運指の補足。
それぞれの国でどの指がどちらに該当するのかは異なるにせよ、イタリアにもフランスにも「よい指」と「悪い指」の概念がある。
「よい指」は強拍に、「悪い指」は弱拍に。
これはつまり「5指は均等ではない」ということを意味する。
5本の指は長さも太さもそれぞれ異なる。
親指に至っては他の4本と生えてる位置が違う。
物理的に異なる5本の指で均等に弾けるはずがない、というのがチェンバロ奏法の根底にある。
要は適材適所で使い分けるということ。
だから、ハノンなどのピアノ教則本をチェンバロのレッスンに持って行った時に却下されたのだ。
自分「指が回らないからピアノ教則本で補いたい。」
恩師「指なんて回らなくたっていいのよ!」
そもそも「よい指」と「悪い指」の概念の前では、素早く均等に弾く練習など役に立たない。
それにバロックは「均等」を嫌い「不均等」であることを美徳としている。
先に挙げた運指法で素早く均等に弾けるはずがない。
や、でもやっぱり指は回るに越したことはないと今でも思っている(笑)