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風景のレシピ #49 “グルニエ”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #49 “グルニエ

調理時間:9時間
 
材料: 
小さな空間:ひとつ
鉄製の梁:数本
鉄製の枠を持つ窓:数枚
鉄製の手すり:ひと連なり
鉄脚の椅子:2、3脚
鉄製のランプ:2、3本
倉庫の扉:1枚
ペンキで塗られた什器:ひとつ


1.ビルの屋上付近を思わせる、がらんとした空間を広げる。


2.空間を鉄の枠で縁取り、リベットでしっかりと固定する。
  窓を開け、その空間に存分に光を取り入れる。
  屋根部分の斜面も天窓になっている。


3.通路ほどのささやかな面積の床を張り、鉄製の手すりを取り付ける。
  空間の奥に倉庫への扉を設置する。
  扉は木製で塗装し、上部は鉄枠の明かり取り窓で装飾する。


4.フロアに椅子や什器を配置する。
  夕暮れ後のためにランプを取り付ける。


5.ゆっくりと苦めのコーヒーを淹れて休憩する。


調理のコツ
*鉄の時代に思いを馳せながら

丈夫な鉄製の天窓
同じく鉄が使われた椅子
窓の向こうはどんな町並みだろう?
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

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