△コミュニティ・スクール概要 最終まとめを見た個人的な感想。これからの教育を考える人は絶対見ておこう
3月14日にコミュニティ・スクールの最終まとめが文科省から出てきました。
時代に合わせて、しかも先を見通して作っていくのって本当に難しいですよね〜。お疲れ様です。
さて、最終まとめをパッと見てみましょう。
皆さん、お気づきでしょうか。
教育委員会をかなり推していることに。
パッと見たらそうなってしまう。だから、この概要だけ見て判断するのはやめたほうが良いなと感じています。
僕的にここで文科省が最も伝えたいことは教育委員会ではなく、『みんなで主体的に教育に関わっていく』ことを伝えたいのかなと判断しています。
このまとめを紐解きながら、その理由をお伝えします。
現在のコミュニティ・スクールの状況と懸念点
なぜコミュニティ・スクールが必要か?何を目指すのか?
まず、今までのコミュニティ・スクールをやった結果、どうなったか?というのが最初に書かれています。
大事な部分は赤文字です。
とは、文部科学省が求めている今後必要とされる学校づくりに大きな効果があると認められたエビデンスであることを示しているのでしょう。
オルタナティブスクールなどで新しい学校が乱立していく中、公立学校としてもこのままで良いはずがなく、変化できない学校は自然淘汰されて消えていくかなと僕も感じています。
その上で、特色ある学校というのは今後やってくるオンラインのさらなる飛躍。地域という枠組みを超えた学習が生まれるようになる一方、五感を刺激するような人との繋がりはやはり地域が大切です。
だからこそ、このコミュニティ・スクールがとてつもなく重要なことだよって伝えたいのかなと思います。
教育委員会よ、今こそ立ち上がるのだ
ここを見た時に、めっちゃくちゃ書いてあるのが、教育委員会という文言に対してちょっとキツめに書いてある点です。
つまり「教育委員会、もっと主体的に動きんしゃい」って言いたいのかなって感じます。
教育委員会もいろいろな業務があり、地域から学校へのクレームを受け止めたり、守ってるはずの学校から文句が出たり、板挟みになっているのも知っています。
でも、だからこそ、地域と学校の橋渡し役としてこれほど適切な役割は教育委員会しかあり得ない。
「まぁ、うちはコミュニティ・スクール導入したんで、あとは学校さんで頑張ってください」
なんて言葉が出たらお怒りものです。
たしかに地域と学校が主体的に進める制度であり、最終的には地域主体になっていくと思います。
ですが、ここには教育委員会も含まれているのです。
地域と学校と『教育委員会』が協働して進めるために、教育委員会にはコーディネーターや、ファシリテーター、マネージャー…そんな地域や、学校が想いを伝え合い、主体的に動けるようにフォローしていく役目を担っているというように受け止めました。
っていうか、そこが大事なので最後に
って書いてあるし、いろいろやってきて、設置権限がある教育委員会を支えたほうが良いというのは僕もまったく同じ想いです。
コミュニティ・スクールの目的
最終まとめにも書いてあるので、改めてコミュニティ・スクールの目的について考えていこうと思います。
社会の変化
グローバル化が進むことはとっても良いことです。まったく知らない人とも出会えるわけですから。新しい価値観の交流や、付き合いたくないと思っていた人とも出会え、学びが加速します。
でも、万が一の事態…つまり人類の存続を脅威に対して対抗できるのは人と人の繋がり…しかも、近い人たちによるネットワークです。
それは東日本大震災を経験した人なら分かっているはずです。ネットが止まり、近くの人たちと支え合ったあの時を。
あの時に絆がなかったら東日本大震災の復旧に相当な時間がかかっていたはずです。その絆がネットワークの拡大化によって失われてしまうかもしれない。
だから、本当に大切な人間としての絆を残したいのです。
学校に伝えたいこと
それで学校に伝えたいことはここ。
いつの時代でも大事で普遍的なことなんですが、協力関係がなかったり、一時的な繋がりだったとしたら…根本的な課題解決は難しいよって言うことです。(できないとは言ってない)
相当能力の高い人が集まっていれば課題をクリアできると思いますが、そんな場所ばっかりないよね?だから、みんなで考えるしかないんですよということです。
これを「どうでも良い」って言う人はいないはずです。だって、教育は日本の未来を作るんだから。誰も関係なくなんてない。
でも、課題が山積み、対応することが多すぎ。どれも省けない。
じゃあ、自分はどうする?
それを考えていく、そのためのコミュニティ・スクールです。学校には「学校だけで考えないで!」って強く言いたいんだなって思います。
コミュニティ・スクールの成果
コミュニティ・スクールについては10個の効果があるようでした。幼少中高の連携が高まったり、働き方改革に繋がったという。
それもここに書かれている育てたい子供像の協議があると思います。
特に学校の困りごとを地域に包み隠さず共有というのが、本当に大事なところだと思います。
じゃないと、地域・保護者が本気で改善に向かえないんですよね〜。
コミュニティ・スクールの課題
課題はコミュニティ・スクールって何?みたいな状態でコミュニティ・スクールが導入されてしまった学校に多いと思います。
特に学校運営協議会が課題が提示されず、報告会で終了という学校評議員となんら変わらないやり方をしてしまっている学校はめちゃくちゃ多い。
大事なのは報告ではなく、あくまで協議。テーマを設けて協議・熟議を重ねることが本当に必要なこと。
なのに、学校はスケジュールがすべてと言わんばかりに「年に○回やります」になってしまう。
行動計画もなく、開催することが目的になってしまって何一つ決まらなかったというのはよくあるケースだし、支援している学校でも結構あります。
ただ、主体が学校になっている限り、そうなってしまうものだよな〜とも感じます。
だからこそ「教育委員会主体で」と強く言いたいんだなと。
だからこそ、「教育委員会、もうちょっと頑張って」ってすごくキツめに書いてあるんだなぁと感じます。
これからのコミュニティ・スクールについて
あくまで努力義務。それはコミュニティ・スクールの『在り方』である
なんでコミュニティ・スクール大事なのに義務化しないのかは、在り方と違うからだと思います。
誰がやるのか?は地域のリーダーとなっている行政、そして、その中でも教育のトップである教育長の考えの元、進めてくださいってことなのかなーと。
既存の取り組みからの段階的な移行と連携
「すでにやってるんで、コミュニティ・スクールとかいらないです」という自治体がたまにあるんですが、そういうことではないんです。
コミュニティ・スクールの強みは『法律で決まっている学校運営協働』という点。
既存のPTAや、地域主体の取り組みはあくまで民間の取り組みとなってしまう。
そういう取り組みがあることを評価して、そのままコミュニティ・スクールとして予算をつけたり、法律で守ったりして、継続化できるように支援しましょう。
コミュニティ・スクールの人選
本当にここは大事なところ。っていうか、ここをミスると取り返すのに数年かかってしまったりします。
学校評議員や、地域の重鎮、PTA会長だけにしないようにしましょう。
面白いのが「子どももオブザーバーとして混ぜましょう」って書いてあるところ。そりゃサービス利用の当事者に来てもらうのは間違いない!!
個人的に最高の授業になりそうな予感です(笑)
ちなみに地域学校協働活動推進員はとてつもなく重要。協議して良い方向性が決まっても、その取組を進める人がいなくなってしまいます。
教育委員会はここの予算化を頑張ってください。
教育委員会を支えるためのアドバイザー
今まさに僕がやっていることですが、教育委員会のアドバイザーを配置したほうが良いと書かれています。
学校がどのように進めたら良いか分からないように、教育委員会もどのように進めたら良いか分からないはずなのです。
行動計画や、ビジョン策定はビジネスをやってきた人間じゃないと難しく、だからこそ今まで多くのフリーランスや、中小企業のコンサルに入ってきた僕だからできることなのかなって思ったりします。
教育委員会はアドバイザーの配置に対する予算化も頑張ったほうが良いとも書かれていると感じます。
国としてコミュニティ・スクールに対する支援
CSマイスターや、教育委員会向けのアドバイザー配置を促進
CSマイスターというコミュニティ・スクールの専門家による講演会や、説明会、そして、アドバイスを行うプッシュ型支援。
そして、設置後にアドバイザーによる伴走型支援の両方が必要なので、そこの支援を行っていくと書かれています。
最近、取得が流行っている社会教育士も活用して、地域学校協働活動推進員に推薦する取り組みを促進したい印象ですね。
コミュニティ・スクールの財政に関して
学校運営協議会の財政は地方交付税措置がとられています。(っていうか初めて知りました。すみません)
つまり、「コミュニティ・スクールの財政は国が責任持って集めているんで、地方の教育委員会は別の予算確保のために学校運営協議会の人数や、開催回数をケチるなど言語道断」ってお怒りのご様子。そりゃそうだ。
実際、学校運営協議会委員やってますが、年間で1万円しかもらえないところがめっちゃくちゃあります。(これで責任ある特別非常勤公務員に認定されるんだから困ったもの)
っていうか、国はちゃんとお金集めてるみたいなんで、渋ってたのは市の財政課。
教育のことだし、世の中お金じゃないよと思いつつも、お金で敬意を払うのは大事。もうちょっと出してください。じゃないと続かないよ(笑)
まとめ
あれ、思ったより超大作。勉強になりました。
コミュニティ・スクールが悪い意味で勘違いされている側面が多いんだなぁ〜って感じることが多々ありました。
最後に今回のまとめを作った座長からのメッセージがあったので引用します。
今、みんながまさに取り組もうとしている「子どもたちが主体的・対話的に深い学びと実践を行う」
それを目指すためにまずは「大人が主体的・対話的に深い学びと実践を行う」…それがコミュニティ・スクールかなと感じます。
今回の話は僕が個人的に抜き出したものなので、全文を読みたい場合はこちらから見てみてくださいね。
https://www.mext.go.jp/content/20220311-mxt_chisui02-000021155_2.pdf
今回の記事は駆け足で駄文になってしまっているので、そのうち、コミュニティ・スクール完全ガイドにもちゃんと載せようかな。
読んでいただき、ありがとうございました(*^^*)