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【オープン社内報#56】「厚利少売」を読んで。

こんにちは。株式会社ひらくの染谷拓郎です。

 あっという間に10月も半ばです。目まぐるしく動いているのに芯を食っていない感じがして、先週末は完全に心身の電池が切れました。バッテリー自体も劣化していて、充電してもすぐ切れちゃう感じ。メモリも使いすぎていてそもそもの性能も悪くなっているようです。

 そんな時、予約注文していた「厚利少売 薄利多売から抜け出す思考・行動様式」が届き、一気に読み終えたことでちょっと脳内ストレージに余裕が出てきました(本というプロダクトは本当に奇跡で、読書は本当に楽しいですね)。この本は「薄利多売」の反対語として、経営コンサルタントである著者が「厚利少売」というコンセプトを打ち出し、それを実装することで仕事の仕方を変えようぜ、という内容です。

 冒頭から「提供する価値に責任を持つ」「価値=相手の変化量」など、共感できる内容が続きます。確かに僕らは、薄利多売をそのまま形にしたような日本の出版業界の成り立ちのなかで厚利少売を実現しようと動いてきたので、このコンセプトはしっくり入ってきます。

 もう少し言葉にすると、「再生産可能なカードをつくるのではなく、その時その場でしか味わえないもの」をつくること。それは目の前のクライアントのためだけに開発するもの。そうしたプロジェクトは基本的には「厚利少売」を理想としていますが、内情は厚利にはなっておらず「薄利少売」になってしまったものもあります。(毎回がんばりすぎているし、再現性が低すぎるのでそうなる)

 クライアントにとっては「よくやってくれました」と評価をいただくものであっても、僕たちにとって持続可能なビジネスでなければ「提供する価値に責任を持つ」ことができません。ひらくで働くメンバー気持ちよく打席に立てる環境を作ることや僕自身が真っ直ぐに事業を信じ続けられるようにすること。

 そしてそもそも、冒頭話したように、”薄利多売をそのまま形にしたような日本の出版業界”に身を置く立場としてはそのルールのなかで戦う必要もあります。先日日経ビジネスにインタビュー記事の中で、「世の中の流れが変化し相対的に本を読む機会が嗜好品化していくならば、本の届け方や商売のスタンスを変えていかなければダメでしょう」とお話しさせていただきました。

 本というプロダクトは本当に奇跡で、読書は本当に楽しいんです。受け取り手としてはその感想でいいんですが、差し出し手としては成り立たせ方をデザインする責任があります。「厚利少売」モデルを複数備え、結果的に「厚利多売」をグループとして実現していかなければなりません。

 文化インフラが完全に変化してしまった世の中で、その状況に応対しながら事業をスライドしていこうとすると、どうしてもすべて受動的になります。初手がこちらにない感じ、いやですよね。そうではなく、「こっちの方が明るいぞ」と旗を振っていきたいのですが、まだ僕にはそこまでの影響力を持つことができていません。思考と仮説を現実にして、それが事業として成り立つところまでやりきることで「あ、こいつらが言ってることは本当かも」と思ってもらえるようにしたい。

 いや、なんか、書き始めたときはネガティブだったけど、書き終える今はポジティブになってきました。まだまだここからですね。さて、今週末は前橋ブックフェスに行ってきます。   

 最後まで読んでいただきありがとうございます。今日もがんばりましょう。

染谷

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今週の「うれしい」
N-PORT新座の開所式に出席しました。そこで、MPD時代(10年以上前)にお世話になった諸先輩方に再会することができ、しかもみんなこのオープン社内報を読んでくれているとのこと。いやぁ、なんか、人生にそんなこともあるんですね。しみじみ感激しました。

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