見出し画像

風景のレシピ #48 “オリーブの林”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #48 “オリーブの林”

調理時間:2時間
 
材料:
木漏れ日:たくさん
オリーブの木:たくさん
オリーブの落ち葉:一面
ろば:一頭


1.オリーブの木を平野に植える。
  木の幹の形状は波打ち、表皮に苔が生えている。
  たちまちのうちにオリーブの林ができあがる。


2.朝の光をおごそかに振りかける。
  光の量が増すにつれて木の陰の色が青みを増していく。


3.葉をよく茂らせ、過去に落ちた葉も地面に敷き詰めておく。
  その上を歩くときの乾いた足音を想像する。


4.古木からひこばえを生やす。
  近隣の町のろばを迷い込ませる。
  ざわざわと風が吹き始めたら、できあがり。
 

調理のコツ
*物体の淋しさを、光がやさしく包むように。

印象派の絵画のような枝枝の重なり
敷き詰められた銀色の葉
誰かに見つかるまで見つからない
できあがり。クリックすると拡大して見られます。


◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

★「風景のレシピ」マガジンページはこちら