょっとの手間」をかけたい。
簡易的な土佐醤油をつくる。
小さい鍋に、醤油、みりん、酒を入れてアルコールが飛ぶまで加熱する。温まった醤油にかつお節を入れ、弱火で2分出汁を取る。
2分経ったら火からおろし、味を馴染ませるために30分常温で落ち着かせる。
湯豆腐と玉子焼きにかける薬味を準備する。
小口切りの薬味ねぎ、千切りの大葉、大根おろし。少しだけわさび。
30分経ったころ鍋を弱火にかけて、沸騰する手前の鍋肌に泡が出来るまでゆっくりと温める。
木綿豆腐は8等分に切り分け、温まった鍋に入れ、2分ほど弱火のまま温める。
湯豆腐はコンロで保温しておき、玉子焼きをつくる。玉子2つにマヨネーズを小匙2ほど。白身を切るようによく混ぜる。
油を温めたフライパンに、3回に分けて玉子を流し入れ、素早く巻いていく。お弁当に玉子焼きをつくっているので、この作業は手慣れたものだ。今日はひときわ綺麗に玉子焼きが出来た。
落ち着かせていた土佐醤油は、かつお節を濾して保存容器に移す。かつお節に染みている醤油を、えぐみが出ないよう菜箸で優しく押し当てて搾る。
出汁がらも、トッピングとして薬味と一緒にお皿に盛る。
湯豆腐、玉子焼きを器に盛り、日本酒と一緒に買ったさばジャーキーもテーブルに並べる。
土佐醤油は味が濃いので、昆布出汁で割って湯豆腐にかける。玉子焼きには、そのままで少しかける。
素朴ながらも、自分でつくった酒の肴に心躍らせる。やたらと凝ったものは要らない。肴は、みすぼらしい方が酒が進む。オモコロの永田さんもそう言ってる。これはマジでそう思う。
お酒は純米大吟醸、さかほまれ。甘味の中にもしっかりとキレがあり、呑みやすい。マリアージュなんて知らない。
酒が美味しい。
これだけで、ひとりの時間は充分だ。
湯豆腐の残った昆布出汁と土佐醤油、かつお節の出汁がらで、〆の即席お茶漬け。
お酒で火照った身体に、昆布出汁の優しい旨味、土佐醤油の塩味とコクが染み渡る。
港区女子のように、自己承認欲求を満たすためだけの着飾った華やかさは要らない。
ストックの食材だけで、素朴に楽しむ。
ひとりの呑みはこれでいい、これがいい。