DAY13:考えさせられた作品〜ロラ・アリアス『MINEFIELD-記憶の地雷源-』〜
過去の行いが正しかったか、間違いだったか。ジャッジできるのは”当事者たちでも難しいかもしれない。人の心は時の流れとともにかたちも色も変化していく。
ただ、どんな時代でも問いかけていきたいことがある。
「その戦争に、救われる人はいるのか?」
KYOTO EXPERIMENT(京都国際舞台芸術祭/略称:KEX)2018で上演された『MINEFIELD-記憶の地雷源-』。
1982年、イギリスとアルゼンチンの間で勃発した「フォークランド紛争/アルビス戦争」の記憶・体験を、その戦いに従事した6人の元兵士が【出演者】として舞台に立った。
ライアスロンの選手、弁護士、養護教諭、ビートルズのトリビュートバンド活動、退役軍人のカウンセラー、警備員として生きる彼らに共通する事は、「戦争/紛争に参加した兵隊」であること。
脚本・演出は、わたしが「こころの師」と仰ぐ一人、ロラ・アリアス。
アルゼンチン出身の彼女は、劇作家であり演出家であり音楽家、さらには役者としても活動する。
日本での上演はこの時が2回目で(初回はKEX2013参加作品『憂鬱とデモ』)、演劇的技法を通して史実の再検討・構築を問う作品を発表している。
artscapeのレビューにあらすじ・内容が掲載されているので下記に引用。
考えさせられる、と言うよりは、考え続けなければいけない【大きな問い】を投げかけられている作品だ。
アリアスが動画で語るように、奇しくも2022年現在、ある国々でおおきな揺れごとが起こっている。しかし、きちんと見つめればいつの時間も争いは絶えず続いていて、日本も同じ轍を踏まぬようにと、語り継がれる体験記があるし、今回の揺れごとも国自体が”当事者”だ。
この史実は決して、わたしから「手が届かぬところ」にあるものではない。ふと隣に目線をやれば、傷ついた誰かが、いる。
当初、イギリスとアイルランドが交わることがなくページが捲られていくが、終盤は皆一緒にバンドを組み、違う立場で同じ苦しみを抱く者として、腹の底からの想いをシャウトする。
このシーンで、わたしは春秋座のど真ん中で泣いた。静かに流れる涙とは裏腹に、ステージに駆け寄り彼らととも叫びたいと思った。それなのに、嗚咽一つすら、口から溢れる事はなかった。
ただただ撃たれるパンチを全身で受け止める。唯一できたのはそれだけ。
改めて感じた。客席に座る自分は無力である、と。
けれど立ち上がった瞬間にそれは、これからを照らすきらめきの破片となる。
この記憶を昇華するのには何年かかるのだろうか。
体が自由に動くうちになんとかなればいいのだけれど。
胎に埋め込まれた地雷がある。
すぐに爆ぜることのないそれは、きっとなにかの弾みで、いつかは破裂してしまうのだろう。
その最期までは。まるで赤ん坊を宿した母親のように、わたしはわたしの真ん中を撫でながら語りかけていく。書いていく。創り続ける。