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精神年齢を見立てることは一般的ではありませんが、熟練のカウンセラーは無意識でやっています。

相談者の精神年齢を見立てに入れるのは心理職なら誰でもやってますか?
何度か生きづらさからカウンセリング行ったことあるんですが、「性格だから開き直った方がいい」的なアドバイス が多かった気がします。
それって精神年齢はもう上がらない=脳機能障害、てことでしょうか?それとも精神年齢より性格分類的なことを主に見立てる心理職もいますか?

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

■精神年齢と見立て

精神年齢を見立てに使うことは、誰でもやっているか?というと、はっきりと意識している人は少人数でしょう。それを意識的にやっているのは、精神科医の高橋和巳先生の一派でしょう。私もここで10年くらい勉強させてもらいました。今も自分なりに、それを発展させたものを継続中です。

しかし、この精神年齢に着目する見立ては、ベテランの心理士だと無意識にやっていることでしょう。「この人、ちょっと未熟だな」とか。それを定石化した高橋和巳先生は、先見の明があるわけです。

精神年齢が見立てられても、それをあげるには結構大変な作業なのです。だから精神年齢は上がらないというドクターもいるくらいです。上がらないから脳機能の問題、ということではありません。それはカウンセリングが下手ということです。

■精神年齢と脳機能の問題

ASD, ADHD, LDなどの発達障害を含めて脳機能の問題のある人は、確かに精神年齢が年相応ではない場合があります。

というのは、脳機能の問題のある人は、精神の発達が思春期あたりで頭打ちになってしまうからです。これは能力上の問題があるので仕方ありません。その範囲内(学童期か思春期)で、できるだけ成人に近い精神年齢まで持っていく、つまり強みをどう活かしていくかということがカウンセラーのスキルでしょう。

脳機能の問題で精神年齢が問題にならないのは、双極性障害と認知症くらいでしょうか。統合失調症も問題にならない場合があります。これはどういうことかというと、精神年齢が成人期まで達しているということです。認知症や統合失調症は精神年齢が成人期まで達したあと学童期以前に急降下することもありますが、一度成人期を達成しているため、成人の名残りはあります。その名残りをサポートしていくのがカウンセラーのスキルになります。

これらをサポートするには、相談者の適応能力についての詳しい分析と、WISC/WAISなどの知能検査、発達検査などの多軸での検討が必要になってくるでしょう。ここに心理アセスメントが活かされていきます。

■見立ては色々な切り口があります

見立てはいろいろあるので、その人の「よって立つ理論」によって変わってきます。質問者さんのおっしゃるように、性格分類的な視点に立つ人も多いでしょう。それがダメというわけではありません。

私の場合、精神年齢を主軸に、性格分類をサブ的に使っています。性格分類もいろいろあって、ハコミセラピーのものが秀逸だと思います。ロンクルツの書いた本「ハコミセラピー」に詳しいのでぜひご覧になってください。

高橋和巳理論を学びたい方は、心理職限定ですが初級・上級カウンセリングセミナーがあります(安価だと思います)。問い合わせてみてください。初級がおススメです。

ハコミセラピーを学びたい方は、多くの本が出ています。気に入ったら実際のハコミセラピーの研修を受けてみるといいでしょう。

■ハコミセラピーの性格戦略

ハコミセラピーは、ロジャーズの進化系と思っており、傾聴主体の高橋先生の理論ともかなり親和性が良いと思います。傾聴をしつつその背景で働いているこころの動きを見立てていくのがカウンセリングです。

ハコミでは、性格を「生きるための戦略」と位置付けています。この考え方自体、非常に受容的であり、ロジャーズを拡大したものと言えるでしょう。性格戦略は8つのタイプに分かれています。ここでよく私が意識しているのは、次の2つです。私の臨床場面でよく出会う人々です。

  • 敏感ー孤独型

  • 拡大ー愛着型

◇敏感ー孤独

自己表現や他者との接触を抑制。考えや空想にひきこもる。安心感が欠如しており、温かく受け入れられる、ありのままに存在できる人間関係が必要。ソレアでは愛着障害の人々に該当します。カメレオンが必要。フロイトはこの性格特性を「分裂型」と名付けました。

HSPなども、ここに入るでしょう。

◇拡大ー愛着

ものごとや感情をオーバーに表現することで、注意を引き付け、人との分離を避ける。十分な愛と注意を与えてもらうことが必要。注意を得るの努力しなくてもいいという体験や信頼できる人間関係を作ること。ソレアでは、愛着不全の人々に該当します。フロイトはこの性格特性を「ヒステリー」と名付けました。

■まとめ

  • 精神年齢で見立てるのは、高橋和巳先生の一派。高橋先生も精神年齢で分けているとは明言していないが、やっていることは精神年齢での区分でしょう。

  • ベテランの心理士は、精神年齢がだいたい分かるもの。

  • 脳機能の問題があると、おおよそ精神発達は成人期直前で頭打ちになる

  • 見立ての切り口はいろいろある。ハコミの性格戦略は秀逸

◇ラジオおやすみカフェ:今宵のメニューは…芸術系大学出身の人でカウンセリングにかかる人は、美大出身の人が圧倒的に多い。内省の問題

■他の助けを求めるのもいいでしょう

もし、あなたのカウンセラーが「それは性格だからしょうがない」というような発言をする人だったら、臨床心理士などの心理の専門家にアドバイスを求めるとよいでしょう。時間はかかるかもしれませんが、あなたのカウンセリングがうまくいきますように。

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