なぜ12時間表記と、24時間表記があるのか
午後3時と、15時は同義である。
午後7時と、19時も同義である。
この午前、午後という区別、要りますかね?
24時間表記に合わせてしまえばいいんじゃないでしょうか。
同じ意味なのに、二つ用意しておく意味がわかりません。
不要ならば、一つに集約してしまえば良いかと思います。しかし、そうしない理由がきっとあるはず!そう考えると、なぜ12時間という12という半端な数にしたのか。
10進法を使っているんだから、10時間にしてしまえば良かったのに、なぜそうしなかったのか。
そもそも、人はどういう風に時間を管理していたのかということに興味を持ったので、時刻の歴史を探ってみました。しかし、なぜ12時表記にしたのかという明確な答えは見つからず、ここからは私の想像を交えた仮説です。
決して真実ではない(というか、真実はない事柄かと思う)ので、その点だけ注意してみていただきたい。
まず、原始時代に歴史を遡ってみたいと思う。主人公はある家族です。
昼と夜を認識する
ここは原始時代・・・。原始人のゲンちゃんは、今日も食べ物を確保するため、狩りに精を出しています。
ゲンちゃん「よし、今日は晴れだ!昨日は雨が降っていて、狩りがうまくできなかった・・・。妻も子供もお腹を空かせているし、鹿でもうさぎでも、とにかく狩ろう!」
家族思いのゲンちゃんは、頑張って狩りをします。
ゲンちゃん「やっぱり狩りをするときは明るい方がいいな!遠くまでよく見えるし、家にも帰りやすい。逆に暗くなってしまうと、何も見えなくなって、何かとしづらい。狩りをするときはやっぱり昼だな!」
そう、ゲンちゃんは知っています。感覚的にですが、地球には昼と夜があり、昼は明るく、夜は暗いということを。ゲンちゃんは、昼と夜を認識していたのです。
四季を認識する
ゲンちゃんは、朝型人間で、朝からせっせと狩りをして家族のために獲物を獲ります。そんな中、ゲンちゃんは昼と夜以外に一つ、重要なことに気が付きます。
ゲンちゃん「なんか最近、昼の時間が長い気がするなあ・・・。それに暖かくなってきた。少し前までは寒くて、しかも昼の時間が短かったのになあ。それに、寒い時もあれば暖かい時もあって、繰り返している気がするなあ」
そう、ゲンちゃんは気付いたのです。地球では、寒い時もあれば暖かい時もあり、それに連動して、昼の時間と夜の時間も変化することを。
四季を認識したのです。
1年、1か月を認識する
ゲンちゃんは家族を思いやる良い父親でしたが、狩りをしている際、マンモスに踏み潰されて死んでしまいました・・・。
ゲンちゃんの子供はイナサックという名前でした。
イナサックは父親の死を悲しみ、狩り中心の生活から、植物を育てそれを食べる生活にシフトしていきました。
イナサックは、稲作をはじめました。
稲作をする際、重要なのは、いつ頃に苗を植え、いつ収穫するかというスケジュールです。
暖かくなりだした時に苗を植え、寒くなる前に回収する。肌感覚でやっていましたが、大枠のスケジュール感みたいのが欲しくなりました。
イナサックは、父親のゲンちゃんから、昼と夜があること、そしてこの世界(日本)には四季があることを教えてもらっていました。
イナサックは一歩進めて、この四季というものがどのくらいの周期でやってくるのかを計りたいと思うようになりました。
昼には、カンカンに光る太陽というものが昇って、そして沈んでいきます。まずこの太陽が昇って沈む回数を数えはじめました。
しかし、数えはじめて20日くらいたった日でしょうか・・・。
イナサックは石を並べて日数を数えていたのですが、外で稲作をしていた隙に、自分の子供たちにその石をバラバラにされてしまいました。
これでは、数えはじめてから今、何日間たったのかわかりません。
イナサックはがっかりしてしまいました。
もう数えるのはやめようか・・・。親父のように狩り中心の生活に戻ろうか。夜、イナサックはそんなことを思いながら横になっていました。
すると、イナサックの目の前に、まん丸のお月様が見えました。
「綺麗だなあ・・・」イナサックはそう思い、眠りました。
それから1週間ほど、(イナサックは1週間をまだ理解していませんが…)黙々と稲作作業に打ち込みました。
そろそろ寒くなってきた気がする。米の様子を見ながら、収穫の準備をしなければ・・・。ああ、これが肌感覚ではなく、何か確固たるもので表現できれば・・・。
イナサックは夜、また悶々を考えながら横になっています。
そろそろ寝ようかと思ったその時、またあの月が見えました。
「相変わらず綺麗だな・・・」とイナサックが思った瞬間、1週間前と何かその月が違うことに気付きます。
あれ・・・。形がこの前と違うぞ・・・。
まん丸だった月が、半分しか見えなくなっていました。
それからイナサックは毎晩夜空を観測し続けました。
すると、最初は真っ暗、だんだんと三日月、そして上弦、満月、下弦、そしてまた見えなくなる、という周期があることを発見しました。
そして、頑張ってこの周期の数を、石を使って数えました(子どもに崩されないように気を付けながら…)。
すると大体30日くらいで月が満ち欠けをすることを知り、それが何回も繰り返されることも知りました。
イナサックは月から、30日間の周期、つまり1か月という周期を認識したのです。
次にこの1か月の数を数え始めました。
すると、1か月が12回過ぎると、寒い→暖かいという1連の周期が回ってくることに気付きました。
今度は、1年という周期を認識したのです。
時刻の概念を認識する
イナサックは1か月と1年の概念を認識し、1か月3回分でおおよその気候や昼の長さが変わることを認識しました。これを、春、夏、秋、冬と区別するようにしました。
このあたりで、イナサックは年を取り、最期は満足そうな顔をして老衰で死にました。
イナサックの子ども、つまりはゲンちゃんの孫の名前は「カネなり」と言いました。
カネなりはきめ細やかで、ある人から見れば細か過ぎるくらいの性格を持っていました。座右の銘は「時は金なり」。
カネなりの周りの人たちは、大体太陽が昇り始めてから活動を開始し、日が沈む頃に家へ帰っていました。
だからこそ、父親のイナサックが大事にしていた稲作作業などの集団行動の際にも、遅れる人がいました。
みんな腹時計で活動しているので、明確な時刻がまだありません。早く畑にきた人はたくさん労働し、遅れてぶらぶら来た人はあまり働かずに帰ってしまいます。終わりの時刻は日の沈む時なので、労働時間に不平等が発生してきました。
これはいかん!と思ったカネなりは正確な時刻を明示しようと考えます。
そこで太陽の動きを基準として時刻を明示しようとします。
太陽は昇ってくる方角(東)と、沈む方角(西)がありましたが、東よりちょっと気持ち上に行っている時の時間、とか、そういう風に表現するのは、これこそ人それぞれだったので、もっとわかりやすい基準を設けました。
それは、太陽が自分の頭の真上にきた時をスタートとする考えです。ここを0(ゼロ)として、数え始めます。これを昼のゼロ(正午)として捉えました。
昼は影の動きで時刻を認識し、その影の動き方によって、1時間、2時間という概念が生まれました。
とうとう、時刻を認識したのです。
・・・いかがでしたでしょうか?
ここまでのストーリは、全て憶測ですが、時間の捉え方について、物語風にまとめてみました。
ここで、冒頭の問いかけに戻ります。
「なぜ、12時間表記と、24時間表記と2つの表し方があるのか」
この12時間という「12」という数値は、物語の途中で出てきた、1年間の月数(12か月)の数値と一致します。
実は、星占いの星座の数も「12」。
日本の干支も「12」。
1ダースも「12」個です。
色々な説がありますが、12という数値はこの月数から来ていると考えることも出来ます。それほど月は昔から人類にとって身近なものです。
時刻の概念を考える時も、この「12」という数値を使いたかったのではないでしょうか。15とか8とか数字をバラバラにしても良いですが、揃っていた方が何個も覚えることがある場合、覚えやすいです。
そして、ゲンちゃんが最初から認識していたように、地球には昼と夜があります。昼を12時間、夜を12時間とする考えが先に出来て、その統合版として24時間表記が生まれたのでは、というのが私の仮説です。
小ネタですが、午前・午後表記だと、間違えやすいということもあり、軍隊などでは間違えが発生しないように、24時間表記で統一しているようです。
これが今回のお題のひとまずの答えです。時刻の表記の話から、だいぶいろんな方向に飛んでいったものだ。
面白かったし、勉強になった。ありがとう。