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風景のレシピ #25 “スノードーム”| nakaban

「旅と記憶」を主題に絵を描いている画家のnakabanさんが、風景画の制作過程をレシピ化するこころみです。序文はこちら



風景のレシピ #25 “スノードーム”

調理時間:25時間

材料:
オリーヴの板:ひとつ
スノードーム:一個
雪どけ水:100ml
淡い光:一振り
スノードームの内容物
 雪原、粉雪、遠景、民家、塔、木々、太陽、雲等:適宜


1.窓辺にオリーヴの板を置き、差し込む冬の光によくさらす。これが土台となる。


2.スノードームを作る。
  材料をよくボウル内でよく混ぜ合わせ、ドームに密封したのち、雪どけ水を流し込む。
  それらを冷凍庫で一晩寝かせる。
  長時間冷却することでドーム内に冬の風景が出現する。


3.板の木目をよく観察し、ふさわしい置き場所を探る。


4.ドームを軽く振って粉雪を舞わせ、板の上に置き、できあがり。
  これで、このドームの内側は永遠に冬のまま。


調理のコツ
*世界を閉じることの危うさを感じながら。

ガラス、ベークライト、木の組み合わせ
冷たい太陽は微動だにしない
優しげで冷たい光
できあがり。クリックすると拡大して見られます。



◎プロフィール
nakaban (なかばん)
画家。絵画、書籍の装画、文章、映像作品、絵本を発表している。
新潮社『とんぼの本』や本屋「Title」のロゴマークを制作。
著作に『ダーラナのひ』(偕成社)『ことばの生まれる景色』(辻山良雄との共著、ナナロク社)『窓から見える世界の風』(福島あずさ著、創元社)など。
好きなことは果樹栽培、ポストカード収集、そしてもちろん絵を描くこと。
本を読むのが遅い。
広島市在住。www.nakaban.com

★「風景のレシピ」マガジンページはこちら
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