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【南チロルの風】コラム5で紹介したワインの案内

ドルチェット・ダルバ ルチアーノ・サンドローネ

「もし無人島に1本のワインを持っていくとすれば、ドルチェットを持っていくだろう」ピエモンテ州の有名な醸造家の言葉です。


果実味豊かでフレッシュな味わい、しかも幅広い料理やチーズに合わせやすいワインを作るこのブドウは、ピエモンテ州を中心に北イタリアで栽培されています。
 

ところでこの名前、「ドルチェット」。

一見甘いワインかと思ってしまう名前ですね。(イタリア語で甘い、またはお菓子のことを「ドルチェ」と言います)

しかしながら決して甘口ワインではなく、収穫前のブドウ自体が甘かったからという逸話からこの名前がついたと言います。


このブドウはピエモンテ州のモンフェッラート地区にある丘陵地帯が発祥地であるという噂もあれば、リグーリア州から北のピエモンテに伝わったという説もあります。

実際リグーリア州では、ピエモンテ州との境にあるオルメアという街の名前から付けられたオルメアスコという別名で栽培・醸造されていますが、ピエモンテ産のものと比べると幾分質の違いがあるようです。

その他にもヴェッレ・ダオスタ州では単種またはキュヴェとして栽培されており、ロンバルディア州、中部イタリア、サルデニア島でも栽培されていたという情報も残っています。


このブドウ品種は平地で栽培されたものはより力強いアルコール度数のあるワインを作り、逆に丘陵地帯で栽培されたものはデリケートな香りをもったエレガントなワインになります。

後者でもあるピエモンテ州ではこのブドウを使って、1つのDOCG、7つのDOCを産しています。今回紹介するワインは、そのうちの一つ、ルチアーノ・サンドローネ社のドルチェット・ディ・アルバです。


もともとバローロの生産者として有名なサンドローネ社は、モダンバローロの先駆者として重要な存在とされています。

20年以上、大手ネゴシアンで働くうちに自分の好きなワインを作りたいと1976年に畑を購入、1978年にワイナリーを設立。

当時、人々の関心が薄くなっていたバローロをどのようにして良くしていくかということに最善を尽くしていました。

そんな彼にも運命的な出会いがあり、それをきっかけに新しい醸造や栽培に力を入れ、更に最新鋭の設備を導入して今に至るわけです。


サンドローネ社のドルチェット種は、ワイナリーの所在地でもあるバローロ村の2つのワイン畑、その隣のノヴェッロ村、モンフォルテ・ダルバ村からそれぞれ栽培されたものを使用し、ステンレスタンクにてアルコール発酵及びマロラティック発酵後瓶詰めされて出荷されます。

2種類のバローロを含めた他のワインはフランス産のオーク樽で熟成させるのがですが、ドルチェットに関してはブドウ本来の香りや味わいを生かすために木樽熟成は使用しません。


色は非常に凝縮したルビー色で縁にはまだ紫色が残り、香りはブラックベリーやプラムを連想させるような黒果実の香りが先行し、よりグラスを近づけてみるとラズベリーやマルメロの甘いイメージ、少しグラスを遠ざけるとイチゴのようなフレッシュな感覚があります。

味わいは口当たりの豊かな果実味やアルコールからくる甘みを始めのインパクトとして感じられ、それらを程よく締めてくれるタンニンやミネラルが後味の余韻として残るのが特徴的です。

無人島に持っていくワインとして選んでもいいですが、僕がウンベルトからもらった時のように仕事終わりに一杯グイッと飲むために選んでもいいですよね。

疲れが取れて明日からまたがんばれます!

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