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愛着不全は成人学童期+機能不全家族です|愛着障害の精神年齢は幼児期(成人期)です

【質問】成人学童期とは愛着不全ですか?そうなると愛着障害の精神年齢はどれくらいですか?高間先生のHPの記事で幼児くらいと読んだ記憶もあるのですが....高橋先生の『子は親を救うために「心の 病」になる』の愛着障害だろう(そうとは書いてないが)人達の振舞い(回復前)は、幼児には思えない感じでしたが...印象的な箇所はMRの母を持つ(その時点では母のMRを知らない) 女性が初回時に「自分は客観的でモノが見え過ぎて困る」と言ってたことです。複雑な心理発達をしてるということでしょうか?

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

【お返事】愛着不全は、私の造語ですが、高橋和巳先生の成人学童期と似ています。成人学童期と機能不全家族の2つの概念を合体したものを「愛着不全」と呼んでいます。また、2つ目の質問の愛着障害の精神年齢ですが、幼児期(成人期)です。

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■愛着不全は成人学童期なのか?

成人学童期とは、高橋和巳先生の発見した精神年齢に関するカテゴリーです。実年齢は成人なのに精神年齢は学童期という人です。例えば、年齢が35歳なのに精神年齢が10歳くらいの人です。テレビドラマの「35歳の少女」のようなものですね。(下記の記事もご覧ください。)臨床的に、これらの人は思春期あたりでつまづいている人が多そうなので、私の場合は、成人学童期という言葉は使っていません。じゃ、成人思春期でも良いじゃないかという声も聞こえてきそうですが、高橋先生の見立てには、思春期というものはさほど重要視されていません。思春期は、学童期から成人期へ移行する過渡期という捉え方ですので学童期という概念のほうが重要なので、成人学童期なのです。

私としては、学童期という言葉は分かりづらいと思うし、あまり大変そうではない印象も受けます。(気づいていないことが良いということもあります。)そのような人が臨床現場に現れると、実際にあまり大変な雰囲気を醸し出してはいません。また典型的な学童期の成人はあまりカウンセリングにはやってこないので、カウンセリングにやってきた人と区別するために、私の場合は、苦肉の策で「愛着不全」と読びました。

イメージとしては斉藤学先生の「機能不全家族」の「不全」を思い出してもらえれば、ああいう感じというのは分かるかと思います。機能不全とはAC寄りの言葉ですが、ACの中には成人学童期も多そうですから、不全もあながち外れてはいないと思っています。

そしてこれら思春期でつまづいた人々は、「親への大きな期待(もっと甘えたい)」をもっているという共通点があります。甘えを十分に満たしてくれなかった親を恨んでいます。それが表面に出てこない人や、みるからに大爆発している人さまざまいます。これらは「愛着」の問題ですので、愛着不全と呼ぶようにしました。愛着障害と混同されやすいですが、愛着不全と愛着障害は地続きでつながっているものではありません。別物として捉えてください。

■愛着障害の人の精神年齢

さて、愛着障害の精神年齢ですが、正確にいうと【幼児期(成人期)】です。え?何のこと?と思われるかもしれませんね。分かりづらい表現ですが、外見は普通の大人そのものだが、中味は幼児期の自分がいる、そういう人々です。この「大人そのもの」という部分が、質問者さんの「自分は客観的でモノが見え過ぎる」というところですね。しかし内実は、安全からほど遠い幼児期を送っているように「はかない」のです。幼児期(成人期)の人のはかなさについては別の記事もご覧ください。

愛着障害の人の精神年齢がどうして幼児期(成人期)になるのかを解説します。

  • 愛着障害は、基本的信頼感を形成する時期に大きくつまづいています。安心感が育っていません。これは2歳までのことなので、幼児期です。

  • しかし、幼児のままでは生きてはいけません。どうすればいいか?そこで愛着障害の人は、自分で自分の外側(大人の側面)を(強引に)発達させます。例えば、たくさん本を読んで常識を身に付けたり、いい人と出会って「つかの間の安心感」を得たりして、モビルスーツのようなものを発達させます。このかりそめの発達が(成人期)という、( )付の大人を作り上げます。しかし、そのスーツを操縦している中味は「幼児期」の私なのです。

普通の人なら、基本的信頼感を得て、0歳から20歳頃まで、時間をかけてゆっくりと人間の形を形作っていきますが、愛着障害の人々はそんな悠長なことやってられず、もとより基盤となる基本的信頼感がないので、通常の発達を遂げることができず、( )付の大人になります。ここが周囲から見ると、すごくクールに見えたり、客観的に見えたりするわけです。

このようにガンダムのようなモビルスーツを幼児が操縦しないといけないので、生きていくのがとっても大変です。その大変な中、どうしようもなくなって、カウンセリングルームに流れ着いてこられます。このモビルスーツを着た幼児の私が、愛着障害の私の正体です。つまり精神年齢は【幼児期(成人期)】です。

かりそめの成人期については次の記事もご覧ください▼


■愛着障害の人がどのように精神年齢を発達させていくか?

愛着障害の人がカウンセリングに来て回復していくと、幼児期(成人期)から成人期に変化します。( )付の成人期が取れるわけです。この過程は心理力動的に目を見張るものがあります。ご本人はさほど気づいていないことが多いのですが、カウンセラーからみると、ご本人の精神年齢が、幼児期→学童期→思春期→成人期と発達していくとがよくわかります。そして成人期に達すると(成人期)→成人期に変化します。

本人もそういう体験をする場合がたまにあります。自分に対しての感覚が違ってくる体験をするのです。自分というものが揺るぎないものになっていく感じです。2歳児の自分が、小学生になり、高校生になり、大人になって、人によっては実年齢を越えていき、老人になっていく場合もあります。愛着障害だった人が老成しているように見えるのは、そのためです。スナフキンのような言動が顕著になってくるのです。

普通なら20年かけて発達させて成人になるところを、数年あるいは数か月で駆け足で抜けていくのが特徴です。

精神年齢の発達については次の記事をご覧ください▼

■まとめ

  • 愛着不全は成人学童期とほぼ同じです。高橋和巳先生の成人学童期と、斉藤学先生の機能不全家族の2つの概念を統合したものです。

  • 愛着障害の方の精神年齢は、幼児期(成人期)です。

  • 愛着障害の方の精神年齢は、幼児期→学童期→思春期→成人期と数年(あるいは数か月)で発達を遂げていきます。普通なら20年かけて発達させて成人になるところを短期間で通り抜けていく、人によっては成人期を通り過ぎて老年期まで行ってしまうという特徴があります。

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