AIの力で日本中の地域課題の解決に挑戦。“商売の原点”に立ち戻る。|2025年 社長年頭挨拶
明けましておめでとうございます。
ソウルドアウト株式会社 代表取締役社長 CEO兼CCOの荒波 修です。
2025年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
AI(人工知能)技術の進化のスピードが凄まじい昨今、AIが社会や業界に及ぼす影響は無視できないほど大きくなっています。会社として本格的にAIに取り組もうと決意し、全社員の前で方針を発表してから1年半ほどが経ちました。
2024年は、AIを活用した業務効率化プロジェクトが各所で立ち上がったり、新しいプロダクトがグループ各社で生まれたりと、様々な動きがありました。しかし、最先端のAI技術は進化の勢いをさらに加速させており、その流れに対応するためには、私たちもこれまで以上に速いペースで行動していかなければなりません。
これまでも、業務効率化においてAIが欠かせない存在になることは理解していましたし、AIの力を評価できているつもりではありました。しかし、現場でどの程度活用できるのか、どれくらいの価値を発揮できるのかについては、解像度があまり高くない状態でした。
しかし、実際に自らAIソリューションを使ってみたり、プロンプトを書いてみたりしたことで、1年半前とは状況が様変わりしていると感じ、危機感を覚えるようになりました。「AIは間違いなく社会に対して大きな影響を与える存在だ」と肌で実感したのです。AIの進化の波に乗らなければ、会社も、社員も、取り残されてしまう。そう強く感じました。
こういった背景もあり、昨年の下期に「ローカル&AIファースト」という構想を掲げました。
この言葉を発表する前は、「ローカルファースト」を掲げていました。改めて、地域企業の支援に力を入れていきたい。そしてその手段の一つとして、AIの利活用を位置づけていたのです。AIを使って、生産性の改善や新たな価値の創出を目指す、と。
AIはあくまで手段にすぎません。しかし、その手段自体が無視できないほど重要な存在になっています。もはや私たちだけではなく、世の中のあらゆる企業にとって、戦略の中心に据えざるを得ない存在へと変わってきているのです。
そして、今回「ローカル&AIファースト」に改め、全社員に発表しました。「ローカルファースト」の実現には困難が伴いますが、AIの利活用もまた簡単な道のりではありません。この二つのテーマを明確に分担し、「ローカルファースト」は専務取締役の北川が、「AIファースト」は私自身が責任をもって推進することを決断しました。
日々社員と会話をするなかで感じるのは、AIの利活用において一人ひとりの理解や活用の度合いには濃淡があるということです。活用が進んでいる部門とそうでない部門の間には、すでに大きなギャップが生じています。
このままでは、活用できている社員とできていない社員、そして、AIを活用している企業とそうでない企業の間において、今後さらに二極化が進んでしまうかもしれない。多少強引な手を使ってでも、全社員のAIの利活用に対する意識が高まる環境をつくらなければならない。
そこで24年10月から、ChatGPTを全社員向けに導入することを決め、社員一人ひとりが最新のAIに触れられる環境を整えました。
当社の場合、代表である私自身が実際に手を動かし、AIの可能性を肌で感じて危機感を抱いたことで会社の方針を転換し、AIの導入に踏み切ることができました。企業がAIを導入するためには、まず経営者自身が自ら使ってみることが不可欠だと感じています。実際に使ってみてはじめて、AIに対する解像度が上がり、適切な評価ができるようになるからです。
AIを活用して業務効率化を図り、成果を上げるためには、まず自身の業務を正しく理解することが前提です。すべての業務には、それぞれの成果やゴールが存在します。そのゴールに到達するために構築されたプロセスやフローを正しく分解し、それぞれの要素が何の目的で組み込まれているのかを把握することが重要です。そうしてはじめて、AIに適切な指示を出し、効果的に活用できます。
つまり、AIを使いこなすスキルはもちろんのこと、自身の業務を分解して整理する「BPR(Business Process Re-engineering)」のスキルも欠かせません。そもそもこの業務は本当に必要なのか、またはAIで代替できるのか、といった視点をもつ。こうした思考を身につけることで、業務効率化につながります。
そこで社内では、AIを最大限使いこなせるよう、研修プログラムを設計中です。すでに昨年から、プロンプトエンジニアリングの研修を一部の社員を対象に行なっており、今年中には全社員が受けられるように整備したいと考えています。また、BPRのスキル向上を目指す研修も検討しています。
複数のAIやウェブサービスを組み合わせて一連の業務を自動化できれば、今まで人が手掛けていた多くの作業をAIで効率化できるでしょう。そうして生まれた時間は、お客さまの課題を深くヒアリングしたり、新たな提案を検討したりする時間に充てることができます。一人ひとりの変化が付加価値を生み出し、結果的に会社全体として、数倍数十倍の売上や利益の向上にもつながるかもしれません。
私たちは何のために働くのでしょうか。それは、誰かに感謝されるためだと考えています。誰かの困りごとを解決して、その対価をいただく。これこそが商売の原理原則です。この原点に立ち返ったときに、私たちに必要なのはAIを活用したソリューションを生みだすことだと確信しました。
ここ数年で、デジタルマーケティングの市場は成熟が進み、需要に対して供給が増え、競争が激化しています。ソウルドアウトも多くの企業の一社にすぎず、商売を通して感謝をいただきづらい環境にあると思うんです。だからこそ、まだ誰も手がけていない、AIを活用した地域企業の課題解決に取り組むべきだとも考えています。
地域では人材不足や高齢化といった問題が深刻化する一方です。私たちは、企業の事業課題を的確に捉え、AIを活用した最適な解決策を提案する力を磨き、最終的には社会全体が抱える課題の解決に挑戦していきます。
決して簡単な道のりではありません。時間はかかると思いますが、来年には、AIを活用して人手不足を解消するようなソリューションをつくり、いくつかの企業でトライアル導入を進めていきたいと考えています。成功事例を創出し、より多くの企業に展開していきたいです。
私たちが掲げる理念「中小・ベンチャー企業が咲き誇る国へ。」を実現するためにも、AIの利活用は大きな鍵を握るでしょう。必要に応じて、ソフトウェアだけではなくハードウェアにAIを組み込んだソリューションの開発もあり得るかもしれません。10年後、20年後には、AIとハードウェアを融合させた新しいビジネスモデルの会社に変化しているかもしれません。
AIの利活用は、業務効率化や付加価値の創出、さらには社会課題の解決へとつなげることができます。今後もソウルドアウトグループは、お客さまや社会に貢献するとともに、社員が生き生きと働ける環境をつくることを目指します。2025年もこの想いを胸に、さらなる挑戦を続けてまいります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
ソウルドアウト株式会社 代表取締役社長CEO 兼 CCO 荒波 修