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かわら版No.48 米沢市は、没個性化する中で、個性を尖らせ高付加価値化することはできるか?

いつもお読みいただきありがとうございます。

先日、米沢市議会の同期一回生議員と米沢市役所の担当課の方々と共に山形市役所に視察勉強会に行って参りました。テーマは、中心市街地の大規模空き家の利活用の事例研究です。

なぜ、山形市は、中心市街地の大規模空き家、旧大沼、旧一小(現やまがたクリエイティブセンターQ1)、旧千歳館を立て続けに山形市主導で再開発し、高付加価値化できているのか。なぜ、米沢市は、旧大沼が象徴的ですが、それができずにドラックストアチェーン等になって没個性化していくのか。この違いはどこから来るのか?この原因理由は何であるのか?問題の端緒とその秘密を少しでも知りたいと思いました。

以下、この視察勉強会で、私なりの理解を述べます。

米沢市とは、異なるポイント!!
山形市は、
⓪多彩な文化資産を、再解釈し、創造(クリエイティブ)の、まちづくりを推進している。

これは、旧一小(現やまがたクリエイティブセンターQ1)の事例説明を聞いて強く感じたことですが、山形市は、平成29年10月の映画分野でのユネスコ創造都市ネットワークの加盟認定をきっかけに、芸術文化都市としての自信とその表情を発信するようになったと思います。実際に、いただいたQ1の説明資料には、『市の文化、芸術、歴史、伝統など多彩な地域資産を、多くの人々と連携し、磨き上げることにより、新たな価値(事業、サービス、商品、人材)を創造し、産業、観光、教育、地域の振興に活かし持続的発展が可能な「創造都市やまがた」を推進していく。』とあります。そして、この創造都市の拠点施設の整備の具体的な事例の一つが、旧一小(現やまがたクリエイティブセンターQ1)なのです。そこにはビジョンを基にした一貫した実践があります。

次に、旧千歳館ですが、いただいた説明資料によると、これは『「旧千歳館エリア・リノベーション事業」※として、山形市に寄付を受けた国登録有形文化財である旧千歳館等を、「伝統文化の継承と癒しの空間創造による賑わい創出及び交流人口の拡大」というコンセプトのもと、山形芸姑文化・料亭文化を次代に継承していくための拠点施設にするとともに、庭園を都市公園として整備』することを目的にした事業ということです。

「旧千歳館エリア・リノベーション事業」10~11ページを参照。基本構想がとてもわかりやすく示されています。

米沢市とは、異なるポイント!!
山形市は、
①リーダーと市職員が、ビジョンを共有している!
②クリエイティブ、デザインを知っている!
③予算をつくる!
④前例のないスキーム(作戦計画)に挑む!
⑤部局を超えてチームで動く!

やまがたクリエイティブセンターQ1や旧千歳館事業についての山形市役所当局のお話を聞いて、私が抽出した米沢市との違いが上記①~⑤です。特に旧千歳館事業では、事業予算をあらかじめ決めずに、公募型プロポーザル※をし、事業の具現化の過程で、国等の各種補助金活用も組合せながら、事業予算を決定していく手法を採用したそうです。事業予算を事後構成的にしたこと、これは山形市役所の事業でも初めての試みだそうです。

※公募型プロポーザルとは、企画競争入札と呼ばれ、地方自治体などが業務を外部に委託する際に利用する発注方式です。不特定多数の企業から定められたテーマの企画書や提案書などを提出してもらい、最適な提案をおこなった企業を主催者が選定して契約します。

なぜ、山形市は、中心市街地の大規模空き家を立て続けに山形市主導で再開発し、高付加価値化できているのか。そこには、1991年に設立された東北芸術工科大学の発展と山形市との関係性の構築、首長リーダーの思いとビジョン・マネジメントなどなど、上記では記載していない多くの要素も含め、良いダイナミクスを創り出しているのだと思います。これからも、山形市の取組に謙虚に学ばせていただきたいと思います。

事業を語るうえで大切な視点として、鳥の目(全体を俯瞰する視点)、虫の目(具体的でこまやかな視点)、魚の目(潮目、時勢を見極める視点)と言いますが、さらに、ここに作家の目(創造する視点)を加える必要があると思います。創造性(クリエイティブ、デザイン)の視点がこのまちに彩りと活力を与えるにちがいありません。米沢市も、米沢市民みんなの力で、前向きに直向きに、役割分担を明確にしながら、良いダイナミクスをつくっていければと思います。

目的を持つには哲学が必要です、より良い方法を持つには科学が必要です、そして、これを統合するためには芸術が必要です。

この度も最後までお読みいただきありがとうございました。

かわら版No.48

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