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キャリアにモヤモヤしたら読みたい哲学書・『人生のレールを外れる衝動のみつけかた』
できるだけ偏差値の高い大学に行き、できるだけ大手の企業に就職し、できるだけ長く働き続け、退職金をもらう。
ーーこのルートから逸れないように真っ直ぐ着実に人生を歩むのが大事だとよく言われる。積極的に幸せになれるわけではないとしても、少なくとも「安牌」的な生き方だという印象は共有されているだろう。
けれど実は、このルートを進むのがかえって危険なことだったとしたら……。
🧭
会社で働いていると、ウォーターフォール型の目標設定を強いられることがありますよね。10年後どうなっていたいかを考えて、逆算して今取り組むべき目標を立てる。私はあれが好きではありませんでした。この変化の激しい時代において優れたやり方のようには思えないし、なによりそんな人生つまらなすぎてしにそう。
でも安定を手に入れるためにはこういうことが必要なんだと自分に言い聞かせ、10年後は部署をまとめるリーダーになりたいとかなんとか書くわけです。安定と面白さをトレードオフと捉えて。
先日そんな私の浅はかな考えを揺るがす文章に出会いました。
リスクがあるとすれば、自分という人間が持っている固有の偏りや特性を無視して生き方を決めることの方ではないか。横並びで標準化されたルートを歩いて、安全だと思っているかもしれないが、その方がかえって危険なのではないか。
こちらの本からの引用です。
働き方に関する本は世の中に溢れています。「安定志向でつまらない仕事をするよりも本当にやりたいことをやろうよ」というメッセージもよく見かけますよね。
そういったメッセージともこの哲学書は一線を画します。
今の自分がパッと心惹かれているもの──次のタイミングでは違うものになっているだろうもの──を、わざわざ「本当」という重たい言葉でくるんで固定しようとするのは、自分の変化の兆しを見えなくする言葉遣いです。
とても面白い本だったのでいろんな人におすすめしたいなと思い、要約と感想を書いてみることにしました✍️
人生のレールを外れる衝動のみつけかた・要約
哲学書に不慣れなので一応2周読みました。ざっくりと要約してみます。
①衝動は幽霊に似ている
ただ「衝動」と言っても、なんともわかりづらい。そこで衝動を幽霊に喩えて考えてみよう、というのが本書のスタンス。衝動って幽霊に似てるよね。以下の点で。
・その人固有の経験を踏まえて、意思決定や判断、行動に影響を及ぼす
・取り憑かれる人は、コントロールできない(望まなくても取り憑かれる)
世の中の理屈も自分自身の予想も関係なく、自分を思わぬ方向へ導く。他人も自分自身でさえも、「なんでそんなことをそんな熱量でしてるんだ?」と不思議になってしまうような、アンコントローラブルな欲望。それが衝動。
②幽霊(衝動)と衝動ならざるもの
衝動ならざるもの:
・内発的動機(衝動には、内発的動機の文脈での合理的な説明では回収しきれない過剰さがある)
・やる気や意欲のような抽象的な言葉で説明できるもの(衝動には、説明しきれない不可解で過剰ななにかが働いている)
・強い感情がともなう欲望(衝動の場合もあるが、強い感情がともなうからといって必ずしも衝動というわけではない)
幽霊(衝動):
・メリットやデメリット、コスパ、世間体から関係がないところに向かう原動力
・強い欲望ではなく、深い欲望
※ここで言う「深い」は、深遠とかミステリアスな感じを指してはいない。「ほかの人とか広告とかを見ていいなあと思って生まれたような欲求ではないので、自分でも把握しづらい自分固有の欲望」とった感じの意味
③どうやったら自分の衝動がわかるの?
偏愛が鍵となる。
他人に移し替えられないほど「個人的」であり、文脈や対象を変えると成立しないくらい「細分化された」欲望です。そういう個人的で細かい欲望だからこそ、「偏愛」と呼ばれているわけですね。 欲望の「深さ」とは、その実、欲望の「個人性」や「細かさ」のことだと言ってもいいくらいです。
偏愛は、衝動が具体的な活動の形をとったときの意欲につけられた名前だ。
偏愛している具体的な活動を適切に一般化すれば、自分の衝動がどんなものかがわかる。その際、まずは偏愛を細かく詳しく語ること。「小説が好き」「海外文学が好き」などは浅すぎるのでNG。セルフインタビューして見つけるといい。
④どうやって衝動を生活に実装するの?
衝動が大まかな方向性を教え、知性が目的を形成したり手段を選んだりする。衝動だけではNG。平均的なルートを選ぶのではなく、今の自分の特性や偏りにフィットするかどうかで物事を判断する。衝動をどのようなかたちで発露させるかには選択の余地がある。
⑤衝動を感受しやすくなるには?
まずは、自分は外部のいろいろなものから影響を受けずにはいられないんだという認識を持つ。そして、気になることについてあれこれ試してみて、外部とやり取りをする(うちに閉じこもらないで、アクションを取る)。
自分の感受性は、心惹かれている人や事柄に対して小さなアクションを起こすことによって初めて目を覚まします。
人生のレールを外れる衝動のみつけかた・要約
私はとくにこの文章に惹かれました。
現代人の抱きがちな「寂しさ」は、私たちを抽象性や交換可能性へと導いています。このレールをどう外れるかということに本書は取り組んできたのです。「寂しさ」が導く生き方のレールを外れた先にあるのは、「衝動」が導く生き方です。
私が文学を好きだったり都市生活や蜂の生き様が嫌いだったりするのって、「交換可能性」に強い抵抗感を持っているからなんだなーと、自分の中にあったおぼろげな感覚に名前がつけられたような気がしました。どこまでもそれぞれの自己の固有性に興味がある。もしかすると私の衝動は、「人の衝動を知ること」なのかもしれません。
そしてなにより、この本を読んでいる間、実践してみたくてわくわくしていました。早くセルフインタビューで偏愛と衝動を炙り出してみたいです。実際にやってみたらまたnoteに書こうと思います。人と一緒にやるのも面白いんじゃないかなと思っています。人と比べると自分の偏りがよりくっきりとわかりそうですよね。
▽続きはこちら
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