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もちが燃えた話。

今から、もちが燃えた話をします。
それ以上のことは何も起こらないし、
それ以下のことも起こりません。

さて、お正月といえばもちであり、
もちといえば丸もちである。

年末に実家からたくさんの丸もちが届いた。

なんてありがたい。


元旦、意気揚々ともちを2個取り出し、
魚焼きグリルに突っ込んだ。

えっと、何分ほど焼けば良いんだっけ…

去年のお正月に身についたはずの
もち焼きスキルは
今年も綺麗にリセットされたため、

じいっ…と魚焼きグリルの小窓をのぞく。

いっぷん、
にふん、、
さんぷん、、、

全然やけない、、、

全然膨らまないし、全然焦げ目がつかない。
もちってこんなんだったっけ?

こんなに時間かかるんだっけ?

じっと見つめながらの待機に飽きた私は
ここはいっちょ火力をあげて
いさぎよく放置してみよう。
などと思い立ち、魚焼きグリルから離れた。

少し残っていた昨夜のお皿洗いを終え、
そろそろかしらと小窓をのぞくと、

もちが燃えていた。

文字通り、炎をあげて、もちが燃えていた。

ぎょっとした私はあわててコップに水をくみ、
燃えさかるもちにぶっかけた。

ぷしゅぅ…

炎を身にまといながら大きく膨らんだ
真っ黒なもちは、その体をすぼめ、鎮火した。

あぶない。あわや火事である。

火事ってこんなことで起きちゃうんだな、
案外かんたんに燃えちゃうんだな、
気をつけよう…。

そんな反省をし、
もう二度と魚焼きグリルからは
目を離すまい、、と誓った元旦となった。


…とまあ、そんなことがあった。
あったのに。あったのに、である。

今朝、もちが燃えた。

2回目である。

仕事初めの朝、
お正月ののんびりモーニングから一転、
ドタバタとしていた。

でも、もちは食べたい。
よし、効率よく時間を使おう。

そんな思考でもちを魚焼きグリルに放り込み、
そして放置し、身支度を進めた。

年が明けて3日間、
毎日もちを食べていたのだ。
だいたいの火力と加熱時間は
心得たつもりでいた。

調子に乗ってしまった。


そろそろかしらと小窓をのぞくと、

もちが燃えていた。

ぎょっとした私はあわててコップに水をくみ、
燃えさかるもちにぶっかけた。

ぷしゅぅ…

炎を身にまといながら大きく膨らんだ
真っ黒なもちは、その体をすぼめ、鎮火した。

あぶない。あわや今度こそ火事である。

ああ、神様よ、
もう二度と、絶対に、
もちを焼くときは目を離しません。

絶対に。

そんな決意を胸に、
少し焦げくさい家を出た。



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