BtoB業種のLP・クリエイティブ傾向分析をご紹介。でも実は“この業種以外の方”にこそ読んでほしい。なぜなら……【業種特化分析シリーズ③】
業種特化のLP・クリエイティブ傾向分析の第三弾、BtoB業種編。
一概にBtoBといっても有形商材・無形商材、対象マーケットなど幅広いので研究しがいがありますが、今回はざっくりな括り方でご容赦ください。
過去の記事をお読みいただいた方は、重複しているところは読み飛ばしちゃってください!
今回も「BtoB業種の関係者」はもちろん、同じくらい“他業種の方々”に向けて書いております。
実は“他業種の傾向や成功事例”にも、たくさんのヒントがあるんですよね。
だからこの“たまたま知ったnote”をきっかけに、他業種の事例に目を向けてほしい。そういう想いを込めて少しでもお役に立つような情報をご紹介します!
BtoB業種のトレンド・実態を“数値”で公開!
LP300本集めて分析したnoteでは、複数業種で計300本というそれなりの母数がありましたが、今回は業種に絞っているため母数は多くありません。
それでも参考にはなるかなと。集めた情報がこちら。
これらの情報をBtoB業種で絞ると、どうなるのか?項目を絞ってみていきましょう。
FVで使われている素材
補足としてこの場合の「実写」は「ツールの画面」を映したものも含んでいます。BtoBのWebサービス系はこのツール画面を見せる形式がよくみられますね。サービスのイメージが掴みやすくなります。
FV(ファーストビュー)に動画を入れているLPがほとんどないのは、金融業種編で触れたのと同様に「分かりやすい動画素材がない」からと捉えていますが、実は「LP内に動画を使っている」というカウントだと、11件ヒットするため動画自体はあるケースも。
BtoBはサービスを紹介する動画やCMがある商材も多いのですが、FVに入れることが少ないのです。これに関してCRSのメンバーから「FVに長尺の動画があっても見る気にならない」という意見が出て、なるほど……と納得。
こちらで紹介しているLP内にある動画も約2分ほどありました。確かにFVから2分の動画を流されてもスキップして先を読みそうです。
一方で個人的にはFVで「ツール画面」を見せるのであれば「ツールを動かしている動画」を見せる方がよりイメージが掴めるのでは?と思うんですよね。
それくらいの動画なら15秒くらいで作れる気がしますが、意外とやっているところがない。LPOに注力されているならチャレンジする価値はあるはず。
実際、今回のカウントで1件ヒットしたLPはツールを動かしている動画が使われていました。後ほどご紹介します。
フォームの形式
ほとんどは定番のリンクでフォームに飛ばす形式ですね。
一体型はもっと流行っても良さそうなものですが、単品通販以外ではそこまで広がっていない印象。複合の中にはチャットボットも含まれますが、数は多くないですね。
BtoBという視点でみるとチャットボットは「煩雑」と感じられる……というのもあるのかな?と推察しています。ビジネスに関わるサービス=仕事中にLPを見ているとしたら「さっさと資料だけDLしたい」感覚、ありませんか?私はあります(笑)。
そこでチャットボット(会話形式)を求められたら面倒くさくてブラウザバックしちゃうかも……。だからあまり導入を見ないのだとしたら、納得がいきます。
オファーの形式
まず最初に「複合」というのは記載しているオファーを複数使っているものを指し、BtoBでは「資料請求or申し込み+問い合わせ」のような複合が多かったですね。皆さんも実感がもてるのではないかなと。
個人的には「手軽に資料を落とせる」のが一番ありがたいと感じているため、導線は「資料請求」だけでも良いのでは?と思う反面、いちいち請求して貰ってもLPの情報と大差がなかったり、逆に情報過多で読む気がなくなったりするんですよね。
資料請求に促すなら「LPには載せていない(載せられない)けど重要な情報」がある旨をアピールすべきだと考えています。逆に全部LPに載せてユーザーの手間を省き、すぐオンラインMTG設定につなげるとか。
今はAIがだいぶ進化していますし、チャットボットの亜種というか「想定される質問をAIでナチュラルに返答する会話システム」や「何ならすぐ担当者とオンラインMTGできるフロー」があったらCVR(獲得率)改善に寄与しそうです。
王道・定番を押さえるのは必須。だけどちょっと他業種を覗いてみると……これ使えそうじゃない!?
事実ベースのコピーとサービスイメージのビジュアル、シンプルなデザインが多い印象
FVから少しはみ出しているものも含めると、冒頭でサービスをイメージできるビジュアルを入れているケースが多いですね。Webサービスならツール画面、有形サービス(オフィスに何かを置くなど)なら商品そのもの。イラストで済ますケースも少なくありません。
キャッチコピーは端的に事実ベースのメリットや特長を伝えています。ビジネスツールですから感情に訴えかけるような手法はなかなかみないです
細かいところで気になったのが「資料請求の言い回し」。
上で紹介しているもの以外も含めますが、
・事例集ダウンロード
・料金表ダウンロード
・3分でわかる、などボディコピー付き
などがみられました。
資料請求だけだと「何が得られるか」分かりにくいので「事例」「料金」と明記したり、「短時間でサービスが分かるだけのもの」と示したり、そういう工夫はCVRに寄与しそうですね。CTAのABテストのやりがいを感じます。
LPに関しては他業種の要素を入れにくいと思いつつ、その中でも「こんなのは使えるのでは?」と思ったものをご紹介。
ユーザーのリアルな利用シーンが見せられたら…
BtoBサービスでは「導入事例」を載せているケースが多いものの「実際の利用シーン」まで見せているケースは多くありません。
オンラインで使うツールだとそもそも見せにくい点はありますが、どういうビジネスの現場でどういう風に使用されているのか「リアル」を見せられれば、利用シーンを想像しやすいのかなと思いました。BtoCではよくありますよね。
ツール系のサービスでは滅多にみられませんが、有形商材であればBtoBでも「利用シーン」を見せているケースはあります。
ツール系であればオフィスでツールを使っていたり、ツールを用いて会議していたり……といったイメージになるでしょうか。
LPではないのですが、この「リアルな現場を想像させる」ことにおいて、個人的にとても気に入っていてすごく良いクリエイティブ(CM)だなぁ……と感嘆しているものがあるため、後ほどご紹介します!
アンケート・診断コンテンツの無限の可能性は…?
第一弾、第二弾でも取り上げているアンケート・診断コンテンツですが……正直なところBtoBではあまりマッチしないと考えました。
いや私個人としては特にアンケートLPの「回答というアクションを経て自分事化を促し、最後のアクションまで後に引けなくする」というロジックに、業種の壁はないと信じているんです。
ただやはりユーザー視点でみると、仕事中に情報を集めているなら「アンケート」「診断」といった“余分なアクション”があると、反射的に離脱される気がするんですよね。
過去に200本アンケートLPを集めたときもBtoBに当てはまるのはたった2件。ご紹介したいところですが既にページが閉じられておりました。
記事LPも含めたクッションページが活躍していない領域といえます。だからこそ「BtoBで勝てるクッションページ」を作り上げられたら、これはもう先駆者にあたるでしょう。
通常のLPOや静止画・動画の施策に行き詰まっていて、新しいチャレンジをしたい……というBtoBサービスの企業の方がいらっしゃったらぜひご一緒したいものです。
同業種の方も他業種の方もちょっと見てほしいLPがあって…
BtoB業種で集めたLPの中で、私が個人的に特にすごいな、良いなと思ったLPを勝手ながら紹介させていただきます。それがこちら。
いやはや、なんというかもう、完璧なのでは!?とすら思いました。
まずFVはCMでお馴染みの豊川さん→ツール画面に程よい時間で切り替わります。CMでとった認知から来る人にとってはCMで見たのと同じ人が出ている、というのはミスマッチを避ける上で重要。しかしツール自体も理解してもらわないといけないので、静止画の切り替えを使っているのでしょうね。
CM動画は既に見ている人も多いでしょうから、導線は残しつつ強調はしすぎない。このバランス感覚は学びです。
説明動画は短すぎず長すぎない50秒にまとまっていてビジネスユーザーに寄り添っている印象。この動画の作り方も勉強になります。
各所のイラストにアニメーションがついているのがこれも程よい。中には見ている方が疲れるくらい過剰に入れているケースもあるため、これもバランス感覚ですね。
ツール画面をスライド形式で大きめに見せているのも「そうそうこれこれ」と思いました。意外と画像が小さくて見にくかったり、一覧画面くらいしか映していなかったりするケースもあるんですよね。全体像を見せた方が興味はもちやすいはず。
UI/UXの面でも参考にできることばかりで、私の中のお手本の1本になりました。凝ったデザインとより徹底的に機能的なデザインという感覚。作った方とお話ししてみたい。
さて今回はもう1本、ご紹介します。
先に少しだけお見せしていたこちらのLP。
良いなと思ったのはFV直下にある「縦型の説明動画」です。
縦型動画のフォーマットで作られており、30秒と広告でも使える程度の尺。実際に動画広告で使われているかもしれませんね。
今の時流に乗っていますし、これくらいの分かりやすさ・尺であればビジネスユーザーでもすんなりと見終えてくれそうと思いました。
特にスマホでも使えるアプリ系のBtoBサービスは、導入する価値のあるコンテンツです。
LP以上にクリエイティブ(静止画・動画)は業種ごとの特色があります
王道は「ツール画面」+「機能を伝えるコピー」
BtoB業種のクリエイティブも集めてみました。
ではさっそくご紹介しましょう。
母数は少ないですが一目で特徴が分かりますよね。
王道中の王道は「ツール画面」+「機能を伝えるコピー」です。②はツール画面というよりはツールの利用シーンですが、ツール画面+利用イメージ(③)というパターンも多いですね。ビジネスユーザーは感情を動かすより、言葉でもビジュアルでも事実を伝える。これが効果的といえるでしょう。
他の広告をみるとデザイン・構図は同じでコピーの検証をしたり、コピーは同じでデザイン・構図を変えたり、根幹の「ツール画面+機能コピー」はそのまま検証しているケースが多いこともわかりました。
一方、弊社ではBtoBであっても「感情に訴えかける長文バナー」で成果を出した事例もあります。
3年前と古いものにはなるのですがnoteになっているのでぜひご一読ください。
X(当時はTwitterでしたね、もはや懐かしい)で取り上げてくれる方が出て、ちょっとしたバズりになっていました。
BtoBということでBtoCよりは感情を動かすハードルは高いと思いますが、それでも真にユーザーインサイトを理解できれば、十二分に成果につながるフォーマットです。
先述した私がとても気に入っているクリエイティブ(CM)はまさにこの真のユーザーインサイトの上に作られていると思えました。それが……。
今回は縦型動画ではなくCMに注目してみました
テレビを見ている方は一度は目にしたことがありませんか?
私は「楽々シリーズ」のCMがとても好きなのです!
私は一度も総務・経理のような仕事にはついていませんが、それでも「あるある」「わかる」と思えてしまうほど、現場の解像度が高いと思うんですよね。
短い間に悩みやストレスが凝縮されていて、それをサービスで解決するところまでスムーズに展開。悩み・ストレスごとにたくさん作って(検証して?)というのも、CMにしてはアドクリエイティブみたいな取り組み方だな~と驚きました。
キャスティングも絶妙で上司っぽさと部下っぽさがリアルで。コミカルな演技や掛け合いが面白いのもあって、こんなに飛ばさずに見ていられるCMは、個人的に他にありません(笑)。
ターゲットの理解、設定や動画の構成、キャスティング、展開と検証、流れでみてもお手本になるクリエイティブだと思っています。
個人的には音やダンス、面白さで興味を惹いてあとは調べてね、みたいなものより、こういう機能的な上で面白さもあるものの方が優れていると感じます。皆さんはいかがでしょう?
ちなみに弊社は博報堂グループの一員になったこともあり、最近ではテレビCMにも積極的に取り組んでいます。
「オフライン×オンライン」に強くなってきているので、
テレビCMなどオフライン施策をオンラインに活かしたい!
オンラインやっているけどオフライン施策もやりたい!
そんな企業の方がいらっしゃったらぜひお問い合わせください。
他業種の王道・定番は自業種の斬新さ・チャレンジに変わる
業種特化の記事を書いていると、改めて「業種を問わずに広くLP・クリエイティブに触れること」が、いかに自分の知見を広げ、引き出しを増やすことにつながるかを実感します。
私の前職はアフィリエイトの代理店で、それはもうゴリゴリの単品通販を売るところでした。その頃はテレビCMなんて鬱陶しいだけの存在だったんですよね。
ソウルドアウトに入社し、博報堂グループに変わり、新規提案チームになってテレビCM提案の方々と少しだけ接点ができてからというもの、テレビCMも「クリエイティブ」という観点で見るようになりました。
ちょっとしたきっかけで「気になるところ」が増えると、自分の幅が広がるものだな~と。せめてこの記事が、皆さんにとって「気になるところが増える」きっかけになれば幸いです。
また別の業種も取り上げますので、その際はぜひまたご一読ください!
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