自家採種のススメ その2
ソイルラボでは、毎年多くの野菜の種を採っています。
翌年の野菜栽培に関わることなので、収穫することと同じくらいとても重要な作業です。
今日はその種採りについてのお話の2回目、果菜類の中でも「ナス」と「かぼちゃ」について、ソイルラボでの種採りをご紹介します。
ちなみに1回目のご紹介では、果菜類の中の「ピーマン」「トマト」「きゅうり」の種の採り方について書いていますので、ぜひそちらも読んでみてください。
ナスの種をとる
夏から秋にかけてたわわな実をつけるナス。
鮮やかな紫色のほかに、最近はクリーム色やごく薄い緑色のなす、薄紫の縞模様のナスなどもあって、食べるのも育てるのも非常に楽しい野菜のひとつです。
ナスの種、みたことありますか?
ナスを料理するとき、半分に切ってみると白っぽい粒があるのを見たことはないでしょうか?もちろん、それがナスの種です。
私たちが食べるとき、夏場は実が大きくなってすぐ収穫したものを食べるので種は充実しておらず、白くて柔らかく口に入れてもそれほど感じません。秋ナスなど少し成長がゆっくりのナスを食べると、果肉の中の種も充実してきて少し膨らみ、食べたときにも食感がある場合もあります。
まずは種を採るナスを選びます。
樹勢がよく、実がよく成るものを選びます。そして実の形と大きさがちょうどいいものを選びます。そのナスは収穫せず、樹上でそのまま追熟させます。
だんだん実の表面につやがなくなり、黄色〜茶色くなってくれば完熟してきた目安。実ができてから2か月程度かかります。
ナスを収穫してきたら表面にナイフなどで切り込みを入れ、手で半分に割ります。
すると果肉の中にぷつぷつと種が入っているので、水を入れたたらいやバケツの中で果肉から指で押し出したりもみだすようにして種を取り出します。
全部採れたら余分な水や果肉を捨て、水の底に沈んだ種を新聞紙などの上に重ならないように広げて乾燥させます。2週間ほど乾燥させれば大丈夫でしょう。
ナスはたくさん種が入っているので、種採り用のナスは家庭菜園であれば1個で十分だと思います。
乾いたら乾燥剤を入れて小瓶などで保管します。
かぼちゃの種をとる
かぼちゃの種はイメージしやすいですね。丸ごとかぼちゃをがんばって半分に切ると、真ん中のワタの中にたくさん入っていますね。
最近は種だけを食べることもあるので、すぐ思い浮かぶ方も多いと思います。
ちなみにミックスナッツやスイーツの上にトッピングされている緑色のかぼちゃの種は、硬い殻の中身の部分です。栄養たっぷりですよ。
かぼちゃを収穫したら1か月くらい追熟させてから食べます。その追熟期間に種も充実してきます。形がよく、おいしいかぼちゃを選びましょう。
種をワタから取り出し、水でよく洗います。このとき、種の表面にぬめりがあるのでしっかり洗いましょう。
洗っているときに、たらいの底など水に沈んだもので大きく膨らんだものを選んで種にするといいでしょう。
洗ったら新聞紙等の上に重ならないように広げ、1週間ほど乾燥させます。乾燥してくると、水洗いの時に落としきれなかったぬめりが乾いて表面にフィルムのように張り付いているので、きれいに取り除きます。
乾いたら乾燥剤を入れて小瓶などで保管します。
【参考図書のご紹介】
「固定種野菜の種と育て方」 著者 野口 勲、関野 幸生
種の保管と発芽試験
種の乾燥を終えたら小瓶や小さなチャック袋、紙袋などに乾燥剤と一緒に入れ、温度変化の少ない冷蔵庫の野菜室などで保管します。湿気が多かったり暑くなり過ぎたりする場所は避けてください。
このとき品種名と採種日を小瓶や袋に明記しておきます。種にも寿命がありますが、きちんと保管していれば、使いきれなかった種を翌年に蒔いても大丈夫でしょう。
今回ご紹介した野菜のうち、ナスは長命種子の部類で3〜4年ほどもつといわれています。
かぼちゃもやや長命で2〜3年ほどとされています。
固定種の野菜の種については「野口種苗」さんのHPにさまざまな記事があるのでとても参考になります。オンラインショップもあります。野口種苗さんで種を購入すると、種袋に採種方法や種子寿命が明記されていますよ。
参考:「野口のタネ 野口種苗研究所」HPより
野口のタネ オンラインショップ
また、種を採ったら発芽試験をするようにしています。
ポットに10粒ほどバラバラに種を蒔いてみて、どのくらい発芽するかを観察します。
10粒中8〜9粒発芽して、双葉や茎が貧弱すぎるようなことがなければ成功ではないかと思います。
初めての種採りは果菜類がオススメ
いかがでしたか?こうしてみると、種を採るということのハードルが少し低くなってきてはいないでしょうか?
初めての種採りはイメージしやすい果菜類がオススメです。
自分で採った種から野菜を育ててみると、その野菜がまたさらにおいしくなります。
ちょっと手間と時間はかかるけれど、家庭菜園だからこそ、この手間と時間を存分に楽しめるのではないかなと思います。
何より、この命の循環を目の前で見ることができるのは素晴らしいことですし、「自分も繋ぐことができているんだな」と感じていただけると思います。
ぜひ楽しんで野菜を育ててみてください。
この「自家採種のススメ」シリーズ、また続けて書いていきたいと思います。お楽しみに!