最近の読書 ひとこと感想 の三
ご無沙汰しました。
前回のひとこと感想 の2↓から、一ヶ月も経ちました。私のトンデモひとこと感想にいいねを押してくれた人、ありがとうございます。前回も書いた通り、昨年11月から6月までに読んだ本をランダムに備忘録として感想を書いています。私の性格故かだいぶ辛口ですが、それでも負けない方は、先へお進みください。
今回の本たちは、出版が古いものが中心です。が、私が手に入れたのは割と最近。
「メタボラ」と、「デジタルの秘法」は、今年の4月ごろデュッセルドルフで古本として手に入れました。(と言っても日本の価格の二倍😭)
「邪魔」は人からもらった本。おそらく駐在の方々が置いて行った本でしょうか? 「終末のフール」はどこで手に入れたのか覚えていません。もしかしたら前回の日本での滞在の時、自分で手に入れたのかも。
まずは、メタボラ 桐野夏生
これは傑作だと思う。
初めの導入部分からドキドキ。
なにせ密林の中で二人の全く毛色の違う若者が出会うところから話が始まる。二人はギンジとジェイクと名前を変えた後、沖縄を舞台に話が進む。
記憶喪失だったギンジが記憶を取り戻しのあたりは真面目にすごい。一気に加速感がついて読ませられた。ジェイクのホストぶりも、なんだかリアル。
2000年代の沖縄の貧困や落ちた若者の溜まり場ゲストハウス、東北の工場労働、集団自殺のシステム、知らないことが多く勉強になった。
背景が対照的な若い二人を取り巻く社会を背景に、ここまでさまざまな社会問題要素を詰め込めるとはさすが。場所設定も、沖縄から、東北?(工場労働)
はっきり言って桐野夏生さんの小説は社会派の小説だし、人によっては重すぎるのかもしれないけど、私にはとても面白いと感じる。
エドガー賞こそは逃したけれど、海外でも人気があるのもわかる。
タランティーノ好きならこの作家と紹介されたりしているが、
私からしたら、『Triangle of sadness』 (監督&ライター Ruben Östlund)の感覚に近いと思う。
現在71歳。全く筆が衰えない、すごい。
デジタルの秘宝
これ、意外とめちゃくちゃハマりました。中古本で、店の外で売られていたもので、中も少し褪せていたんですが、まさかこんなヒットでホットな本だとは嬉しい喜び。
小説は軽めの二重構造で現代と過去を行き来する。
まずは伝書鳩がでてくる初期のロスチャイルドの話。やはりマネーゲームといったらロスチャイルドだから? ロスチャイルド一家の歴史を振り返りながらお金の歴史について学ぶ感じ? ロイターの歴史でもあるかな?
現代の方は、野心家の女性銀行家が主役の話。銀行のセキュリティ・システムの不備を見つけ、改善策を提案するが、高慢ちきな上司たちに足を救われそうになり、金融経済の達人である昔のBFをライバルとして、コン・ゲームに挑む。
最後に行き着くところは? 何気に彼女と強敵のXとの恋愛も入るし、でてくるキャラが皆さんかなり濃くて非常に面白い。映画で見たらすごく面白いと思う。
この人の本は初めてだけど、次はエイトを読んでみよう。かなり気に入りました。読んでよかった。お勧め!
邪魔 奥田英郎
奥田英朗さんの本は、最初の作品「ウランバーナの森」が最高にいいと思うのは私だけだろうか? 「空中ブランコ」も素晴らしいと思うけれど、それに比べて、他の多数の本はすぐに忘れてしまいよく覚えていない。
誰が書いてもいいような本ではと思う。そういう意味ではこれも同じ。
重くダークな犯罪小説なのだけどスケールが小さい。
日本の超日常らしさをリアルに描いているけれど、この作家さんがやる意味はあるのかな? 上手いとは思うけど、私にはつまらない。
平凡すぎで道を間違えていく主婦や、過去のトラウマからどこまでも落ちていく刑事のリアルな心理描写は上手いとは思うけど、ニュースで現実社会がこれ以上に不気味になっているのを読む身では、この小説は?
読んでる最中に前の方を忘れること数回。(酷い感想!)
ちょっと時間の無駄だったかもとさえ思う。何かが足りない本。主人公、特に平凡な主婦の方に魅力が全くないのもダメかも。
そして実は何が『邪魔』なのか、結局分からずじまいなのは、私の読み方が悪いのか、タイトルの付け方が弱いのか? きっと私の頭が悪い。
終末のフール 伊坂幸太郎
伊坂さんも、奥田さん同様、好きな作家さん。
「死神の精度」は特に素晴らしいと思う。
もっと言ってしまえば、最近見た映画、「il primo giorno della mia vita」の感覚と、とても近いところにある物語で、この「死神の精度」はとても好き。
ちなみにもっと言うと、この手の軽妙エンタメ系の日本&イタリア作品はオランダのような国では受けない。評価も低い(😅)
彼らがこれらの二つの国に求めているのは、ドスーンと来るような重い作品だ。
まぁ違う本の話に脇道に逸れすぎたので、戻ろう。
「終末のフール」は、小惑星が地球に衝突するまでの8年、その5年が過ぎ世の中全体が余命3年あたりからのお話で、仙台の団地が舞台。
短編で、各自が自分の人生を見つめてる、生きる意味について書いた本。
と言っても真面目な本ではなくて伊坂流の軽妙さで、先へ先へと読み手を誘う。面白い小説だと思う。
一言だけ辛口。『なんで最初の章が中年親父から始まるのか? この第1章で読むのをやめた女子は多いのは確実。
次回はこれらの映画感想?
それにしても現在夏であるはずのオランダは、寒すぎ。まるで、晩秋。
雨ばかりの毎日。
というわけで読書と、映画鑑賞も活発化しています。
写真の仕事をする傍ら、最近は短編〜中編程度の小説を書くのにも勤しんでいて、書く時には、読む方もかなり読まないとダメという通説は私の場合そのまま当てはまる。本はどんどん読んでいる。
そして、映画の方も一口感想をnoteで書いておこうと思ってる。
最近はオッペンハイマー、バービー、ミッションインポッシブル、IL SOL DELL'AVVENIRE、アストロイドシティ、Il PRIMO GIORNO DI LA MIA VITA、LOLA、を観た。
書いてて、6本も最近見たんだと自分で少々呆れ気味。
寒くてどこへも行く気になれないが映画館だけは行くのだ。
あと、前も書きましたが私の場合、いまいちな作品は忘れてしまいます。(映画も同じ)
だからということもないけど、とりあえず感想をひとことだけでも書き記しておこうと思って書いています。他の方の参考にはならないどころか、読もうとか、観ようとしている人の気持ちを削ぐかもしれませんが………、
お許しを。