読書日記 1月某日
このところ、仕事も落ち着いており体調もまずまず。読書ペースは順調、といい感じです。最近の読書はエッセイや他の方の読書日記を読むことも多くとても参考になります。個人的に大好きな有栖川有栖さんの「本格ミステリの王国」や前々回の記事でもかいた伊坂幸太郎さんの「3652」また米澤穂信さんの「米澤屋書店」円城塔さん夫婦の共著「読書で離婚を考えた。」などを読みました。どれしも面白く特に読書日記本は紹介されている本がまた読みたくなるのでエンドレスに本に漬かっているような気がしました。しかし読書は奥が深いです。自分は読書家だとは思いませんが、ここに挙げている方はよく読まれている、そう感じます。私も自分のペースで読んでいこう、そう決意?した月でした。
さて、これに加えて懐かしい本も読んでいます。1月の終わりでは、三雲岳斗さんの「M.G.H」と氷室冴子さんの「海がきこえる」を読了。
ちょっと感想を。まずは「M.G.H」から。作者の三雲岳斗さんは元々ライトノベル作家。電撃文庫での受賞歴があり、そこからデビューされています。ただ、昔のライトノベルは今よりも硬派っていうかチャラチャラしていなくて、しっかりとしたファンタジーやSFものも多かった。三雲さんも初期はそちらよりでした(コールド・ゲヘナとかレベリオンとか)私はライトノベルを読み始めた時期に出会いまして「i.d. 」をまず読みましたね。かなり硬派なSFミステリー×学園ものというテイストで個人的に好きでした。このラノベ時代と前後して三雲さんは日本SF新人賞に応募して大賞を受賞されました。これが本作の「M.G.H」です。当時の選考委員は凄くて、委員長が日本SFの父とも呼べる小松左京先生。委員にも神林さんやらが入っていて力の入れようが分かります。さて、作品ですが純然たるSFミステリーです。日本初の旅客型宇宙船「白鳳」で巻き起こる殺人事件を描いたストーリーで、奇抜な事件現場が目につきます。”無重力空間での堕落死”という魅力的な謎に加えて何故、そういった方法で殺害したのか?という理由付けも謎に満ちています。物語の展開も分かりやすくSFだとしても取っつきやすいです。ただ、難点としては理系ミステリィの第一人者、森博嗣さんの影響をモロに受けているのが見てとれます。本人が意識されているかどうか分かりませんが、主役コンビが「S&Mシリーズ」のコンビと瓜二つです。クールで人間関係においてドライな主人公とお転婆で何事にも興味津々なヒロイン、と聞けばイメージが浮かんでしまいますよね?(米澤穂信さんの氷菓シリーズもそうだな・・・)犯人の造形も森ミステリにみられるタイプっぽくて、そこだけちょっと残念。しかし総じては読みやすく面白かったです。
もう1冊が氷室冴子さんの「海がきこえる」名作ですよね。何故だか氷室文学に触れたくなり読了(多分、ちくま文庫で出たエッセイを見かけたから)今更ですが、氷室冴子さんは少女小説の道筋を開いた作家と思っていて、故バルド文庫全盛時代に人気の出た方です。これは雑誌「アニメージュ」(懐かしい!)で連載されていたものを書籍化した作品です。アニメ化もされており、スタジオジブリが映画ではなくOVAで作品化しています。さて肝心の内容ですが、地方の高校生の主人公と東京から転向していたわがままなヒロインが織りなす青春恋愛物語。瑞々しい文章と綺麗で細やかな描写に目が行きます。高知を舞台にされているので、高校時代の会話文はほとんど高知弁でヒロインのみが標準語で話します。彼女の内に秘めた想いや親友との友情、卒業から東京での生活、そして夏休みでの一時帰省などなどのエピソードが盛り込まれていました。世代的には自分よりもちょっと上の世代になるのですが、読んでいてこう、ノスタルジックな雰囲気になるんですよ。あぁ、あったなぁ、こんな青春・・・(私はこんな充実した学生生活は送っていませんが)と思いをはせることが出来ます。中々、今ではこういった雰囲気のお話を書ける方は少ないんじゃないでしょうか?そう思えた1冊でした。
コロナがまた猛威を振るっているなかで、出かけることもままならず家にこもりがちになるので必然的に読む時間が増えています。ていうか、それ以外の趣味が無いのですよ。これはいいことなのか、どうなのか・・・ではまた。
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